新年のご挨拶
新年あけましておめでとうございます。
昨年は多くのお力添えいただき誠にありがとうございました。
今年もTMTの実現に向けて努めて参ります。
皆様のより一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
ハワイ島で新年を迎えるのは、これで18回目になります。家族と共にハワイ島に住み、私自身を天文学者として育ててくれたハワイ島には特別な思いがあります。
TMTの建設地であるマウナケアは、はかり知れない恩恵を天文学にもたらしています。この恩恵が天文学だけでなく、より多く、より広く地元の人々に行き届くよう求められており、我々も地域の一員として強く望んでいます。
観光業が基幹産業となるハワイは、コロナ禍で大きな打撃を受け、産業の多様化がより一層求められています。また教育、雇用などの機会や生活費の高騰を理由に、ハワイ州から米国本土へ移住する人が多く、ハワイ先住民の人口は、ハワイ州より米国本土のほうが多いほどです。
地上望遠鏡は日々のメンテナンスや最先端の観測装置の搭載等で、50年に亘る長期運用が可能であり、地域の重要な産業の一つとなっています。それだけに地域の抱える問題解決に一翼を担うことが期待されており、現地での人材育成に力を入れています。
マウナケアでの天文学を巡っては、さまざまな意見がありますが、イベントを開催すると、非常に多くの子どもたちが参加しており、関心の高さが伺えます。また分光眼鏡など子どもが興味を持つ道具を使って光の性質を実際に目にすると、どの子も目を輝かせます。こうしたイベントは、子どもたちが科学に関心を持つだけでなく、研究者や技術者を身近に感じ、将来の目標やキャリアを考えるきっかけの場となります。
ハワイにおいても、こうした場をより広く設け、次世代の天文学と技術をけん引する人材が継続的に育っていくよう、地域の人々や関連機関と連携しながら活動していきたいと思います。
国立天文台TMTプロジェクト長 臼田知史
(写真提供:TMT国際天文台)