2025年、さらなる前進の年に
この冬はラニーニャ現象が起きているようで、ハワイでは、ラニーニャ現象が冬季に発生すると、通常、TMTの建設地であるマウナケア山頂域で雪が降り、ヒロも悪天候になることが多かったのですが、この冬は天候に恵まれ、マウナケア山頂域にも雪がありません。
マウナケアは、はかり知れない恩恵を天文学にもたらし、また地元の方々にとっても大切な地です。昨年、マウナケアで重要な動きがあり、2台の老朽化した望遠鏡が撤去されました。マウナケアの管理に対しては、地元住民の意見が十分に反映されていないことの一つとして、使用されていない望遠鏡が放置されていることがあり、老朽化した望遠鏡の撤去は長年の課題でした。
TMT国際天文台(TIO)のプロジェクトマネージャーと共にハワイに赴任して3年半が経ちました。これまで多くの地元住民と対話を重ね、様々なご意見をうかがいました。TIOが2019年から大きく変わり、TIOの草の根の活動に対する理解が広がっています。その中でも特に要望が高い教育支援等の活動を通じて、信頼関係が構築されていることを実感しています。
2024年4月には、TIOがハワイの中で変わったことが地元新聞で取り上げられました(Hawaii Tribune Herald)。昨年12月に新たに就任したハワイ郡長は、2019年にはTMTの建設に反対していましたが、地元の方々と連携した現在のTIOの活動を評価しています。
天文学にとって、マウナケアは地球上最も優れたサイトの一つです。この恩恵が天文学者だけでなく、より多く、より広く地元の人々に行き届くように、我々も地域の一員として引き続き活動します。
皆様の叱咤激励の声がTMTプロジェクトの励みとなり、TMT実現に向けて前進する力となっており、TMTプロジェクト長として心より感謝申し上げます。今年も一層精進してまいりますので、より一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
国立天文台TMTプロジェクト長 臼田知史、副プロジェクト長 青木和光