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TMTとマウナケア

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4月15日に掲載した「TMT現地建設工事の進捗と背景について」で参照したTMT国際天文台のページ(TMTとマウナケア)では、TMT計画の背景と関連資料、よくあるご質問への回答(FAQ)、最近のニュースなどがまとめられています。以下に、FAQの日本語訳を掲載します。

文化的背景

  • TMTは、マウナケアの文化的資産を保護するためにどんな取り組みを行っていますか?

TMTは、ハワイの伝統文化保存、最先端科学振興、環境保護、そして、地域の教育振興に配慮したマウナケア開発の新しい枠組みの構築に取り組んでいます。TMTは、マウナケアで発見された考古学的・文化的資産の重要性を理解しており、計画当初からマウナケアの文化と景観の保護に重点的に取り組んできました。「2000年マウナケア科学保護区マスタープラン」では、エリアEと呼ばれる北側の台地が、考古学的、文化的、あるいは生物学的にも影響が最小限であるという理由で、次の天文台建設地として選定されました。同マスタープランは、マウナケア山頂の開発をこれ以上検討すべきでなく、それらの文化的区域は保護されるべきだという、ネイティブ・ハワイアンの懸念に注意を払っています。

  • TMT建設用地には遺跡はありますか?

マウナケアは、ハワイの人たちにとって先祖から伝わる歴史に満ちた山です。文化的、精神的な儀式が行われる最も神聖な場所を保護するため、およそ15年前に、マウナケア山頂の神聖な地域において天文台をこれ以上建設しないという決定がなされました。TMT建設用地の選定に際しては、マウナケアに敬意を表し、考古学上も環境上も影響が最小限となるように、細心の注意が払われました。そのようにして選定された建設用地には、遺跡や神殿、また墓所も見つかっておりません。

  • TMTが建設されるマウナケア科学保護区はどのような地域なのですか?

マウナケア科学保護区は、保護地区として指定されており、ハワイ大学がハワイ州から管理を委託されています。ハワイ州法では、天文学は保護地区の利用目的の1つとして指定されています。

  • TMTはハワイの地域社会から支持されていますか?

TMTは、マウナケアの文化的重要性を十分認識し、建設許可プロセスの7年間を通してハワイの地域社会との協調に向けた対話を続けてきました。ハワイ人関連問題事務局(OHA)は、そのような協力団体の1つです。TMTは、ネイティブ・ハワイアン共同体からの有志者メンバーで構成され、地域に密着した評議会であるKahu Ku Maunaとも協議を重ねてきました。同時にTMTは、あらゆる人がもつ個々の意見や、平和的かつ冷静に抗議する権利も尊重しています。

  • TMTは既存の望遠鏡施設の建替えという形で建設できないのでしょうか?

マウナケア山頂の尾根部分にある既存の望遠鏡を廃止してTMTを建設すると、建設予定地に建てるよりも景観上の影響が大きくなりますし、大規模な整地も必要になります。TMT建設用地は、マウナケアで最も神聖だと考えられている場所からは見えないこと、周辺に遺跡、古代の墓所、絶滅の危機にあるマウナケア固有の動植物が見つかっていないこと、また、多くの整地作業を必要とせずに建設できる場所であるという理由から選定されたのです。

環境保護

  • TMTは帯水層に影響をおよぼすのでしょうか?

専門的な水文学者の総合的調査研究により、TMTおよび現存する13の望遠鏡は帯水層に危険をおよぼさないことが確認されています。8000フィート(約2400メートル)を超える標高での降水量はわずかで、これらの天文台が位置するのはそれよりはるか上の、標高約14000フィート(約4000メートル)のマウナケア山頂です。マウナケアで水流が溜まる地域は、雨が降るような高度が低い場所にあります。TMTは、廃棄物ゼロ施設として設計されており、すべての廃棄物は山頂から安全に搬出されますので、島の飲料水の質に悪影響を与えることはありません。つまり、完全に密閉された廃水システムなのです(訳注:山頂施設には二重壁構造の廃水槽が設置され、施設で使用された全ての廃水と化学薬品は外部に漏れることがないように安全に管理されます)。州当局や裁判所は、TMTがマウナケアの水源や水循環に悪影響を与えないという専門家集団の報告書を承認しています。

  • TMTは環境に関してその他にどのような点に留意していますか?

TMTはマウナケアの文化と自然を保護するために「(マウナケア保護地区の)包括的管理計画」に従います。建設の間も遺跡や文化資産に対する配慮を常に行います。

地域社会への影響

  • TMT計画により、ハワイの地域社会にはどのような利点があるのでしょうか?

ハワイ島の学生が科学・技術・工学・数学(STEM)の分野を習得し、ハワイの21世紀経済において科学技術に関連した高給与の職業に就けるよう、より良い体制を整えるため、TMTは2014年に「ハワイ島THINK基金(THINK基金)」を創設しました。TMTは、THINK基金に対して年間100万ドルの寄付を行い、ハワイ・コミュニティ基金(HCF)とPauahi基金がその寄付金を管理します。

THINK基金は既に、ハワイ島内各地の30を超える教室に寄付金を提供しました。また、HCFは、「STEM学習助成プログラム」により50万ドルをハワイ島の学校や非営利団体に対して提供したことを発表しました。

TMTはまた、職業教育プログラムを開始しました。ハワイ州の教育省、ハワイ大学ヒロ校、ハワイ・コミュニティ・カレッジ、ハワイ郡政府、非営利組織と協力して、ハワイ大学ヒロ校、ハワイ・コミュニティ・カレッジ、および初等・中等教育機関(小学校から高校)におけるSTEM教育のための基盤強化を行い、低所得などのためこれまで大学出身者がいなかった家庭からも大学進学ができるように尽くします。TMTは、この職業教育プログラムが正式に始動した際には、毎年追加寄付を行う約束をしています。

財政状況

  • TMTは完成後、どのように運用資金を調達する予定ですか?

望遠鏡は通常、研究に関わる大学、政府、企業が建設し資金提供を行います。TMTも同様に、運用のための資金を大学や研究機関が提供し、TMTでの観測時間を得ます。マウナケアのどの天文台も、営利目的で運用されているものはありません。

  • TMTは土地の借用代としていくら支払いますか。またそのお金はどのように使われますか?

2014年以降TMTは、最初の3年間は年間30万ドル、4年目と5年目に年間40万ドル、建造物の完成以降は年間60万ドル、観測装置や鏡が設置されて以降は年間70万ドル、建設10年目には90万ドルを支払う予定です。その後、望遠鏡の運用期にはTMTは年間100万ドルを支払います。土地借用代の8割は、マウナケアを管理するマウナケア山頂管理事務局に支払われ、残りの2割はハワイ人関連問題事務局(OHA)に支払われます。

  • TMTの年間運用費の見積額はいくらですか?

基本運用費として年間2700万ドル、また観測装置の開発費として年間1200万ドルが、年間運用費として見積もられています。(2010年度見積額)

  • TMT運用のためにどれくらいの雇用が創出されますか?

TMTは、不足している雇用の機会と、産業界がTMTの開発、運用、保守を支援する可能性を提供することになります。8年から10年におよぶ建設期には、300人ほどの地元の専門建設業の雇用を創出します。完成後は、天文台の運用に年間2600万ドルの経済効果と140人の雇用を生み出します。TMTは、ハワイの住民の方々を可能な限り多く雇用するよう取り組みます。

コンプライアンス

  • TMTの環境影響評価報告書は承認されましたか?

TMTの最終環境影響評価報告書(FEIS)は、2年間のパブリックレビューや改訂プロセスの後、2010年5月に承認されました。FEISは、承認後、異議申し立てを受けていません。

FEISは、マウナケア山頂管理事務局の以下のページでご覧いただけます(英語のみ)。

http://www.malamamaunakea.org/uploads/management/plans/TMT_FEIS_vol1.pdf

  • TMTは、建設に必要な認可をすべて受けていますか?

7年間にわたるパブリックレビューや当局による審査の後、州や郡から必要とされるすべての認可がTMTに対して発行されました。2014年5月には、第三巡回裁判所(ハワイ島を管轄している州の一審裁判所)のNakamura裁判長が最終判決を下し、TMT計画の「保護地区利用許可(CDUP)」を認める決定を確認しました。それ以降TMTは、望遠鏡建設を進める上で必要なその他のすべての認可や許可を受けました。

  • TMT計画は、保護地区での建設のための8つの要件を満たしていますか?

2014年5月、第三巡回裁判所のNakamura裁判長の最終判決により、認可された管理計画による天文施設はマウナケア山頂の天文地区での適切な土地利用であること、またTMTが「保護地区利用許可(CDUP)」のための8つの要件を満たしていることが確認されました。

・保護地区を管理する州法に準じていること。(訳注:「8つの要件」のうちの三つがまとめられた内容になっています。)

・現存する天然資源に重大な悪影響をおよぼさないこと。

・周辺地域に悪影響をおよぼさないこと。

・物理的・環境的な現況を維持すること。

・土地利用を細分化したり強化したりしないこと

・公衆の衛生、安全性、福祉に対して重大な悪影響をおよぼさないこと。

また、ネイティブ・ハワイアンの文化的な慣習や遺産も尊重されました。

「包括的管理計画」は、マウナケア山頂管理事務局の以下のページでご覧いただけます(英語のみ)。

http://www.malamamaunakea.org/management/comprehensive-management-plan/

地域社会との協力

  • TMTは地域社会への普及活動としてはこれまでにどんなことを行いましたか?

TMTは、マウナケアの文化的な重要性を理解し、配慮しています。そのためTMTは、これまでの計画過程の7年間を通して、ハワイの地域社会との対話や協力を続けてきました。この間TMTは、

・Kahu Ku Maunaを含むネイティブ・ハワイアンのグループと協議を続けてきました。

・地域社会の意見を聞く機会を設けてきました。

・20回を超える公聴会を開催してきました。

・1対1の会合や大小規模のグループでの説明会にも出席してきました。

・コミュニティ・メンバーや関係者との公開対話や有意義な協議にも参加してきました。

・ロボット工学やインターンシップ、放課後や学校の長期休みの間のプログラム等、ハワイ島における多数の理工系教育プログラムを支援してきました。

科学

  • TMTを建設する科学研究上の理由は何ですか?

TMTの科学者は、世界中におよぶ5年間の精密な調査活動により、観測に影響をおよぼす可能性のある大気に関わる事実上すべての特性を測定した結果、マウナケアを選定しました。地球の対流圏の40%を超える高度に位置するマウナケアの建設用地は、特に気候が安定し、乾燥かつ低温地帯であり、それらはすべて、鮮明な画像を捉え最良な科学的成果を生み出すのに重要な特徴です。

ハワイでのTMT建設は、ケック天文台、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡、すばる望遠鏡等の天文台などTMTのパートナーであるハワイの既存の天文施設の能力を活用することにより、天文学研究、発見、イノベーションにおける米国の150年にわたる主導的立場を維持することになります。(訳注:原文は主に米国ハワイ向けに書かれているため、米国の役割が強調されています。)科学的プログラムや観測におけるマウナケア天文台群の連携は、他の方法では不可能な相乗効果を生み出す機会をもたらします。

TMTは非常に鮮明な画像を提供し、それにより天文学者は、既存の望遠鏡では観測できなかった、もっと見えにくく、より遠くにある観測対象を観測することができ、またそれらをより詳細に研究することができるようになります。これは、宇宙に関する基本的な疑問に答える助けとなるよう、私たちが宇宙空間でより遠くまで見ること、また私たちが時間空間をさらに遡って理解することが可能になることを意味しています。つまり、今日では全く期待することができないようなことをTMTでは発見できる可能性が極めて高いのです。

 

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