秋田県の西仙北小学校でふれあい天文学
2020年が明けて早々の1月15日、秋田県南部の大仙市にある西仙北小学校の6年生と、天文学や宇宙生命のお話をしました。これは国立天文台が開催する「ふれあい天文学」事業の一環で、講師として出向いた林は秋田県出身です。
雪囲いがあまり見当たらない、つまりそれほどの豪雪地帯ではない所のようですが、それにしてもこの冬は積雪がとても少ないとのこと。曇天が多いとはいえ、空の広がりからすると、晴れたら素晴らしい星空が見えるはず。JR奥羽本線の刈和野駅から5分も歩くと、小学校が見えてきました。校門のところには学校のモットー「こころつなぎ みちひらく」の看板が。これは大きなプロジェクトの遂行でも同じことと思い、お話の中でさっそく引用させてもらいました。この言葉が児童の皆さんに定着していることは、廊下ですれ違うときの元気な挨拶や、休み時間に上級生が下級生を見守る様子によく現れていて感心しました。
2校時と4校時、それぞれ6年生のクラスで宇宙の不思議を主なテーマにお話。まずは星空が昔から人類にとって親しみのあるもので、なおかつ生活にとって有用な情報を提供してきた例から入ります。天体により時や季節を知る、これは狩猟・採集に頼っていた時代から、農耕の時代を経て今でも役立つものです。実は、冬休みに入る前に宿題として、地元に古くから伝わる星や星座の呼び名を、家族や親戚に聞くようお願いしていました。そうした呼び名には地形や地元の産業の特徴を表すものがあるはずですが、既にすたれてしまっているようで、それは残念なことでした。
いよいよ本題では、すばる望遠鏡が見つけた面白い天体を例として、人類の宇宙観の変化を一緒に考えてみました。2019年のノーベル物理学賞の対象も良い話題です。次にすばる望遠鏡に使われた先端技術の紹介と、それらが次世代望遠鏡につながっているというお話。次世代の超大型光学赤外線望遠鏡、たとえばTMTが活躍し始めるのは、今の小中学生が大学生や社会人になるころ。小学生にとって大人になるということはまだ想像しにくいようですが、夢を持つ、それを追いかけるということについて少し実感が湧いたようです。宇宙の面白い現象の画像や望遠鏡の動きを示す動画を熱心に見つめてくれました。最後に、TMTの分割鏡を模した六角形台紙に銀色シールを貼ってもらい、それをクラス全員で並べてもらいました。6年松組バージョンと竹組バージョンの次世代望遠鏡ができました。また、国立天文台や国際天文学連合の宣伝用ステッカーも配布。ロゴが面白い形だなあとの感想もあり、小学校で英語の授業が始まっていることから、日本以外の人と話をしてみたいという意欲も感じられました。次世代の望遠鏡で活躍する人がきっとこの中から出てくるのではと確信した次第です。