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TMTの望遠鏡本体が最初の製造前準備審査を合格

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望遠鏡本体のCG。望遠鏡本体は、幅が約55m、高さが約50m、重量が約3000トンの巨大な構造物です。主鏡や観測装置を支え、望遠鏡を目的の天体に素早く正確に向ける役割を担います。(©NAOJ)

TMTの望遠鏡本体が、全6回に渡って予定されている製造前準備審査(Production Readiness Review)のうち、最初の審査(PRR1)を合格しました。製造前準備審査とは、対象となる部位の製造図面、インターフェース、品質や安全面などの検証項目を審査し、合格すると対象部の製造開始が認められるものです。

PRR1では、「高度軸ジャーナル」、「ピントルベアリング」、「下部チューブ」とよばれる三つの部位が審査対象となりました。

PRR1の対象となった望遠鏡本体の構造。(1)ピントルベアリング(図の下にある円形の構造)は、望遠鏡の固定構造の一部で、免震システムを介して基礎に取り付けられています。方位角の回転を支える、直径10mの静圧軸受構造です。(2)下部チューブは、主鏡と第三鏡を支えるためのトラスフレーム、(3)高度軸ジャーナル(図の左右にある二つの半円構造)は高度角の回転を支える構造です。(©NAOJ)

2021年4月5日にPRR1を締めくくる会議が行なわれました。この会議の目的は、2020年3月に実施されたPRR1審査会で残された主要課題がすべて終了したことを確認することでした。いくつかの重要な設計更新が完了したことが確認され、PRR1は審査委員会からの完全な承認を得ることができました。詳細設計完了からいよいよ材料調達、加工へ進むお墨付きをもらうという大きな一歩が踏み出せたことになります。

PRR1最終会議のスクリーンショット。国立天文台とTMT国際天文台(望遠鏡構造、システムエンジニアリング、プロジェクトマネジメントチーム)の代表者間でオンライン会議が行われました。国立天文台からは、望遠鏡部門の齋藤、杉本、寺田、楠本と臼田プロジェクト長が参加しました。(©TMT国際天文台)

国立天文台の齋藤教授は「最初の製造前準備審査に合格したことは、チームにとって非常に素晴らしいことです。これにより、詳細設計の完了から材料の調達・製作までを進めることができるようになりました。もちろん、これは最初の一歩であり、今後も何回かの製造前準備審査が待ち構えていますが、今回の成果は、きたるべき製造フェーズに向けてチーム全体の志気を高めるものです。設計・製造を担当する三菱電機チーム、TMT国際天文台(TIO)、国立天文台の皆さんの貢献に感謝します」と述べています。

TIO望遠鏡構造グループ長のカイル・キノシタ氏は「2020年3月に実施されたPRR1審査会で残された課題の解決に向けて努力し、優れたチームワークを発揮した設計チーム(国立天文台、三菱電機、TIO)およびTIOシステムエンジニアリングチームに心から感謝します。TMTのすべての光学機器と観測装置を搭載する巨大な支持構造の製造が間もなく開始されることに信じられない思いです。これまでに建設された光学赤外線望遠鏡の中で最大級の望遠鏡構造になります。TMTの建設における大きな一歩です」と語ります。

今後、数年のうちに、残りの可動構造部品の大部分とナスミス台を対象とした製造前準備審査会が予定されています。


参考:TMT’s Telescope Structure progresses to Production Readiness (TIOウェブサイト)

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