No.922026年10月9日
- [1] 報告: TIO関連の動き
- [2] 報告: TMT科学諮問委員会(8/19)
- [3] 報告: 第4回TMTウェビナー(8/19)
- [4]「ロードマップ2026」掲載
- [5]「未来の学術振興構想(2026年版)」掲載
- [6] お知らせ: 三鷹・星と宇宙の日2026
- [7] 報告: その他(ウェブサイト)
- [8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
[1] 報告: TIO関連の動き
TMTの状況については、ウェビナーシリーズや光赤天連シンポジウム等でご報告していますが、重要な動きがあるため、10月下旬にオンライン説明会開催を計画しています。決まり次第アナウンスいたします。
(1)スペイン提案について
2025年7月にスペイン政府よりカナリア諸島ラパルマ島でのTMT建設資金の一部を出資する提案があって以降、TMT国際天文台(TIO)では提案の検討とスペイン側との協議を続けてきました。
2026年7月29日、スペイン政府からラパルマ島でのTMT建設を支援するための財政枠組み(資金調達および融資)の提案を受けました。TIOは、提案を全般的かつ詳細に丁寧に検討した結果、9月18日(米国西部標準時)、これを受諾しないことと決定し、スペイン側に回答しました。
提案をいただいたスペイン科学・イノベーション・大学省、スペイン技術イノベーション開発センター(CDTI)、カナリア天体物理研究所(IAC)をはじめ、提案と協議に関わられた方々の尽力に敬意を表します。
TMTの第一の建設予定地は引き続きハワイであり、TMTプロジェクトは北半球で唯一の超大型望遠鏡の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
https://tmt.nao.ac.jp/info/2099
(2)米国国立科学財団 (NSF)
引きつづき米国連邦議会の動向を注視しながら米国関係者への働きかけを行う必要があり、常田共同議長やハワイ大学のロビー活動等の取り組みが進められており、TMTの最終設計段階への移行に向けて、NSFや米国関係者とのやり取りが行なわれています。
(3)ハワイ
ハワイ大学理事会の指示により、開発済用地(望遠鏡撤去跡地)を優先して利用すると定めた2022年制定ハワイ州法第255号(Act 255)に従ってマウナケアのマスタープランの修正が進められ、マウナケア管理組織(MKSOA)内でも議論が行われています。
また、MKSOAでは、管理計画の一環として「理念宣言(Aspirational Statement)」が策定されています。Act 255では、同宣言について、これまでの「科学対文化」や「開発対保護」といった二項対立の文脈を乗り越え、いかなる歴史的背景を経て現在の課題に至ったのかという社会正義の問題を認識し、歴史的文脈の中に同問題を位置づけて理解することを求めています。この理念の下、望遠鏡設置を含む土地利用はマウナケアおよび地域社会にとって互恵的であり、相互に利益をもたらすことが条件とされました。さらにマウナケアにおける天文学は、「科学の追求」にとどまらず、古代から続くハワイ伝統の天体観測との融合を図り、研究から得られる成果や機会を地域社会および世界へ還元する方針が打ち出されています。
[2] 報告: TMT科学諮問委員会(8/19)
第4期TMT科学諮問委員会の最終会合が、2026年8月19日に東北大学で開催されました。2023年9月に発足以来、TMT計画の科学的推進に関する課題を検討してきた同委員会は、2026年8月の任期満了を前に、これまでの議論を踏まえた答申案を取りまとめました。
会合ではまず、プロジェクトの進捗状況が報告されました。続いて、西山副委員長から、2026年6月に開催されたSubaru Users MeetingにおけるTMTセッションについての報告がありました。同セッションでは、TMT時代のサイエンス展望、プロジェクトの進捗状況、科学運用に関するアンケート結果と検討状況、戦略的研究開発経費による活動成果などが紹介され、コミュニティとの意見交換が行われました。
第4期委員会では、効率的かつ専門的な検討を進めるため、委員がサブグループに分かれて議論を行う体制が導入されました。最終会合では、科学運用ワーキンググループ、装置開発ワーキンググループ、広報ワーキンググループの各代表者から答申案が説明され、それぞれの活動成果と提言内容について議論しました。
[3] 報告: 第4回TMTウェビナー(8/19)
TMT時代に向けた最新の研究成果や技術開発の進展を共有し、研究者間の議論を深めるTMTウェビナーの第4回が、2026年8月19日に東北大学で開催されました。今回はハイブリッド形式で実施され、現地では38名、オンラインでは最大約50名が参加しました。
ウェビナーではまず、国立天文台TMTプロジェクトの青木和光が、TMTプロジェクトの最新の進捗状況を報告しました。プロジェクト全体の現状や今後の見通しが紹介され、参加者との活発な意見交換が行われました。
続いて、東北大学の市川幸平氏が「TMT観測が明らかにする超巨大ブラックホール種族」と題して講演しました。銀河形成・進化と密接に関わる超巨大ブラックホール研究の最新動向に加え、TMTの高い空間分解能と感度を活かした観測研究の展望が紹介されました。
最後に、国立天文台TMTプロジェクトの鈴木竜二が、「TMT第一期観測装置IRIS」と題して講演しました。TMTのファーストライト装置の一つであるIRISについて、科学目標や主要な性能、実現が期待されるサイエンスケースなどを紹介し、TMT時代への期待を共有しました。
ウェビナーの動画とスライドは、TMTウェビナーのページからご覧いただけます。
[4]「ロードマップ2026」掲載
8月31日、文部科学省が設置する、科学技術・学術審議会 学術分科会 研究環境基盤部会 学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会により、大型プロジェクト推進に当たっての我が国における優先度を明らかにする観点から策定された「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想-ロードマップ2026-」が公表され、「30m光学赤外線望遠鏡計画TMT」が掲載されました。
TMTプロジェクトは、ロードマップ2010および2012に選定され、大規模学術フロンティア促進事業として推進されてきました。そして、3年前に策定されたロードマップ2023に続き、今回のロードマップでも掲載されました。
ロードマップ申請にあたり、日本天文学会、日本惑星科学会、光赤外線天文連絡会、ハワイ大学からサポートレターをいただきました。ご支援にあらためて感謝申し上げます。
https://tmt.nao.ac.jp/info/2096
[5]「未来の学術振興構想(2026年版)」掲載
日本学術会議「未来の学術振興構想(2026年版)」において「30m光学赤外線望遠鏡TMTによる天文学・宇宙物理学の革新と太陽系外惑星における生命の探求」が「グランドビジョン⑱: 宇宙における天体と生命の誕生・共進化の解明」のNo.174として掲載されました。TMTは、2023年版に引き続く掲載となります。
学術全体にわたる幅広い検討を行い、本構想をとりまとめられた日本学術会議関係者に敬意を表します。
https://tmt.nao.ac.jp/info/2098
[6] お知らせ: 三鷹・星と宇宙の日2026
国立天文台三鷹キャンパスの特別公開「三鷹・星と宇宙の日」が、10月24日(土)に開催されます。TMTプロジェクトは、展示室ロビーにて、実物大の分割鏡試作品の展示・解説と、TMTにまつわるミッションに挑戦する体験型企画を行います。すばる棟では、ハワイ観測所と合同で、サイエンストーク、工作、ビンゴ大会、VR体験など様々な企画を実施します。
詳しくは、国立天文台の特設サイトをご覧ください。
三鷹・星と宇宙の日 2026
[7] 報告: その他
以下の報告については、TMT推進室ウェブサイトをご覧ください。
[8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
10/24 三鷹・星と宇宙の日 2026
No.912026年7月10日
- [1] お知らせ: 第4回TMTウェビナー(8/19)
- [2] 報告: TIO関連の動き
- [3] 報告: TMT科学諮問委員会(3/30、4/24、6/11)
- [4] 報告: APRIM2026 TMT講演 (5/3-5/8)
- [5] 報告: すばるUM TMTセッション(6/18)
- [6] 報告: その他(ウェブサイト)
- [7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
[1] お知らせ: 第4回TMTウェビナー(8/19)
TMTが切り拓く新しい科学の可能性を探るウェビナーシリーズの第4回は、東北大学を会場としたハイブリッド形式で開催します。 ブラックホール研究および第1期装置IRISに関する講演が予定されています。プログラムなどの詳細はお知らせページをご覧ください。
参加される方は、対面/リモートに関わらず、参加登録をお願いします。
現地参加の方は、参加登録の上、直接開催場所にお越しください。セミナー後に講演者を交えた懇談会を予定していますので、あわせてご参加ください。
[2] 報告: TIO関連の動き
2026年度は4月21日-23日にパサデナのTMT国際天文台(TIO)オフィスでの開催をはじめ、オンラインで1-2週間毎に、評議員会メンバーが参加する会合が開催され、主に以下の内容が議論・報告されています。
(1)TIOの運用
TMT計画が置かれている状況が厳しいことを認識しつつ、全パートナーでTMTを実現する意志を確認し、協力して計画を進めています。一方、財政的に厳しい状況になっているため、持続的に事業を維持できるよう、TIO執行部と協力して取り組んでいます。
(2)ハワイ
- TMTのマウナケアでの建設地を望遠鏡撤去跡地(CSO跡地等)に変更する可能性を検討しています。4月9日に開催されたマウナケア管理組織(MKSOA)の理事会に、TIOのフェンチャン・リウ プロジェクトマネージャーが再度招待され、TMT計画に関するプレゼンおよび質疑応答が行なわれました。質疑応答では、CSO跡地でも最良の科学的成果が期待できるのか?、山麓からの視認性はどの程度か?等の質問があり、CSO跡地は谷間に位置するため谷を吹き抜ける風の変動がサイエンスに影響を与える可能性があるが、軽減する方法があること、CSO跡地に建設した場合、標高4100mのマウナロアに登らなければTMTドームの中腹部は見えず、ハワイ島のごく一部からしかドームの上部が見えないことが回答されました。MKSOAの委員からは「より広範に活動していることに感謝する。コミュニティでのフェンチャン・リウ プロジェクトマネージャーの存在を感じる。積極的に懸念に耳を傾け、その懸念を軽減できるようできるだけ対応しようとしていることがわかる。」とのコメントもありました。
- 5月21日に開催されたハワイ大学理事会にも、リウ プロジェクトマネージャーが招待され、TMTの状況とマウナケアにおける望遠鏡撤去跡地での建設の可能性について報告しました。理事からは「ハワイ先住民コミュニティの様々な層からの証言や声に耳を傾けていただき、ありがとうございます。貴組織がそれらをよく受け止め、理解してくださっていることは承知しています。貴組織は非常に前向きで、その姿勢を高く評価しています。」というコメントがありました。
- 4月11日のメリーモナークパレードや5月2日のアストロデーのイベントでは、今年もプロジェクトメンバーがTMTシャツを着て参加しました。多くの方が来訪する中、TMTの現状に対する質問や心配の声もありましたが、たくさんの応援の声をいただきました。
- ハワイでは、望遠鏡撤去跡地への変更を含め、地元での合意を得ていくことが不可欠です。引き続き、地元の理解を得ながら工事再開に向けた取り組みを進めています。
(3)スペインからの提案の検討
スペイン政府からの提案内容について、産業技術開発センター(CDTI)およびカナリア天体物理研究所(IAC)とTIOとの協議内容や進捗を確認するとともに、TIO執行部と連携しながら提案の詳細を検討し、課題や今後の方針、スケジュール等について議論しています。最近は、スペインからの資金提供に必要な合意書の内容についても審議しています。
(4) 米国国立科学財団 (NSF)/米国連邦議会の動き
4月3日に発表された2027年度米国政府予算教書では、NSFの全体の予算枠を前年度に引き続き減額する内容が提案されました。
米国の予算編成過程では、予算教書はあくまで「提案」にとどまり、最終的な決定権は連邦議会が有しています。
5月12日に公表された下院の2027年度CJS(商務・法務・科学)歳出法案および報告書では、米国超大型望遠鏡プログラム(US-ELT)に関する記述は盛り込まれたものの、TMTについては明記されませんでした。
近々公表される上院での審議結果や、今後の議会の動向を注視しながら、日本としても米国関係者への働きかけを行う必要があります。常田特任教授(自然科学研究機構)を中心に、文部科学省や外務省、大使館等からの支援を受けながら、取り組みを推進しています。
[3] 報告: TMT科学諮問委員会(3/30、4/24、6/11)
(1)TMT戦略基礎開発経費
3月の委員会では、2026年度に向けたTMT戦略基礎開発研究経費の募集要項改訂について報告がありました。研究分野の裾野拡大や若手研究者の参入促進を目的として、大学院生の応募資格を明確化するなどの見直しが行われています。
6月の委員会では、2026年度の採択結果が審査委員長より共有され、本委員会で承認されました。採択結果は研究支援情報のページをご覧ください。
(2)すばる科学諮問委員会との合同委員会(4/24)
4月の委員会は、すばる科学諮問委員会と合同で開催されました。すばるユーザーズミーティングにおけるTMTセッションの企画や将来の科学運用について議論しました。また、すばる望遠鏡の将来計画「Subaru 3」の検討状況を共有するとともに、TMTとすばる望遠鏡の連携強化や共同ワークショップの可能性について意見交換を行いました。
(3)TMTユーザーアンケート
3月の委員会では、TMTの科学運用やすばる望遠鏡との連携に関するユーザーアンケートの実施計画が紹介されました。大型観測プログラムやユーザーサポート、データアーカイブ、TMTとすばる望遠鏡との連携のあり方について意見を募集するものです。
6月の委員会では、そのアンケートの結果が報告されました。約2週間で78件の回答が寄せられ、ラージ/ロングタームプログラムへの期待や、ユーザーサポート・データ解析環境の充実を求める声が多く寄せられました。ご回答いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。
(4)すばるユーザーズミーティングTMTセッション
3月と4月の委員会で、すばるユーザーズミーティング(6/17~19)におけるTMTセッションの企画検討を進めました。TMTセッション(6/18)については、[5:報告]をご覧ください。
すばるユーザーズミーティングでの議論は、アンケート結果と共に、今後の運用計画の検討に活用されます。
(5)ウェビナーとワークショップ
第3回TMTウェビナーの開催報告と、第4回ウェビナーの検討について報告がありました。第3回ウェビナーの報告は前回のニュースレター、第4回ウェビナーの詳細は[1:お知らせ]をご覧ください。
また、若手研究者を中心に進められているTMT-ACCESSとSubaru 3との共同ワークショップの可能性について議論が行われました。分野横断的な議論を通じて、TMTとすばる望遠鏡のシナジーを活かした新たなサイエンスや将来装置の検討につなげることが期待されており、今後、コミュニティからの意見も取り入れながら具体化を進めていく予定です。
(6)今期の答申についての検討
今期の科学諮問委員会では、広報、科学運用、装置開発の各ワーキンググループでの議論をもとに、台長諮問への答申作成を進めています。ユーザーアンケートの結果に加え、第二期観測装置ロードマップや将来の装置開発戦略についての検討も答申に反映する予定です。
[4] 報告: APRIM2026(5/3-5/8)
3年ごとに開催されている国際天文学連合アジア太平洋地域会議(APRIM)が、今回は5月3~8日に香港にて開催されました。セッション「Current Larger and Upcoming Astronomical facilities」でTMTプロジェクトの青木が招待講演を行い、TMTの性能と期待される科学的成果、計画の進捗について報告しました。質疑応答では、観測装置計画に関する質問のほか、ハワイおよび代替建設地ラパルマでの建設に関する検討経緯や見通し、日本のコミュニティでの議論の状況について多数の質問があり、TMT計画について理解を深めてもらう良い機会となりました。
国立天文台は自然科学研究機構とともにブースを出しており、そちらにも毎日多数の訪問があり、TMTについての質問も受けました。APRIMに参加する研究者に加えて、ブースの一般公開日には、地元の高校生はじめ一般の方々も来訪し、思っていた以上に充実した時間となりました。
[5] 報告: すばるUM TMTセッション(6/18)
6月18日に、「すばるユーザーズミーティング2026」2日目のプログラムとしてTMTセッションが開催されました。西山正吾氏(TMT科学諮問委員会副委員長)の冒頭挨拶に続き、百瀬莉恵子氏(カーネギー天文台/東京大学)が「Toward a Unified Picture of the Baryon Cycle in the TMT Era」と題して、銀河間ガスやバリオンサイクルに関する最新の研究成果と、TMT時代に期待される科学成果を紹介しました。その後、TMTプロジェクトの青木によるプロジェクト進捗報告、岡本桜子氏(国立天文台)による科学運用アンケートの報告、小谷隆行氏(国立天文台)による戦略基礎研究経費の報告が行われました。セッションでは、TMTで期待されるサイエンスの展望に加え、プロジェクトの最新状況や、コミュニティを対象に実施した科学運用に関するアンケート結果など、幅広い情報が共有されました。
[6] 報告: その他
以下の報告については、TMT推進室ウェブサイトをご覧ください。
[7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
8/19 TMT科学諮問委員会
8/19 第4回TMTウェビナー
10/24 三鷹・星と宇宙の日 2026
No.902026年4月13日
- [1] TMTの状況
- [2] お知らせ: 2026年度 TMT戦略基礎開発経費
- [3] 報告: 第3回TMTウェビナー (3/10)
- [4] お知らせ: OPIE 2026
- [5] お知らせ: JpGU 2026
- [6] 報告: その他
- [7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
[1] TMTの状況
(1) 米国国立科学財団(NSF)関連の動き
2025年5月に発表された2026年度NSF予算教書において、GMT(巨大マゼラン望遠鏡)を最終設計段階に進める一方で、TMTは同段階に進めないと記載されたのに対し、TMT国際天文台(TIO)等は、予算作成権限をもつ米国連邦議会関係者等への働きかけに取り組んできました。2026年1月23日、連邦議会は「NSFは、両望遠鏡プロジェクトを直ちに最終設計段階へと進めなければならない。Astro2020で推奨された施設の開発のために3000万ドル以上を措置する」という強い文言の入った合同説明書を伴った歳出法案を可決、大統領が署名し歳出法が成立しました。予算教書の記述は上書きされたことになり、現在有効な法である2026年度歳出法にもとづいてGMTに続きTMTも最終設計段階に進める命令がNSFに出されました。
一方、2026年4月3日に発表された2027年度NSF予算教書において、NSF全体の要求額は2026年度予算(88億ドル)から約55%減となる39億ドルという厳しい内容となっています。米国の超大型望遠鏡(ELT)プログラムについては、NSFが主要施設としての最終設計段階に進めるプロジェクトとしてGMTを選定したとの記述にとどまっています。
https://www.nsf.gov/about/budget/fy2027
予算教書は、連邦議会が歳出法案を作成する際の参考資料との位置づけであり、議会は自ら作成した歳出法案を可決し、大統領の署名を得ることで歳出法を成立させます。昨年度予算と同様に、今後の連邦議会の動向を注視しながら、TIOは引きつづき米国関係者への働きかけを行なっています。TMTという世界最高水準の望遠鏡建設が我が国の科学技術の進展に極めて多くの貢献をもたらす重要な計画であることも踏まえ、皆様からもご支援いただきますようお願い申し上げます。
(2) ハワイの動き
ハワイ島郡長をはじめ州知事、ハワイ州選出の連邦議会上院・下院議員等から、TMTは引き続き強い支持を受けています。前号でご報告したように、TMTのマウナケアでの建設地を開発済用地(望遠鏡撤去跡地)に変更する可能性を検討しており、それに必要な手続きがハワイ関係者の間で検討されています。 TIO・国立天文台はハワイ関係者と引きつづき協議しています。
マウナケア管理組織(MKSOA)は2026年1月から2月にかけ、ハワイ州の5島10か所でコミュニティワークショップを開催し、マウナケア管理に関する住民の意見を聴く機会をもちました(https://kuaowakea.org)。ハワイ島ヒロで開催されたワークショップには国立天文台関係者も参加しました。ワークショップには合わせて約1,500人の参加があり、マウナケアでの天文学に賛成の方、反対の方が一緒に話し合う場でも平和的に議論が行なわれました。
(3) スペインからの提案の検討
2025年7月にスペイン科学・イノベーション・大学省大臣が発表した、カナリア諸島ラパルマ島へのTMT誘致に向けた提案の検討が続けられています。スペインからの提案では、スペイン産業技術開発センター(CDTI)からの最大4億ユーロの出資に加え、ヨーロッパ投資銀行(EIB)から融資を受けるという内容となっています。
TIOはカナリア天体物理研究所(IAC)と毎週、CDTI、EIBとは2週間毎に会合をもっています。EIBの融資は将来、望遠鏡観測時間の販売により返済する計画(CDTIも資金回収を行う計画)であり、TMTの観測時間の需要調査を含めた全体資金計画の検討が進められています。TIO評議員会下に設置されたワーキンググループでは、隔週の会合において、最新の情報について把握し、議論を行なっています。3月16日にはスペイン科学省、CDTI、IACの関係者からなる代表団が自然科学研究機構本部等を訪問し、川合機構長や土居国立天文台長と情報共有と意見交換が行われました。
[2] お知らせ: 2026年度 TMT戦略基礎開発経費
国立天文台TMTプロジェクトでは、TMTによる科学観測の推進に資する基礎開発研究計画を募集します。TMT計画において日本が重要な貢献を果たすためには、大学等の研究者の皆様が、独創性の高いアイデアや強みのある技術を活かし、TMTの研究開発に主体的に参画することが極めて重要です。本公募は、こうした取り組みを支援することを目的としています。奮ってご応募ください。
今年度より、より幅広い分野および研究開発内容からの応募を促進するため、「求める研究計画像」ならびに「応募課題の評価・採択基準」を改訂しています。また、若手研究者による応募や萌芽的な研究提案を特に歓迎し、審査においても積極的に評価します。さらに、大学院生についても、指導教員との連名による応募を条件として、本公募への応募を可能としました。
応募方法はTMTプロジェクトのウェブサイトをご覧ください。
https://tmt.nao.ac.jp/researchers/support/
[3] 報告: 第3回TMTウェビナー (3/10)
TMT時代に向けた最新研究を共有し、議論を深めることを目的としたTMTウェビナーシリーズの第3回が、2026年3月10日に開催されました。最初に、国立天文台科学研究部の原田ななせ氏による「AstrochemistryとTMTへの展望」と題した講演が行われました。星惑星形成における分子進化に関する理論的背景の紹介に加え、銀河系内の研究にとどまらず、系外銀河におけるALMAやJWSTによる最新の観測成果が紹介されました。さらに、近赤外線から中間赤外線における観測を通じて、TMTが果たすことのできる役割や将来の観測への期待が示されました。続いて、TMTプロジェクトの寺田宏氏による講演「TMT観測装置 Overview」が行われました。講演では、TMTの基本仕様や優れたPSFの紹介に加え、第1期観測装置および第2期観測装置の仕様と全体像について説明がありました。最後に、臼田知史TMTプロジェクト長より、プロジェクトの進捗状況についての報告が行われました。
ウェビナーの動画とスライドは、TMTウェビナーのページからご覧になれます。
https://tmt.nao.ac.jp/researchers/science/seminar2025.html
[4] お知らせ: OPIE2026 (4/22-4/24)
4月22日(水)-24日(金)にパシフィコ横浜で開催される宇宙・天文光学EXPOに、 国立天文台のブースを出展します。今年は、TMTプロジェクトと産業連携室に加えて、アストロバイオロジーセンターの展示があります。また、特別セミナー「国立天文台を活用する研究者が語る天文コース」では、TMTで計画されている太陽系外惑星観測装置群について、TMTプロジェクトの寺田宏氏が紹介します。参加をご希望の方は、事前登録のうえお越しください。皆さまのご来場をお待ちしております。
事前登録
国立天文台を活用する研究者が語る天文コース
[5] お知らせ: JpGU2025
日本地球惑星科学連合(JpGU)の2026年大会は、アメリカ地球物理学連合(AGU)とのジョイント大会として、2026年5月24日から29日の6日間、幕張メッセで開催されます。TMTプロジェクトは、アルマプロジェクトと合同でブースを出す予定です。現地ブースに加え、オンラインブースもありますので、現地に来られる方も、そうでない方も、 TMT/アルマブースにお立ち寄りいただけると幸いです。
JpGU2026
[6] 報告: その他
次の報告については、TMTプロジェクトウェブサイトをご覧ください。
[7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
4/22-4/24 OPIE 宇宙・天文光学EXPO 2026
5/24-5/29 日本地球惑星科学連合2026年大会
6/17-6/19 すばるユーザーズミーティング 2026