伊豆大島で出前授業
こんにちは、TMTプロジェクトの能丸です。2025年1月に、伊豆大島の大島町立第一中学校で授業をする機会をいただきました。東京都大島町は私がすばる望遠鏡の仕事で長年住んでいた米国ハワイ州のハワイ島と姉妹都市提携を結んでいます。そのため、かねてから大島を訪問してみたいと考えておりましたので、今回の授業を大変楽しみにしておりました。
大島へは国立天文台の近くにある調布飛行場から小型機に乗るとわずか25分で行けます。実は授業の前の週は海が荒れて、ジェット船が3日も欠航しました。欠航が分かる前に教材を事前に郵送することも考えたのですが、万一届かないことも想定して持参することにしました。その選択は正しかったと思います。
大島は英語に直訳するとビッグ・アイランド、ハワイ島の通称と同じです。名前が同じだけでなく、島には活火山があって時々噴火していること、島の形が丸っこいことなど、大島にはハワイ島との類似点があります。大島の町の雰囲気もなんとなくハワイ島の小さな町に似ていました。
第一中学校は島の西部、元町にあり全校生徒はおよそ60人、大島の中では大きな中学校ということです。授業は体育館でおこなわれ、全校生徒が集まってきました。話はすばる望遠鏡での私の仕事のことからTMTへの説明に移り、30mの鏡でどんなものが見えるのかについて説明しました。次に流星の話に入り、流星はいわゆる「星」ではないこと、その母体である彗星やオールトの雲やカイパーベルトといった太陽系天体について話をしました。次にこれが分かれば学校の天文の授業はとても楽しいものになると思い、地球の日周運動と地球の回転方向との関係を説明しました。この部分はいつもどうすれば分かりやすくなるか工夫していますが、うまく伝えるのがむずかしいところです。生徒さんからは一番明るい星は何かとか、宇宙の果てには何があるとか、天文学は何の役にたつのかなど、講師泣かせの質問がずらりと並びました。これらも生徒さんにも考えてもらえるように説明を試みました。
東京に行く飛行機も船も午後3時までに出発してしまうので、授業が終わる時刻になるとその日のうちに東京に戻ることはできません。1泊して翌朝空港に行ったところ、強風で飛行機が運航できるかどうか分からないとのこと。ジェット船はすでに欠航が決まっていて島内放送でアナウンスされていました。しばらく空港で待っていたところ飛行機の運航が決まり、予定通りに調布飛行場に戻ることができました。島での生活の大変さを知らされると同時に、同じ島でも飛行機の欠航がほとんどないハワイ島がいかに便利なところだったか、あらためて思い起こされました。
この出張授業には、TMTへの寄付金を活用させていただきました。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございます。
(写真提供:大町立第一中学校)