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非球面研磨加工を終えた分割鏡の最初の品質審査が行われました

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TMTの直径30メートルの主鏡は492枚の分割鏡で構成されます。鏡材はすべて日本で製作され、球面形状に研削された後、日本、米国、インド、中国で分担して非球面加工(研削および研磨)が行われ、さらに外形加工および支持機構への搭載の工程に進みます。各工程での品質を保証するため、それぞれのステップでTMT国際天文台(TIO)による審査が行われます。このたび、非球面研磨された分割鏡の最初の品質審査が行われ、主鏡製作における重要な一歩となりました。

審査の対象となったのは、日本が担当した分割鏡(識別番号:SN023)で、2019年度に研磨加工作業を完了していたものです。非球面加工済みの分割鏡の最初の品質審査であり、TMTの厳しい仕様を満たしていることを確認するために審査は時間をかけて丁寧に行われましたが、2020年12月に無事合格となりました。

日本における分割鏡の研磨と測定プロセスの視察 - 左から大屋真(国立天文台)、ベン・ギャラガー、エリック・ハンセン(共にTIO)、カール・ニスリー(ジェット推進研究所)。研磨の精度を調べるために、2次元形状計測器(2DP、写真右側)を使用します。写真左側の鏡材は、計測の基準となる「参照球面」です。(クレジット:キヤノン株式会社/国立天文台)

非球面研磨面の測定。研磨を行なっている分割鏡の上に、クレーンでつられた2DPが移動します。分割鏡との位置合わせののち、2DPの61本の接触式プローブによって分割鏡の表面形状が精密に測定されます。(クレジット:キヤノン株式会社/国立天文台)

今回の品質審査に至るまで、国立天文台の主鏡部門に加えて、TIOのシステムエンジニアリング、光学、品質保証部門のメンバーが一丸となって協力しました。非球面研磨加工は日本、米国、インド、中国の4カ国で行われるため、異なる施設・設備でも整合性のある研磨結果になることを保証するシステムが必要です。研磨結果の計測の基準となる、日本の「参照球面」は、一度米国に送られて、米国の「参照球面」と交互測定することによって較正されました。さらに、六角形にカットされ支持機構に搭載された分割鏡を日本と米国で測定して、同じ結果が得られることも確認されました。このようにして各国で研磨された分割鏡の表面形状が保証されます。計測の結果は、非球面加工と測定方法の詳細な情報も合わせたデータとしてまとめられ、TIOの品質保証部門で恒久的に管理されます。

非球面研磨された鏡材の目視確認を行うTIO主鏡部門のグレン・コール (2019年撮影)。目に見えるような傷やひび割れがないことを現地で確認します。(クレジット:キヤノン株式会社/国立天文台)

TIOの機械系システムエンジニアのジョシュ・チャーチは、「最初の一枚(SN023)が品質審査に合格したことにより、二つの意味で次段階への道筋がついたといえます。 一つは、SN023が次の外形加工を待つだけの状態になったこと、もう一つは、研磨が完了している残りの分割鏡も品質審査を始められることです」と喜びを語ります。
日本での研磨加工を担当したキヤノン株式会社の主要エンジニアである太田哲二氏は、「SN023の性能がTMTの求める厳格な仕様と検査項目に合格したことを喜ばしく思います。私たちは、引き続き、次の10枚の研磨済み分割鏡の品質審査に向けて準備を始めており、今後も多くの分割鏡が同様の審査を受けることになるでしょう」と展望を語っています。コロナ禍で困難な海外渡航の状況が変わり次第、次の審査に向けた現地での立ち会い検査が計画されることになっています。
国立天文台の大屋真 特任准教授は、 「主鏡材は要求事項を満たすように研磨してあります。その品質が合格基準を満たしていることを各関係者が改めて相互に確認し、合意に達することができたので安心しました。品質審査は非常に厳密に丁寧に行いますが、SN023は最初の一枚ということで特に時間をかけて慎重に作業を進めてきました。今回の審査過程を経て品質確認のための手続きが確立できたので、これまでに生産された他の研磨済み分割鏡についても品質審査で速やかに合格が得られると考えています。主鏡の量産再開時には次工程である外形加工を速やかに開始できるように準備を整えておきたいと思います」と今回の審査の意義を語っています。

主鏡の製造工程。今回は、非球面研磨が完了した段階での品質審査でした。審査に合格した分割鏡は、六角形の外形加工へ進むことになります。(クレジット:キャノン株式会社/国立天文台)

TMTの分割鏡の配置図。日本、米国、インド、中国が研磨を分担する箇所がそれぞれ青、緑、黄、桃色で表されています。配置図にふってある数字は分割鏡の表面形状にふられた番号で82種類の異なる形状を表します。今回審査が行なわれたSN023は、図で3と番号が打たれている分割鏡に相当します(SN-シリアルナンバーは、分割鏡の製造順につけられた番号です)。(クレジット:TMT国際天文台)

 

参考:Approval of the first Production Roundel for Thirty Meter Telescope’s Primary Mirror (TIOウェブサイト)

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