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IRISの詳細設計完了に向けた審査会

投稿者:TMTプロジェクト

国立天文台TMTプロジェクトは先端技術センターと協力して、TMTの第1期観測装置の1つであるIRIS(近赤外線撮像分光装置、Infrared Imaging Spectrograph)の撮像系を担当しています。近年は、天文台の職員がTMT国際天文台 (TIO)があるパサデナに赴任し、IRISのシステムエンジニアリングやソフトウェアなどについて、アメリカ、カナダのIRISパートナーと共同して検討しています。

IRISの詳細設計フェーズは、3年間の予定で、2017年秋からはじまりました。、2020年秋には、詳細設計の結果を確認する審査会が予定されていましたが、2020年初頭から拡大したコロナ禍の影響により、詳細設計が遅れ、また、IRISのパートナーや審査員が一同に集まる審査会の開催は当面不可能となりました。コロナ禍の長期化によりオンサイトの審査会の目処が立たないため、オンラインの開催を模索してきました。

そして、ようやく2021年の5月末から6月末にかけて、これまでの詳細設計の途中経過を評価するオンライン審査会を開催することができました。ただ、IRISパートナーや審査員が日欧米に所在するため、時差がどうしてもあります。時差の影響を小さくするため、IRISのサブシステムごとに、審査会の日時を分けて調整しました。

6月21日(パサデナ現地時)の審査会に参加したIRIS関係者と審査員。国立天文台からは、大渕、鈴木、早野、中本、清水の5名が参加しました。(クレジット:TMT国際天文台;Courtesy TMT International Observatory)

国立天文台が担当する撮像系のレビューは、米国が中心に進める分光系と合わせて、6月21日から23日にかけて、米国・パサデナの午前中の4時間、つまり日本の真夜中から未明に実施されました。審査委員長がイギリスから、他の審査員はアメリカ東西海岸から参加したためです。撮像系、分光系とも主に、要求仕様書とインターフェース仕様書の詳細、光学系、機械系、光学機械系、電気系などの設計や性能解析、設計の根拠を明確にするためのプロトタイプ試験結果が審査されました。また、組立・調整計画、要求仕様の検証方法、リスク解析についての評価も行われました。

審査結果の正式なレポートは近日中に受け取ることになっています。この結果を受けて、延期された設計・検討事項を含め、今後の詳細設計のアクションアイテムを明確にして、詳細設計を完了させるための次のフェーズを開始することになります。

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