TMTとはThirty Meter Telescope(30m望遠鏡)の略称です。口径30mというすばる望遠鏡の
10倍以上の面積の主鏡を持つ史上最大の地上望遠鏡です。建設地はハワイ島マウナケア。日本、米国、カナダ、
インドの国際協力によって建設を進めています。
望遠鏡の進歩がもたらす新しい観測データは、それぞれの時代の宇宙像を塗り替えてきました。
従来の望遠鏡の限界を遥かに超える解像度・集光力・感度を実現するTMTは、
これまで手が届かなかった天文学の謎に迫ることを可能にします。
1995年以降、発見が相次ぐ太陽系外惑星。TMTは地球型惑星の発見だけでなく、
そこに生命を探るというこれまでの常識を打ち破るミッションに挑もうとしています。それを可能にするのはTMTの高い解像度と集光力。
惑星表面の反射光、さらに大気を通過した主星の光を観測し、生命に関連した酸素や有機物の検出を目指します。
反射光をとらえる
惑星の光を分析して大気の組成を調べる。
すばる望遠鏡で観測に成功した木星型惑星。TMTはより小さな地球型惑星を直接捉えることを目指す。
大気はそこに含まれる物質の組成に応じて特定の波長の光を吸収する。つまり、スペクトルの暗い部分(吸収された波長)を調べることで、大気中にどのような物質が存在するかを探ることができる。
すばる望遠鏡は、ビッグバンから10億年以内に存在した銀河を多数発見しました。TMTは、その高い感度でさらに時代をさかのぼり、
宇宙最初の銀河やそこで誕生している最初の星々を捉えることができます。このような観測によって、
宇宙の大規模構造と呼ばれる銀河の分布が、どのように形成されたのかを解き明かそうとしています。
宇宙の大規模構造
銀河の分布は一様ではありません。銀河は銀河団と呼ばれる集団をつくりある場所に集まり、銀河がまったくない空間も存在します。
宇宙に見られるこのような銀河の分布の様子を宇宙の大規模構造と呼びます。
- 遠方の天体の赤方偏移が10年程度でどう変化するかを測ります。これにより、宇宙膨張の速さがどのように変化してきたのかを直接測定できます。
- 宇宙初代の大質量星が起こす超新星爆発は、ガンマ線バースト現象を引き起こす可能性があります。ガンマ線バーストの残光を観測し、初代の大質量星の正体を探ります。
- 銀河の中心に形成される超巨大ブラックホールの質量と、塵がつくる周辺の構造を解明します。
- 天の川銀河とその周辺の銀河を構成する個々の星の運動や組成を測定し、天の川銀河の形成史と暗黒物質の役割を解明します。
- 太陽系の小惑星や外縁天体の姿を直接とらえて構成物質や構造を明らかにし、太陽系の形成過程に迫ります。
30mの“巨大な目”は、天文学の最前線を一新する可能性を秘めています。
宇宙膨張や銀河の形成から太陽系の小天体まで、幅広い領域でこれまで困難だった観測を可能にします。
今、なぜTMTなのか?系外惑星に生命が存在するとき、私たちの生命観は
どのように変わるのか?天体の出発点を探る“宇宙の考古学”はなぜ可能なのか?
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