2023年

No.792023年7月5日

  • [1] お知らせ: TMT サイエンスワークショップ(第1回 TMT-ACCESS)
  • [2] 報告: TIO評議員会 (5/23-5/25:米国時間)
  • [3] 報告: TMT科学諮問委員会 (3/20)
  • [4] 報告: TMT計画についての研究者コミュニティ向け説明会(5/17)
  • [5] 報告: TMT科学諮問委員会 (6/13)
  • [6] 報告: 柳文部科学事務次官が、国立天文台三鷹キャンパスを視察(6/27)
  • [7] 報告: 戦略基礎開発経費2023年度採択結果
  • [8] お知らせ: APRIM 2023
  • [9] 報告: その他
  • [10] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] お知らせ: TMT サイエンスワークショップ(第1回 TMT-ACCESS)

日本国内のTMT科学検討を強化し、新しいサイエンスケースを創造するために、ディスカッションに重点を置いた分野横断型のサイエンスワークショップシリーズ「TMT-ACCESS」(TMT eArly Career Centered, Engineers-Scientists Synergy) が今秋に始動します。キックオフとなる1回目のワークショップは、9月11~15日に米国・パサデナのTIO オフィスにて対面で開催されます。White Paperにはまだないような新しいTMTサイエンスケースの創造を目指し、ラボツアー、TIO職員等によるTMTの性能や装置についての講義、TMT観測シミュレーターを用いた第一期観測装置の感度計算ハンズオンセッションも交えながら、議論を行う予定です。研究分野、手法、観測波長を問わず、TMTを利用した研究を行いたい研究者からの参加を期待します。特に、若手研究者の参加を強く推奨します。詳しくはTMT-ACCESSのウェブサイトをご覧ください。

[2] 報告: TIO評議員会 (5/23-5/25:米国時間)

2023年5月23-25日(米国時間)にTIO評議員会がカリフォルニア州パサデナのTIOオフィスで開催されました。現地開催は2020年2月以来です。今回の評議員会も常田台長が評議員会副議長として議事進行を行いました。

初日朝には、モンロビアにあるTIOラボを視察し、主鏡セル(日立造船製作)、主鏡、主鏡支持機構、主鏡アクチュエータ・センサー、WFOS用可動型スリット等について詳細な説明を受け、活発に意見を交換しました。また、先日ご逝去されたGordon Moore氏のTMT計画に対する貢献に感謝し、TIOオフィスのBoard Roomを同氏夫妻の名前からGordon and Betty Moore Boardroomと名付けるセレモニーも行いました。評議員一同が同氏の科学技術の発展への偉大な功績に敬意を表し、TMT実現に向けての決意を新たにしました。

(1) 評議員の交代

  • カリフォルニア工科大学(カルテク): Jonas Zmuidzinas氏の後任として、カルテクの光学赤外線望遠鏡を統括するCaltech Optical Observatoriesの所長のChris Martin氏が評議員に就任しました。
  • カナダ: カナダ天文学大学連合(ACURA)のExecutive DirectorであるDon Brooks氏がACURAを退職することになり、評議員を退任しました。

(2) TIOのLiuプロジェクトマネージャーから、プロジェクトの技術的な進捗(例:主鏡製作、第一期観測装置の設計等)とハワイにおける対話や学習支援活動等について報告がありました。

(3) カルテクのSoifer評議員から、カルテクサブミリ波天文台のマウナケアからの撤去作業は搬送方法に変更が必要となり工程に遅れがあるが、作業は秋には終了する予定であり、迅速に作業を進めていく意向が示されました。なお、アンテナ本体はチリに搬送されます。

(4) ハワイ大学 Center of Maunakea StewardshipのG. Chun所長とハワイ大学天文学研究所のD. Simons所長より、マウナケア新管理組織への円滑な移行に向けた協議や予定について報告がありました。また、ホクケア望遠鏡について年内に撤去する予定等が報告されました。

(5) 秋山TIO科学諮問委員会(SAC)委員長がSACの活動として、研究者コミュニティ向けに観測装置計画等を紹介するウェビナーの開催、国際的なTMT科学検討チームメンバーが新たに募集されたこと、TMT等とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による科学検討ワークショップを北米、アジア、ヨーロッパで開催する計画を報告しました。

(6) 米国国立科学財団(NSF)数学・物理学局天文学部門のRizzi Project Director、米国天文学研究大学連合のVice PresidentのPuxley氏およびEisen氏から、NSFの予算要求の手続きやスケジュール、政府・議会への働きかけ等について、報告がありました。

(7) NSFの参加に伴い明確にする必要がある課題(観測時間配分とTIO資金計画)について、引き続き評議員会として議論を行いました。現メンバーの間の観測時間配分を検討する上で、現在の合意書の規定を原則とし、現物貢献評価額の中間評価を実施すること、NSFの観測時間配分については引き続きTIOがNSFと協議を継続することが承認されました。

(8) NSF関係者も出席している場でのパートナー報告として、日本からは

  • 今後の概算要求に必要とされるTMT計画の進捗の要件(ハワイ、NSF等)とタイムライン
  • 文部科学省から「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想」(ロードマップ2023)の公募のスケジュールと手続き
について説明し、日本の予算要求には、NSF手続きの進展、ハワイ状況の改善等が必要であることを報告しました。

[3] 報告: TMT科学諮問委員会 (3/20)

2022年度最後のTMT科学諮問委員会は、東京大学本郷キャンパスで行われました。

(1) カーネギー研究所の百瀬莉恵子さんより、若手主導のTMTワークショップの提案がありました。TMT科学検討を介して国内研究の機運を盛り上げ、異分野研究者・装置開発者・エンジニア間の交流促進と、若手を中心としたTMT White Paperの作成を目的としています。本委員会もワークショップシリーズの開催に賛同し、パイロット企画やシリーズ化する際のテーマについて議論しました(お知らせ[1]参照)。

(2) 2023年度のTMT戦略基礎開発研究経費の募集について、審査基準の一部見直しを行った後に承認しました。(報告[7]参照)

本委員会の後に、東京大学のスタッフと学生を交えて、談話会とサイエンス情報交換会を開催しました。談話会では、TMTプロジェクトの青木が「TMTの進捗」について、東京大学の田村元秀さんが「Exoplanet Observations with TMT: Expectations」についてお話ししました。サイエンス情報交換会では、秋山委員長、西山正吾さんがそれぞれ「TMTで展開されるサイエンス」と「銀河系中心」についてお話した後、自由討論が行われました。

[4] 報告: TMT計画についての研究者コミュニティ向け説明会(5/17)

前回のコミュニティ向け説明会(2022年6月)以降、TMTで重要なマイルストーンがいくつかあったため、それらを広く研究者コミュニティで共有し、意見交換をするための説明会が5月17日(水)にオンラインで開催されました。ハワイの状況、望遠鏡本体審査会、NSF PDR等の進捗と今後の予定、TMT戦略基礎開発経費、科学諮問委員会の報告等が行われました。

[5] 報告: TMT科学諮問委員会 (6/13)

2023年度最初のTMT科学諮問委員会は、オンラインで6月13日に開催されました。

(1) 2023年度TMT戦略基礎開発研究経費の審査結果について審査委員より説明があり、本委員会で承認しました。本経費の裾野を広げることの重要性や、昨年度に作成した「TMT次期装置実現に向けたロードマップ」と照らし合わした議論がありました。

(2) TMT-ACCESS(お知らせ[1]参照)の準備状況についての説明がありました。

次回のTMT科学諮問委員会は京都大学で開催予定です。委員会後には現地でサイエンス情報交換会を行うことを検討しています。

[6] 報告: 柳文部科学事務次官が、国立天文台三鷹キャンパスを視察(6/27)

柳文部科学事務次官が6月27日に国立天文台三鷹キャンパスを訪問されました。国立天文台の事業の概要や国立天文台が日本の天文学分野で果たす役割について常田台長らから説明を受け、ハワイに建設計画中の超大型望遠鏡TMT等の大型国際共同研究における国立天文台のこれまでの貢献や今後の進め方等について、活発に意見交換をされました。
https://tmt.nao.ac.jp/info/1755

[7] 報告: 戦略基礎開発経費採択結果

将来のTMT観測装置の実現に向け、日本が装置開発でも重要な貢献を果たせるよう、プロジェクトではTMT戦略基礎開発研究経費を用意し、大学等の研究者が独自性の高いアイデアや技術を活かして基礎開発を実施することを支援しています。今年度は4月にこの経費への公募を行いました。

科学諮問委員会のメンバーと科学コミュニティからの外部審査員による審査の結果、5件の計画が採択されました。採択された計画については、後日TMTプロジェクトウェブサイトで公表する予定です。

[8] お知らせ: APRIM 2023

8月7日から11日にかけて福島県郡山市で開催される、国際天文学連合アジア太平洋地域会議(APRIM)に国立天文台がブースを出展します。国際連携室、ハワイ観測所、アルマプロジェクト、TMTプロジェクトが合同で展示を行いますので、APRIMに参加される方は、ぜひブースをご訪問ください。アジア太平洋地域の天文学者が集まるAPRIMは、IAUが主催する最大規模の地域会議です。前回(2020年)はコロナ禍で中止となったため、6年ぶりの開催で、日本で開催されるのは21年ぶりになります。

[10] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

8/7-8/11 APRIM 2023
9/11-9/15 TMTサイエンスワークショップ: 第1回 TMT-ACCESS
9/19 TMT科学諮問委員会@京都大学

No.782023年3月30日

  • [1] 報告: 望遠鏡本体PRR2/3 (2/16-2/17)
  • [2] 報告: TIO評議員会 (2/22-2/24)
  • [3] 報告: TIO SAC (2/8)
  • [4] 報告: TMT科学諮問委員会 (12/22)
  • [5] お知らせ: OPIE2023
  • [6] お知らせ: JpGU2023
  • [7] 報告: その他
  • [8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] 報告: 望遠鏡本体PRR2/3 (2/16-2/17)

全6回に渡って予定されているTMT望遠鏡本体の製造前準備審査会(Production Readiness Review、PRR)のうち、2回目および3回目の審査会(PRR2、PRR3)が2月16-17日(JST)に開催され、合格となりました。PRRはTMT国際天文台(TIO)が実施するもので、対象となる部位の製造図面、インターフェース、品質や安全面などの検証項目を審査し、合格すると対象部の製造開始が認められるものです。今回のPRRでは、方位軸・高度軸で回転する主要な可動部機械構造が審査対象となりました。

コロナ禍により長らくオンライン会議が続いておりましたが、PRR2、3では久しぶりの現地開催(オンライン併用)となりました。多くの審査員とTIO職員が来日し、製造図面や製造工程の審査、要求仕様・インターフェイス仕様の検証などが対面で集中して行われました。今後、審査会で指摘を受けた事項の確認を行った後、いよいよ材料調達、加工・製造へと進む準備が整うことになります。また、望遠鏡本体に付帯する設備や制御機器などを対象とした残りのPRRが数年のうちに予定されています。

[2] 報告: TIO評議員会 (2/22-2/24)

2023年2月22-24日(JST)にTIO評議員会がオンラインで開催されました。今回の評議員会も常田台長が評議員会副議長として議事進行を行いました。

(1) 米国天文学研究大学連合(Association of Universities for Research in Astronomy、AURA)のPuxley副総裁および米国科学財団(NSF)国立光赤外線天文学研究所 (NOIRLab)のMcCarthy所長から次の報告と説明がありました。

  • TMT計画は昨年12月にNSFの大型施設建設予算(MREFC)の審査対象となり、基本設計審査(PDR)での高い評価から、最終設計段階に入る見通しである。
  • NOIRLabは国際パートナーと連携し、Gemini望遠鏡での経験を活かした観測者サポートシステムをUS-ELTプログラムのために設計している。
  • 2023年には、5月、8月、11月に米国科学委員会(National Science Board: NSB)の会合が予定されており、TMT計画の設計段階の開発予算の承認やMREFCを予算案に含めることの承認など、重要な動きがある。

(2) NSF数学・物理学局(MPS)天文学部門(AST)のFischer部門長から、NSF PDRの正式報告書が出され次第、最終設計段階に向けたNSF内部の手続きを開始することが説明されました。

(3) TIOのLiuプロジェクトマネージャーがハワイにおける対話や学習支援活動等について報告しました。

(4) ハワイ大学Center of Maunakea StewardshipのG. Chun所長と ハワイ大学天文学研究所のD. Simons所長より、マウナケア管理組織(MKSOA)への移行に関する今年の課題として、法整備等の案件とリース契約や許可についてのプロセスを定めることが挙げられました。

(5) Komeiji MKSOA委員長が参加され、次のように報告されました。

  • 天文学支持が州の方針である。
  • その前提として、地元との連携、適切なマウナケアの管理、天文学の枠組みが必要であり、これまでに開発されていない土地の利用制限や望遠鏡台数の制限を考える必要がある。
  • MKSOAの2つの諮問委員会(advisory groups)として、ハワイ先住民の意見を広範に聞くための委員会と天文学に関する委員会を考えている。
  • 現在はMKSOAの体制確立と運用細則等の作成等に取り組んでいる。
  • 各天文台のリース延長の議論や古い天文台の撤去の決定をいつから行うか等のタイムラインの確立が課題である。
  • ハワイ先住民が社会経済的に不公平な状況にあることに疑問の余地はない。同時に、州の法律に則り、全ての手続きを済ませたにもかかわらず、TMTが建設できない、それが公平と言えるのかという問題もある。他の人はこの不公平性を理解していないが、私は理解している。

(6) NSFの参加に向けて明確にする必要がある課題(NSFの観測時間配分とTIO資金計画)について、評議員会としての方針を議論し、メンバー会議への提案を決めました。

(7) 秋山TIO科学諮問委員会(SAC)委員長がSACの活動について報告しました。(報告[3]参照)

(8) パートナー報告として、日本は次の事項を報告しました。

  • 今後の概算要求に必要とされるTMT計画の進捗の要件(ハワイ、NSF等)とタイムライン。
  • 2023年2月に望遠鏡本体の製造前審査が実施され、高い評価をえて合格した。(報告[1]参照)

[3] 報告: TIO SAC (2/8)

TIO科学諮問委員会(SAC)が2月8日(JST)にオンラインで開催され、主に次の4つの議題について報告と議論がありました。

(1) NSFのPDRについて、審査員から非常に高い評価を得ていることがTIOから報告されました。

(2) 2024年に予定されているNSFの最終設計審査に向けて、「TMT詳細サイエンス検討書」(DSC)の改訂を進める必要があります。改訂のスケジュール案についてTIOから説明がありました。また、TMTに対する研究者の関心をあらためて高める必要があり、

  • 国際的な研究者コミュニティ向けのウェビナーの開催
  • 国際的なTMT科学検討チーム(ISDTs)メンバーを新たに募集し、科学研究検討を活性化する
といった活動について報告と議論がありました。

(3) TMT等の超大型望遠鏡とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による科学検討ワークショップの計画について報告と議論がありました。

(4) AURAおよびNOIRLabにおけるUS-ELTプログラムの進捗がNOIRLabのDickinson教授から報告されました。

[4] 報告: TMT科学諮問委員会 (12/22)

第III期(2022年9月1日~2024年8月31日)第2回TMT科学諮問委員会が2022年12月22日に開催されました。初めに、臼田TMTプロジェクト長より米国連邦予算投入に向けたプロセスの進展について説明がありました。NSFによる1回目のPDRで、日本が担当する望遠鏡等を含む技術、TIOの新たな体制によるハワイでのアウトリーチ活動が非常に高く評価され、TMTは申し分なく最終設計段階に進みうると審査委員長が明言したことが報告されました。次に、TIO科学諮問委員会の進捗として、12月20日に研究者向けウェビナーが開催され、TMTの現状説明およびISDTの新規メンバー募集がアナウンスされたことが秋山委員長から報告されました。続いて、常田国立天文台長による諮問事項の説明および国立天文台におけるTMTの状況説明があり、最後に国内研究会の開催および大学でのTMT科学諮問委員会の開催について伊王野TMTプロジェクト准教授が説明しました。

[5] お知らせ: 宇宙・天文光学EXPO 2023 (4/19-4/21)

4月19日(水)-21日(金)にパシフィコ横浜で開催される宇宙・天文光学EXPOに、国立天文台のブースを出展します。今年は、TMTに加えて、重力波プロジェクト、水沢VLBI観測所、そして、産業連携室の展示を行います。特別セミナー「国立天文台を活用する研究者が語る天文コース」では、「ブラックホール」をテーマに、3名の講師がお話しします。現地会場のみでの開催ではありますが、ご訪問・ご参加を検討いただければ幸いです。事前登録の上、ご来場ください。
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[6] お知らせ: 日本地球惑星科学連合大会 2023 (5/21-5/26)

日本地球惑星科学連合大会が、5/21-5/26に幕張メッセで開催されます。TMTプロジェクトは、アルマ望遠鏡と合同でブースを出す予定です。現地ブースに加え、オンラインブースもありますので、現地に来られる方も、そうでない方も、TMT/アルマブースにお立ち寄りいただけると幸いです。
日本地球惑星科学連合大会 2023

[7] 報告: その他

次の報告については、TMTプロジェクトウェブサイトをご覧ください。

[8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

4/19-4/21 OPIE 宇宙・天文光学EXPO 2023
5/21-5/26 日本地球惑星科学連合2023年大会