望遠鏡と装置開発の国際学会に参加(WFOS編)
6月10日から15日までアメリカ テキサス州のオースティンでAstronomical telescopes + instrumentationという国際学会が開かれ、TMT推進室からも複数のメンバーが参加しました。この学会は2年ごとに開催されていて、天文に関わる望遠鏡と観測装置に関する最新の話題が報告されます。
私(尾崎)は、TMTの第一期観測装置の一つWFOS(広視野可視分光器)についてポスター発表を行いました。
通常、分光するためにはスリットと呼ばれる長細い開口を用いて、対象天体だけの光を分光器に導きます。スリットの幅を狭くすると光を波長に分ける能力(波長分解能)が高くなりますが、狭すぎるとスリットを通過してくる光量が少なくなってしまいます。その問題を回避するために、WFOSでは、天体像を3つにスライスして横並びに再結像させることで、光量をあまり失うことなく実質的にスリット幅を狭くして高い波長分解能が得られる、イメージスライサーと呼ばれる特殊な光学モジュールについて検討してきました(図)。ポスターではこのモジュールの光学設計について発表し、同様の装置の開発経験のある方々から有意義な情報をもらうことができました。
また、WFOS開発チームの多くがこの学会に参加しているため、WFOSに関する打合せもこの機会に行いました。国立天文台は、次の開発フェーズで面分光(※)ユニットの検討を行うことになったので、その光学レイアウトに関するアイデアを報告しました。他にはWFOSに関するTMT国際天文台内部での議論の状況や、結像光学系の光学設計についての報告がなされました。
※面分光:空間情報とスペクトルの情報を一度に得られる観測モード(例えば、広がった銀河の各場所でのスペクトルが一度に得られます)。詳しくは、国立天文台先端技術センターのウェブページをご覧ください。