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オンライン授業の広がり(1) ~ 病院の中の学校との交流 ~

投稿者:TMTプロジェクト

国立天文台が例年アレンジしている出前授業企画「ふれあい天文学」ですが、2020年度はパンデミックのため、オンラインでの授業が多くなりました。そのおかげで実現しやすくなったケースもあります。2020年11月から12月にかけて、TMTプロジェクト・カリフォルニア事務所の林がオンラインで日本につないで行った授業について、3回に分けてご報告します。初回は、東京都立小児総合医療センターにある東京都立武蔵台学園府中分教室わかば学級とつないでの交流についてです。

わかば学級の中学生の皆さんとは、「わたしたちはみんな星の子」というテーマで、宇宙にどんな生物がいそうか考えてみました。地球のような水や空気のある惑星が、そろそろ見つかりつつあります。なじみのある格好をした動物がいるかどうかはともかく、何らかの生命体を見つけられるかもしれないね。折しも月でH2Oが見つかったというニュースのあとでした。(航空機に搭載した望遠鏡により、地球大気中の水の影響を受けにくい高度から、月の岩石に含まれるH2Oを測定したもので、全体をかき集めても地球の砂漠にある水より少ないとか…)

先生たちが事前に、病室付近でのWi-Fi受信状況も確認してくださり、用意万端。オリオン大星雲フライトビデオを流したところ、すごーいのため息が聞こえます。小体育館に集まった生徒さんにとっても、病室から参加した生徒さんにとっても、天井の向こうにそんな景色があるのだと想像してもらえたようです。

少人数なので、こちらから問いかけ、考えてもらい、発表してもらうというやりとりができました。生徒さんからの質問を、先生方がとても巧みに誘い出します。自分が行ってみ たい環境について考えてもらったところ、景色がきれい、緑がある、そして大事なこととして呼吸に必要な成分を含む空気があるところ、でした。

質問がたくさん出て時間超過のあと、最後に校長先生が、「これからも空を見上げよう、自分に自信を持とう」と、生徒さんたちに呼びかけをされました。厳しい闘病生活において、外の世界しかも遠くの宇宙の話題に触れることが、生徒さんにとって特別な意味を持つことが感じられた次第です。

「わかば祭」という作品展示会用に作ったふれあい天文学のポスター。授業の様子や生徒さんたちの感想が、素敵なイラストと共にまとめられていますね。南カリフォルニアでは背の高いヤシの木をよく見かけます。(写真提供:東京都立武蔵台学園 府中分教室わかば学級)

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