TMTに使われる新しい技術が日本機械学会賞を受賞
TMTの望遠鏡本体に用いられる新技術に関する論文が、2024年度日本機械学会賞(論文)を受賞しました。授賞式は2025年4月24日、東京都港区の明治記念館で行われました。

日本機械学会賞の授賞式へ参加した、(右から)川口昇氏(三菱電機)、山田克彦氏(大阪公立大学)、服部友哉氏(三菱電機)、斎藤正雄、杉本正宏(国立天文台)。この他、共同受賞者に、江崎豊氏、高木淳治氏(三菱電機)、佐藤訓志氏(大阪大学)。(クレジット:国立天文台)
日本機械学会賞(論文)は、日本の機械工学・工業の発展の奨励を目的として設けられ、過去3年間に発表された論文のうち、独創性や発展性、産業界への広い影響力が認められた論文に授与されます。
今回受賞の対象となったのは、TMT望遠鏡本体の「高度軸スラスト油圧支持システム」に関する研究です。望遠鏡本体は、「高度軸ジャーナル」と呼ばれる左右2つの半円の構造に沿って上下方向に回転します(2021年5月25日のNEWSを参照)。高度軸スラスト油圧支持システムは、2つの高度軸ジャーナルを水平にしっかりと支えるためのしくみで、望遠鏡本体が左右非対称にねじれたり、観測装置までの距離がずれたりするのを防ぐ大切な役割を担っています。
受賞した論文では、開発した油圧支持システムが期待通りに性能を発揮することを、試験とシミュレーションによって確かめた成果が紹介されています。さらに、この技術は、望遠鏡だけでなく、他の大型構造物を支える油圧システムへの応用も期待されています。
受賞論文の筆頭著者である三菱電機・電子通信システム製作所の服部友哉氏は、「この度は日本機械学会賞という栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。TMTにおいては第一に国立天文台殿他による最先端の天文科学研究の発展に貢献させていただくことを目指しておりますが、世界最高性能の望遠鏡の開発は機械系装置や技術を含め産業界にも幅広く影響を与え、日本のものづくり分野の発展に大きく貢献するものと考えております。今回の受賞を通じて、TMTに興味を持つ方が少しでも増えてくれれば幸いです」と語ります。