東北大学オープンキャンパスでTMT観測装置開発を紹介
TMTの観測装置に向けた技術開発は、国内の大学でも進められています。その1つとして、東北大学では、広視野で多数の天体を同時観測する補償光学系の開発を行っています。グループを取りまとめている秋山正幸教授から、オープンキャンパスで行われた実験室公開の報告をいただきましたので、以下に紹介します。
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私たちの東北大学大学院理学研究科の天文学専攻のグループではTMTに向けた装置開発として、補償光学とよばれる手法を用いて、宇宙初期にある多数の銀河の中で何が起こっているのかを明らかにするための装置の開発を行っています。大学の屋上にある50cmの望遠鏡からマウナケアにあるすばる望遠鏡までを用いて、大学院生を中心に補償光学の技術開発を日夜進めています。
7月25日、26日の2日間にわたって東北大学理学部オープンキャンパスがあり、その中で、私たちのグループは「宇宙観測の装置開発の現場を公開」と題して実験室の公開を行いました。理学部のオープンキャンパスは2日間で6000人を超える来場者がある一大イベントです。私たちはTMTの望遠鏡の紹介からTMTに向けた装置開発の紹介をし、装置の試作品の展示を行いました。また、補償光学を理解してもらうために、地球大気のかげろうで星の像が乱れる様子やその様子を測定するデモンストレーションもしました。実験室公開には、高校生を中心として、小学5年生から年配の方まで、兵庫県から北海道までおよそ300人の方々が2日間で来訪して熱心に説明を聞いてくれました。
すばる望遠鏡を用いた深宇宙の画像の中にようやくしみのように見えてきた宇宙初期の銀河でも、TMTを用いると中の様子を詳細に調べることが出来るようになるという説明で、TMTによって宇宙の果てが開拓されるという期待を実感してもらえたようです。TMTの観測開始は10年後と予定されています。今、高校生の世代の人たちがちょうど博士号を取って研究者として活躍する頃に観測が開始されることになります。10年後というとまだ先のようですが、研究者の卵の様子を見ていると、もうすぐそこにやってくることが実感された2日間でした。
※東北大学で行われている装置開発については、下記のリンクもご覧ください。
[研究室訪問]銀河の形成と進化の謎に迫る/秋山研究室(東北大学・天文学教室)