大学の卒業生の会でオンライン講演
新型コロナウィルス感染症の影響で、これまでのようなイベント開催が難しい中、オンライン会議システムを利用した取り組みが様々な場面で行なわれるようになっています。オンラインの利点は、会場まで足を運ばずに参加できること。今回は、TMTプロジェクトの林が勤務地の米国カリフォルニア州から講演を行ないましたので、ご報告いたします。
6月19日の夜(日本では20日の午後)、オンライン会議システムを利用して「人類はやはり宇宙を目指す」というお話をさせていただきました。これは東京大学の女性卒業生の会年次総会の一環でした。日本以外からも接続があり、70人を超える方々が参加されたとのことです。
すばる望遠鏡は惑星系から遠方の銀河まで、様々な天体の様子を明らかにしてきました。夜空の宝石箱を見いだすような営みです。あたかも貴重な宝石を1つ1つ取り出すように、すばる望遠鏡からの成果をお話する中で、たくさんの質問や感想をいただきました。系外惑星の紹介に対しては、人類が住める環境が他にもあるのかという問いがありました。太陽のような星はエネルギーを出せなくなると静かに冷えていくという星の一生のお話については、それでは地球はどうなるのかとの問いが。「一生」と関連して、巨大望遠鏡の寿命についての質問もでました。
すばる望遠鏡の近くには、日本・韓国・台湾・中国で共同運用している観測施設もあることに驚かれた方もいたようです。何しろ天文学は地球を超えた対象を扱っていますから。
このすばる望遠鏡で培われた技術や協力関係が生かされ、地球人の半分超の人口を擁する国々が協力して作る次世代超大型望遠鏡は、さらにいっそうわくわくするような知見を私たちにもたらすでしょう。
オンライン講演会のありがたいところは、特に私のように日本ではないところで仕事をしていても、日本、また世界の各地にいる方々と同時にお話ができることです。1カ所に集まる通常の会議形式では、遠方からの参加や、現地で託児サービスがあるとはいえ、子どもさんを抱えている方の参加はなかなか難しい。オンラインでの参加によってより広い範囲の方に、空を見上げるきっかけをつかんでいただけたのではないでしょうか。