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八丈島でふれあい天文学

投稿者:TMTプロジェクト

11月11日~14日に、TMT推進室の林が八丈島を訪問し、ふれあい天文学の授業を行いました。前年まで長い間ハワイ島に暮らしていた林にとって、八丈島は到着したとたん「家に帰ったよう」。火山島で、しかも玄武岩質の溶岩であることから地形が似ている、温暖な気候も似ている。八丈島が「日本のハワイ」と呼ばれることを理解した瞬間でした。到着後、さっそく近くの海岸に行き、ハワイ島と似た風景や土壌の撮影。これを、翌日から訪問する学校での説明に取り込みました。

「ふれあい天文学」は、身近にあるものと宇宙とのつながりを児童や生徒の皆さんに考えてもらう貴重な機会です。そのつながりの中で、まだわかってない謎を解き明かす上で、次世代望遠鏡が活躍するはず。しかもそれは今の小・中学生が大学生や社会人になるころに出来るものです。このため「皆さんの望遠鏡」と言い続けているのです。

さて、八丈島は晴れたら星がよく見えるところ(これも、ハワイ島ヒロとよく似ています)。児童・生徒の皆さんは、天の川をもちろんよく知っている。夏と冬では濃さに違いがあること、暗く見えるところがあることも知っています。今年の夏の火星大接近も見ていました。このため、出前授業ではそうした経験知を土台に、話を組み立てることができました。天体や望遠鏡の画像を見てもらいながらも、どちらかと言えば対話形式の授業になっていたのではないかと思います。訪問させていただいた学校は、訪問順で三根(みつね)小学校、大賀郷(おおかごう)中学校、冨士中学校、大賀郷小学校、三原(みはら)小学校、三原中学校です。

今年の授業の目玉はマイ六角形。TMTの主鏡は六角形の部品を492枚並べて1つの大きな鏡にします。本物のおよそ25分の1サイズの厚紙に、銀色の薄いステッカーを貼ってもらい、メッキをすることで反射鏡になることを実感してもらいました。ステッカーと厚紙をきちんと揃え、はみ出さないように貼るのはなかなか難しい。しかもステッカーの縁が反り返ったりする。そのあたり、本物でも困りそうな作業でした。

さらにクラスの皆さんにその六角形を集めてもらい、次々に並べていく。なぜ分割鏡が円や三角や四角ではなく、六角形であるのか、そうすることで隙間なく並べていって、全体では円に近い形を作ることができる様子を実感してもらいました。18枚、36枚など並べると(真ん中に1個分の穴を残す)、きれいな六角形になる、その段階で望遠鏡として十分に使えるようになるのだなあと想像してもらうこともできました。(注:本物は六角形を492枚並べます)

2日目の授業を終えた後、海岸沿いを散歩していたらイルカが2頭泳いでいるところを目撃。翌朝には部屋の中にヤモリ発見。これはハワイ島でゲッコと呼んで親しまれている動物です。(蚊を食べてくれるので、林にとってはゲッコがありがたい。)ウミガメも多いとのこと。道端にはこの季節でもハイビスカスの花が咲いていました。こうした動植物の様子も、ハワイ島とよく似ているのです。

限りある資源を節約しながら使う、物作りや修理に工夫をする、お互いに助け合うといった島の生活を身につけている児童・生徒の皆さんに、ハワイ島にできるTMTで働きませんか?と呼びかけをしました。本当にそういう気持ちを持ってくれる、少なくとも関心を持ち続けてもらえるとうれしいなと思いました。

(写真提供:三根小学校、大賀郷中学校、冨士中学校、大賀郷小学校、三原小学校、三原中学校)

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