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野辺山宇宙電波観測所 特別公開で講演

投稿者:TMTプロジェクト

国立天文台野辺山宇宙電波観測所の2020年度特別公開が、新型コロナウィルスによる感染症拡大をおさえるため、現地参加ではなくオンラインで開催されました。工夫を重ねたいくつもの番組の一つが講演会です。TMTプロジェクトの林が、お客様のおうちに伺ってお話させていただく感じで進めさせていただきました。今回の講演は、野辺山宇宙電波観測所の45メートル電波望遠鏡の立ち上げ時期に、林が大学院生として野辺山にいたご縁によるものです。テーマは「地球人連帯による天文観測を進め、宇宙人との出会いに備えよう 〜 多様な人材の集まりが組織の強さを作る 〜 」です。長いタイトルがそのままメッセージになっています。

野辺山宇宙電波観測所のアウトリーチ活動をリードしている衣笠健三さんがいる野辺山現地、司会の梅本智文さんとインターネット配信担当の三上真世さんのいる国立天文台三鷹キャンパス、林がいるカリフォルニアと、国内外の拠点をつないでの番組です。本番で確実にお話をお届けできるよう、2度のリハーサルを行い、複数のオンライン会議システムを試験しました。お客様にはストリーミングで見ていただき、質問やコメントをチャット欄に入れていただく。司会の梅本さんがそれをまとめて、会議システムの方から問いかけをしていただき、林がお答えしました。全体で1時間ちょっと、日本のお昼の時間に差し掛かりましたが、800を超える接続があったとのことで、多くの方に参加いただけたのはうれしいことです。

講演参加者から送っていただいたスクリーンショット。国立天文台野辺山宇宙電波観測所の2020年度特別公開は8月29日土曜日に行なわれました。

この夏はネオワイズ彗星が日本の各地からも見られ、また火星に向けての探査機打上げにどきどきしました。一方、もっと遠くの宇宙の話題も豊富です。電波(干渉計)観測で明らかにされたブラックホールの様子や惑星系のできる領域など、「宇宙のあちこちで見つかる輪(和)」。電波で探ることのできる新たな宇宙の姿です。では電波観測では何を調べることができるのか、そしてそのためにはどのような技術が必要になるのか? 様々な技術が必要になることから、人材としても多様な人々が関わることになります。

一例として、 野辺山宇宙電波観測所の初期の様子から、45メートル電波望遠鏡の主鏡(パラボラ)の形を整える方法を紹介しました。メーカーの方々を含む多くの技術者の方に混じって、林もパラボラやその上の副鏡の上に上っていました。このころからすでに女性の研究者が関わっています。そしてその後、世界各地の電波望遠鏡で活躍する女性たちが野辺山宇宙電波観測所から輩出しています。

では日本が関わる大型プロジェクトの次のものは?ここで林はいっそう張り切ってTMTプロジェクトを紹介しました。日本には物づくりの文化があります。世界のいろいろな国と協力することにより、ヒトが誰でも持つような素朴な疑問、この世界の成り立ちについて答えを見出せるような次世代望遠鏡を作っていきたい、そしてそのようなプロジェクトをリードするメンバーが日本からどんどん登場してほしい。最後は話が日本に戻って来ました。

お客様からの質問は、45m望遠鏡のパネルや温度変化対策のような技術面の質問、また宇宙県として知られる長野県にある他の施設との違い、重力波で観測されるものとの関係、など多岐にわたっていました。可視光観測に比べてなじみの薄い電波天文学ですが、関心を持って聞いて下さったことをありがたく思う次第です。地球外生命に関する質問もありました。そのテーマについてはTMTの活躍をぜひご期待ください。

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