ハワイ島ヒロでの集中出前授業 「アロハ! いつもお世話になっております」
ハワイ島のヒロには、マウナケアで望遠鏡を運用している天文台の山麓施設が多数あります。毎年3月、そこの職員たちが、地元の学校で集中出前授業を繰り広げます。16回目となった今年は、新型コロナウイルスにより、直前になって参加を取りやめざるを得ないケースがありましたが、それでも小中高校のたくさんのクラスに、天文や望遠鏡の話が届きました。職員たちは、地元出身であるかどうかにかかわらず、もうすっかり地域に溶け込み、近所のおばさん、おじさん的な感じで学校訪問ができるようになってきています。TMTプロジェクトの林も、3月2日から5日にかけて、3つの中学校の8つのクラスを訪問しました。
ハワイ島は、島全体が火山活動から出たもので構成されています。すばる望遠鏡のあるマウナケアでは、赤みがかった火山灰や火山礫が独特の風景を作ります。教室の窓から見えるグランドも、芝や赤土の下は火山礫、あるいは溶岩。この溶岩に含まれる主な成分は何だろう、そしてそれはどこから来たのか、もともとどこで作られたものだろうか?
一方、現在さかんに動き回っているローバーたちのおかげで、お隣の惑星、火星の詳細な画像が得られるようになり、中にはマウナケアやマウナロア、キラウエアといったハワイ島の山々とよく似た景色が見られます。2つの写真を比べてみよう。どこが似ている、どうして似ているのだろう?
この宇宙には太陽系以外にも惑星系があることがわかってきました。しかもその数はどんどん増えています。「地球に似たところがあるだろうか?」、「きっとあるよ。地球は、この宇宙に仲間がいる、もしかして地球型生命に似た生物もいるかもしれない」。こういうやり取りが、サイエンスフィクションではなく、サイエンスとして中学校の教室で話される時代になっています。
ヒロでは、小学校の最初から、毎年出前授業を聞いてきた子どもたちが増えています。自分も将来は理工系の仕事をしようかなと普通に考えるようになってきたのでは? 「みなさんは、人類が火星に行く世代、そして地球によく似た惑星をどんどん見つける世代、期待してますよ!」と授業を締めくくりました。