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TMTをめぐる情勢について

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次世代超大型光赤外線望遠鏡TMT(Thirty Meter Telescope)計画に関して、いくつかの大きな動きがありましたので、お知らせします。

1. US Astro2010 Decadal Survey ReportでGSMT推進提言

8月13日に米国の国立研究評議会National Research Councilから公表されたUS Astro2010 Decadal Survey Report(以 下AStro2010と略記)の中で、光・赤外線天文学パネルはGiant Segmented Mirror Telescope (GSMT)計画がその科学的優先度において第一位であるとの提言を出しました。これは10年前のAstro2000での第一位での推進決議を支持し強化するものです。米国国立科学財団NSFによる施設整備費は、諸般の事情でLSST計画を先行させることが至当との提言となりましたが、GSMTについても2010年代での実現が提言されました。

2. TMT/GMT両計画から一つへの早期絞り込みをNSFに提言

米国内グループが関与するGSMTとしてTMT計画とGMT計画の二つがある状況について、Astro2010ではNSFが速やかにどちらか一方を選択して、米国天文学界のために選ばれた計画に対して、25%レベルで出資し参画すべしとの提言がなされました。NSFによる選択決定の手順は検討中ですが、2011年末までには決定がなされる見込みです。

TMTプロジェクトはこの提言を歓迎しています。この選択への資料提出のため、国立天文台を含むTMTパートナー間の協議・準備が急ピッチで進行中です。

3. 日本学術会議勧告

日本学術会議天文学・宇宙物理学分科会が特に重要度の高い大型計画であると結論した3つのプロジェクト(LCGT、TMT、SPICA)の内、 今夏、文部科学省が大型低温重力波望遠鏡(LCGT)計画の着手について予算化を決めました。また、9月に公表された、科学技術・学術審議会 学術分科会研究環境基盤部会 学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会の審議の結果において、TMT計画はLCGTと共に最高の評価を受けました。

これを踏まえて、日本学術会議天文学・宇宙物理学分科会では、建議の改訂を今年末をめどにとりまとめて頂けることとなりました。第2項で記述した米国の状況もあり、2012年には国際連携の枠組み構築が進展する可能性がでてきています。

4. NSF次世代大型共同利用施設の予算化に関する委員会

10月20-21日にFunding and Governance of Future Major Multi-User Facilities と題するNSFの会議があり、TMTプロジェクト室長・家が、超大型国際共同計画の関係者の一人として招聘され、TMTに関する国立天文台の意向と日本の情勢について報告し、議論してきました。

会議で著しかったことは、TMT、GMT、LSSTの関係者が期せずして一致してNSFに対して、準備段階での予算付けの枠組みを設けて、国際パートナーとの連携を育む支援をして欲しいと訴えたことにあります。

今回の要請を受けて委員会からNSFへの提言がなされる可能性があり、NSF長官以下首脳の顔ぶれが一新されたこともあり、国際協力実現への大きな前進となることが期待されます。

この会議とは別にNSF幹部陣との1時間の個別会談も行って参りました。

5. 今後の展開

国立天文台が全力を挙げて推進してきたALMAの建設完了が間近いことを踏まえて、国立天文台はTMT計画を次期大型計画として、国際協力により早期着手・実現することを目指しております。

この計画は日本の天文学界の更なる発展の大きな礎となる計画であり、全国の大学等の研究者の皆様の積極的ご参加・一致したご支援が不可欠です。 今後、計画実現に向けて一層努力して参りますので、どうぞよろしくお願い致します。

国立天文台TMTプロジェクト室長 家 正則

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