TMT主鏡分割鏡材の製造が100枚を突破
超大型望遠鏡TMT(Thirty Meter Telescope)の30メートル主鏡を構成する分割鏡の製作が順調に進んでおり、すでに100枚の鏡材が製造されました。これらの鏡材の一部はすでに表面研磨加工の工程に入っています。
TMT は直径30メートルの主鏡で光を集める望遠鏡であり、主鏡は492枚の鏡を組み合わせることによって構成します。それぞれの鏡を分割鏡とよんでおり、交換用の82枚と合わせて574枚必要になります。鏡材は日本が製作を分担しており、2013年度から量産が始まっていました。
TMTで必要となる574枚の分割鏡のうち、すでに100枚以上の鏡材が日本で製造されました。うち50枚は栃木県宇都宮市にあるキヤノン株式会社の工場に表面研磨のために送られています。キヤノンと国立天文台は鏡の研磨工程を確立しています。日本以外での鏡の研磨についても、中国、インドおよび米国の協力により開発が進められています。
主鏡分割鏡の製作は、神奈川県相模原市にある株式会社オハラの工場における鏡材の製造から始まります。TMTは鏡材として、オハラで開発された特殊なガラスセラミック材「クリアセラムTM」を採用しました。これは鏡が気温変化によって変形を起こさないよう、熱膨張率ゼロとなる高品質の素材であり、TMTの厳しい仕様を満たすものです。
家正則TMT評議員会副議長(国立天文台名誉教授)は「TMT建設の進展の一翼を日本が担っていることを誇りに思います。人々が協力し、アイデアを共有しながら作業を進めることで素晴らしい成果が生まれている一例といえます」と語っています。
現在、TMT建設は、参加5カ国各地での望遠鏡の各部分の製作により進められています。ヘンリー・ヤンTMT評議員会議長は、「日本の主鏡分割鏡の製造は、 現在進められている重要な望遠鏡製作工程のひとつです。TMTプロジェクトは、世界の5地域で建設作業が進行している、文字通り、正真正銘の国際協力といえます」と語っています。
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