TMTブログ

TMTの分割鏡の研磨枚数が100枚に到達

投稿者:TMTプロジェクト

TMT国際天文台(TIO)は、TMTの主鏡を構成する分割鏡の研磨枚数が100枚になったことを発表しました。TMTの国際的な連携と技術力の強さを象徴する重要な節目です。

100枚目に研磨された分割鏡を記念する画像。分割鏡の研磨は、米国、日本、インドで分担します。(クレジット:TMT国際天文台)

TMT は口径30メートルの主鏡で天体からの微弱な光を集める望遠鏡です。すばる望遠鏡の10倍以上の集光力を持つ、この巨大な主鏡によって、宇宙で最初に生まれた星や銀河からのかすかな光も捉えられると期待されます。また、この主鏡を用いた解像度は、補償光学と組み合わせることによって、ハッブル宇宙望遠鏡の12倍以上、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡の4倍以上となり、太陽系の外にある地球型惑星の姿を直接捉えることも可能になります。

TMTの主鏡は、すばる望遠鏡の主鏡(口径8.2メートル)のような1枚鏡ではなく、492枚の分割鏡を並べて作ります。このような分割鏡方式の主鏡は、すばる望遠鏡のお隣のW. M. ケック天文台(36枚の分割鏡による主鏡)で実証されており、TMTは壮大な拡張版といえるでしょう。

国際協力で進むTMT計画は、主鏡の製作でも各国のパートナー機関が連携しています。分割鏡の鏡材はすべて日本で製造されます。そのうちの約3割は、日本で研磨されますが、残りは海外のパートナー機関が研磨を行います。

米国 カリフォルニア州のCoherent Inc. で研磨された分割鏡 (クレジット:Coherent Inc.)

主鏡の総研磨枚数が100枚に達したことを受け、TIOのプロジェクトマネージャーであるフェンチャン・リウ氏は、「主鏡の製造には、パートナー機関とメーカーを横断した緊密な協力のもとで、米国、日本、インドが貢献しています。この節目は、TIOの国際的なパートナーシップの強さを象徴し、TIOの多様性と国際性、そして高度な技術力を反映したものです」と語ります。

TIOのエグゼクティブディレクターであるロバート・カーシュナー氏は、「宇宙のより深い理解は、強力な検出器と組み合わされた大型望遠鏡によってもたらされます。TMTにより、恒星を回る惑星、遠くの銀河の中の個々の星、さらには宇宙の果てにある銀河を検出することが可能になります」と、望遠鏡の設計を前進させる重要な成果として今回の節目を評価します。

国立天文台TMTプロジェクトで主鏡製造を統括する山下卓也教授は、「日本はこれまで(研磨前の)鏡材356枚を製造し、約半数を海外パートナーに提供しました。更に、日本はパートナーの中で先駆けて研磨加工を開始し、先行開発者として多くの技術的課題を解決してきました。今回の100枚の主鏡研磨達成に重要な貢献ができたと自負しております」と語ります。

TMTの完成予想図(クレジット:TMT国際天文台)


参考::TMT International Observatory Produces its 100th Polished Mirror(TMT国際天文台)

トップに戻る