第3回サイエンスフォーラム開催報告
6月23日から25日に、米国ワシントンDCにて、第3回サイエンスフォーラムが開催されました。
TMTは、米国国立科学財団 (NSF)の支援を受け、一昨年からこの会議を毎年開催しています。この会議の主目的は、今後米国が国としてTMTに参加することを視野に、全米の研究者 がTMTでどのように研究協力を行っていくのか検討することにあります。しかし同時に、米国以外のメンバー国からも参加をえて、幅広くTMTによる科学研究を検討する機会にもなっています。
今年は、全体セッションで各分野の最近の成果とTMTで期待される研究の講演のほか、ハッブル宇宙望遠鏡やヨーロッパ南天天文台の観測プログラムの採択・観測時間の割り当てシステムの紹介、SDSSなどでのデータベースやアーカイブ利用についての報告など、多彩な講演がありました。日本からは、TMT推進室の青木和光准教授が銀河系の星の研究に関するレビュー講演を行いました。
また今回は、TMTで国の枠を超えて行う大型の観測計画(キープログラム)をどのように組んでいくのか、検討するのがテーマのひとつでした。実際、フォーラムの2日目には、研究分野ごとに分かれて検討会を開催し、3日目に各分野から検討結果の報告が行われました。太陽系外惑星分野を代表しての報告は、国立天文台の 成田憲保特任助教が行いました。
TMTの完成までにまだ時間があるため、キープログラムの現実的な策定には難しさを伴いますが、実際にキー プログラムの枠組みを作るには、分野や国の枠をこえての共通理解が必要で、準備に時間がかかるのも事実です。今回はその練習という位置づけですが、今後の検討に必ず役立つものと思われます。またなにより、それぞれの分野で精選した研究テーマが報告されるので、分野外の人にとってもよい勉強になりました。
ワシントンは暑い時期にもかかわらず、冷房のために会場が寒いのには閉口しましたが、それに負けない活発な議論が行われました。
追記: 国立天文台ニュース6月号で国際的な科学検討チームの活動が紹介されていますので、合わせてご覧下さい。