No.722021年11月12日
- [1] 報告: Astro2020の公表 (11/5)
- [2] 報告: TIO SAC (7/30、9/28)
- [3] 報告: TMT科学諮問委員会 (10/7)
- [4] 報告: TIO評議員会 (10/20-10/22)
- [5] 報告: その他
- [6] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
[1] 報告: Astro2020の公表 (11/5)
11月5日未明 (JST) に、米国国立科学アカデミーより、向こう10年間の天文学・宇宙物理学の計画に関する勧告を含む評価報告書 Astro2020 (Decadal Survey Report) が公表されました。その中で、TMTとGMTの建設を提案している米国超大型望遠鏡計画 (US-ELTP) が地上望遠鏡の最優先計画とされました。天文学・宇宙物理学の幅広い分野における科学研究のほぼ全てにおいて、US-ELTPが比類ない能力をもつこと、また技術的な成熟度の高さの両面で高く評価された結果です。報告書では、米国国立科学財団 (NSF) に対し、US-ELTPの少なくとも一つ、理想的には両方の望遠鏡に対して投資することを推奨しています。
国立天文台としては、関係機関と緊密に連携しつつ、ひきつづきTMTの実現に全力をあげます。
[2] 報告: TIO SAC (7/30、9/28)
7月30日および9月28日 (JST) にTMT国際天文台 (TIO) SAC会議がオンラインで開催されました。
(1) 6月にハワイ島ヒロに赴任した F. Liu プロジェクトマネージャー代行 (現プロジェクトマネージャー) が、ハワイでの活動内容について報告しました。([4]の評議員会におけるハワイ報告を参照のこと)
(2) E. Chisholm 観測装置グループリーダーから、第一期観測装置 (IRIS、WFOS、MODHIS) の進捗報告がありました。IRISは詳細設計審査をサブシステム毎に分けて実施しており、日本が担当している撮像系については6月に審査が完
了しました (https://tmt.nao.ac.jp/blog/1554)。また、C. Boyer 補償光学装置グループリーダーから、レーザーガイド星システム (LGSF) が4月に基本設計審査に合格したことや設計の進捗について報告がありました。
(3) 太陽系外惑星の科学研究について議論するサブ委員会 (委員長は東京大学の成田憲保教授) から活動報告があり、各国のコミュニティで、重要視する科学テーマについて調査するアンケートや意見募集が実施されたことと、結果の概要について報告がありました。TMTが目指すべき系外惑星の科学研究の提言書として年内にまとめる予定です。
(4) TMT サイエンスフォーラムは、2022年にカナダのビクトリアで開催される予定でしたが、対面での議論を重視するため、更に1年延期し、2023年6月に開催することが提案されました。2022年はTMTにとっても重要な年であるため、オンライン形式で何らかの研究会等を開催することも議論されています。
(5) International Science Development Teams (ISDTs) のリーダーは、TommasoTreu氏 (UCLA) と Lei Hao氏 (Shanghai Astronomical Obs.) でしたが、Treu氏は退任し、Ian Dell'Antonio氏 (Brown Univ.) と Manoj Puravankara氏 (TIFR、India) が新たにリーダーとなることが報告されました。Astro2020の結果公表後、ISDTsの活動は再開される予定です。
[3] 報告: TMT科学諮問委員会 (10/7)
(1) 次世代装置開発のロードマップ委員会では現在、TMTの次世代観測装置の実現に向けたロードマップの文書化を目指しています。2020年の『すばる望遠鏡とTMTが結ぶ新たな宇宙像』で取りまとめられたTMTで取り組むべき重要な科学課題を基礎として、今回のロードマップは、その次の段階として次世代装置開発をターゲットに取りまとめを行います。まずはサイエンス側から主要な科学目標に対する「観測課題」、「性能仕様」、および「鍵となる技術仕様」についてまとめるため、科学諮問委員の中から担当者を決定しました。
(2) TMTに関するセミナー幅広いコミュニティに向けたセミナー開催の検討を進めています。科学諮問委員の方の所属する大学で、他分野の方向けにコロキウムなどでお話いただく試みの検討を進めています。同時に、光赤外以外の他波長観測や理論分野を含めた天文学コミュニティへ向けてTMTを効果的に広報するための方法を検討しています。
[4] 報告: TIO評議員会 (10/20-10/22)
10月20-22日 (JST) に TIO評議員会がオンラインで開催されました。
(0) 常田国立天文台長がTIO評議員会の副議長に年9月1日付で就任しました。常田台長は2024年3月まで副議長を務めます。副議長は、評議員会の運営を差配する役割を担っており、もう一人の L. Simard副議長と共に会議の司会進行を務めました。
(1) ハワイ報告
- Fengchuan Liu プロジェクトマネジャー代行 (開催当時の役職) から、これまでに地元コミュニティの様々な立場の方100名以上と小規模の対話を続けていること、その中にはTMT建設に反対する方々も含まれ、少しずつではありますが地元での信頼関係構築にむけた進捗があることについて報告がありました。
- 臼田プロジェクト長もハワイ島ヒロに駐在し、嘉数悠子特任専門員と共にTIOの一員として、ハワイの人たちとの対話を通じて、関係構築に尽力しています。
- ハワイ州議会の下で結成されたワーキンググループには先住民代表者も参加し、今後のマウナケア管理について議論が継続されています。年内に報告書が提出される予定です。
- ハワイ大学からは、引き続きマウナケア管理を担うことを前提として、マスタープラン案についてオンラインでフォーラムを実施するなど、様々なコミュニティとの会合を行っていることなどが報告されました。
(2) ラパルマ報告
土地利用許可が無効とされた行政裁判所の判決を不服として、カナリア州上級裁判所に対し自治体、IAC、TIOが控訴を行いました。
(3) Astro2020結果公表後のTIOとしての対応について、内容の確認と議論が行われました。Astro2020の結果公表後、予め用意したUS-ELTプログラムの声明を速やかに発表すること、当日中に評議員会メンバーの会合を設けることが確認
されました。
(4) TMTの建設再開に向けて、米国連邦政府予算の獲得、建設サイト問題などの重要な課題について、迅速かつ的確に進めるために、2020年12月より空席であったプロジェクトマネージャーのポジションを任命することは急務であると
言う認識の下、評議員会での議論の結果、F. Liuプロジェクトマネージャー代行を正式なプロジェクトマネージャーとすることが全員一致で承認されました。
(5) 常田台長が委員長を務めるBusiness Planワーキンググループの会合が8~10月にかけて4回開催されたことが報告されました。米国連邦政府予算獲得へのプロセスとして今後予定されているNSFの基本設計審査に向けて、TMT計画のスケジュール、予算計画、現物貢献のコスト評価について議論がおこなわれています。
[5] 報告: その他
以下の報告については、TMTプロジェクトウェブサイトをご覧ください。
[6] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
12/16 TMT科学諮問委員会
No.712021年9月9日
- [1] 報告: TIO SAC (5/19)
- [2] 報告: TIO評議員会 (7/14-7/16)
- [3] 報告: TMT科学諮問委員会 (6/14、7/21)
- [4] 報告: TMTに向けた開発ミニワークショップ (6/4)
- [5] 報告: 科学運用に関するミニワークショップ (6/23)
- [6] 報告: IRIS Tier-C レビュー (6/21-6/23)
- [7] 報告: 2021年度 TMT戦略基礎開発研究経費採択結果
- [8] お知らせ: 三鷹・星と宇宙の日
- [9] 報告: その他
- [10] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
[1] 報告: TIO SAC (5/19)
5月19日(JST)にTIO SAC会議がオンラインで開催されました。
(1) 米国のDecadal Survey (Astro2020)結果公表後の対応について、前回(3/24)に続けて議論しました。
(2) TMTの科学運用について議論するサブ委員会(SAC Operations subcommittee)が設立されました。委員長は中国のEric Peng、日本のメンバーはTMTプロジェクトの青木です。まずは、現在の運用プランを再度レビューし、不足している要素を挙げると共に改善点をまとめる予定です。7月30日(JST)のTIO SAC会議で、検討結果が報告される予定です。その後、9月に各パートナーからのフィードバックを入れSACへの最終報告をまとめる予定です。
(3) 科学要求仕様の内容と現状の検討結果についてTIOから報告があり、ほとんどの誤差項目の値は信頼できる値であることが確認されました。最大の不確定要素はPSF reconstructionですが、第三鏡、補償光学装置(NFIRAOS)、観測装置(IRIS)からの寄与は小さく、高精度な測光を妨げる要素は無いことが確認されました。
[2] 報告: TIO評議員会 (7/14-7/16)
7月14-16日 (JST)に TMT国際天文台(TIO)評議員会がオンラインで開催されました。
(1) ハワイ報告
- プロジェクトマネジャー(PM)代行の Fengchuan Liu氏は6月10日にヒロに赴任し、ハワイ島の多数の人々と一対一または少人数での会合を持ち、対話を行っています。国立天文台としても、ハワイでのTIOの活動を引き続き支援します。
- ハワイ現地でTMTの顔が見えないという印象がこれまで強かったので、PM代行のLiu氏がハワイ島のコミュニティの中で活動を始めたのは重要なステップであり歓迎すると、多くの関係者が述べています。
- ハワイ州議会によるマウナケア管理に関するワーキンググループは、7月1日に最初の会合を開催しました。2021年内に報告がまとめられる予定です。
(2) 米国国立科学財団 (NSF) に関する報告
- NSFによるTMT建設費用は、MREFC (Major Research Equipment and Facility Construction)という枠で確保する想定ですが、建設予算の議会による承認に先立ち、開発予算を獲得するための努力を、米国超大型望遠鏡計画 (US-ELTP)のパートナーである全米天文学大学連合 (AURA) / NSF国立光赤外線天文学研究所 (NOIRLab)およびGMTと協力して進めています。なお、GMTとNOIRLabは2020年にNSFから開発予算を得ています。TMTは、その際の申請時期である2019年には、ハワイでの訴訟リスクを考慮し提案を見送っています。
- NSF参加後のTIOのガバナンスについても検討しています。観測時間配分等の重要な協議事項について、常田台長が委員長を務めるBusiness Plan WGでの建設費やNSFへの予算要求金額での議論を元に、引き続き議論しています。
- Astro2020の結果公表は、6月から遅れるというアナウンスがありましたが、いつ頃になるかについては現時点では未定です。National Academiesのウェブサイトには、2021年秋に公表予定と記されています。
- NSFによる基本設計審査に向け、ハワイでの進捗、審査のスケジュール等を考慮しながら、TMT完成までのスケジュールと予算(NSFに要求する金額)等の検討を進め、10月の評議員会で方針を決める予定です。その後、メンバー会議を開催する予定です。
- 日本等の参加機関が担当している現物貢献内容のコストおよびスケジュールについて、外部有識者によるレビューが6月から進められています。
[3] 報告: TMT科学諮問委員会 (6/14、7/21)
今年度第2回のTMT科学諮問委員会が6月14日に開かれました。
(1) TMT戦略基礎開発研究経費についてのワークショップを6月4日に開催したことを受け、経費の審査の観点を議論した上で、審査員の選出を行いました。
(2) 科学運用について、TIOおよびUS-ELTPの内部レビューをはじめ、この間の検討経緯をTMTプロジェクトから報告し、TIOから提案されている運用プランと6月23日のワークショップ案を紹介して意見交換を行いました。
(3) 日本学術会議マスタープラン2023関連のスケジュールについて、TMTプロジェクトから説明しました。
(4) より幅広い研究者コミュニティ、特に次世代を担う研究者にTMTについて関心を持っていただくことを目的とし、サイエンスに重点をおいたワークショップ等の開催の可能性について議論しました。
第3回科学諮問委員会は7月21日に開かれました。
(1) TMT戦略的基礎開発研究経費の申請について、評価委員の審査による経費配分案が説明され、それを承認しました。
(2) 秋山委員長より、今後の装置開発の戦略について、TMT科学諮問委員会として白書を取りまとめるという提案がありました。これは科学目標のために必要な観測装置機能、性能と、そこで要求される技術仕様をまとめ、技術仕様の実現にあたってのこれまでの成果とこれからの開発ロードマップを取りまとめるものです。
(3) 広いコミュニティの方にTMTについて一層強い関心を持っていただくための取り組みとして、日本惑星科学会最終日の9月18日に、口頭発表3件(吉田二美委員と、TMT臼田・青木)とランチミーティングを行い、惑星科学分野とのコミュニケーションの場とすることになりました。
[4] 報告: TMTに向けた開発ミニワークショップ (6/4)
6月4日に、TMTに向けた開発を支援する、戦略基礎開発研究経費についてのワークショップが開かれました。まず、TMT計画の現在の状況、TMTで計画されている第一期・第二期観測装置をご紹介するとともに、各装置の開発状況についてご説明しました。その後、戦略基礎開発研究経費の主旨や公募内容についてご説明した後で、過去の戦略基礎開発研究経費の成果の例として、北海道大学の村上尚史さんに系外惑星の直接撮像を目指すユニークな高コントラスト撮像シ
ステムの開発の進捗をご紹介いただきました。また、この経費での研究開発に利用される可能性のある国立天文台 先端技術センターについてご説明しました。最後に参加者との質疑応答・意見交換が行われました。
日本のコミュニティがTMTの装置開発へ継続的に寄与することは非常に重要です。本ワークショップは、約110名と多くの方にご参加いただきました。誠にありがとうございます。なお、当日の発表資料と質疑内容は、TMTプロジェクトのウェブサイトでご覧になれます。
[5] 報告: 科学運用に関するミニワークショップ (6/23)
6月23日にオンラインでTMTの科学運用に関するワークショップを開催し、最近の検討状況をご報告しました。80人余りの方に参加いただき、活発な質疑とご議論をいただきました。ワークショップでは、参考となる例としてジェミニ望遠鏡やアルマ望遠鏡の運用、およびすばる望遠鏡HSC/PFSのデータアーカイブについても報告いただきました。
NSFによるUS-ELTPの基本設計審査(PDR)にむけて、TMTおよびGMTの科学運用に関する検討が米国で進められ、そのなかで、NOIRLabが科学運用の全サイクルにわたり重要な役割を果たす内容の提案が作成されつつあります。これに対応し、日本としてもTMTの科学運用の検討を進めるべきタイミングとなっています。
昨年末以降、日本においてはTMT科学諮問委員会およびそのもとに置かれた検討ワーキンググループでTMTの科学運用の検討を進めてきました。米国の計画では、プロポーザル作成・解析準備、データ解析、処理済みデータの公開などのユーザにとって必要性の高いサポートを提供し、そのツールを他のパートナーにも提供することになっています。これを日本としてどう活用するか、逆に独自に開発すべきことは何か、といった問題提起に対し、様々な観点からの意見
が出されました。また、プログラム審査のありかた、日本として成果を最大化するためのサポートの在り方なども議論となりました。
報告と議論の詳細はTMTプロジェクトのウェブサイトをご覧ください。
ワークショップでの議論は今後の科学諮問委員会・ワーキンググループでの検討に反映するとともに、TIOや米国との協議にも活かしていきます。
[6] 報告: IRIS Tier-C レビュー (6/21-6/23)
TMTの第1期観測装置IRIS(近赤外線撮像分光装置、Infrared Imaging Spectrograph)の詳細設計フェーズは、3年間の予定で、2017年秋からはじまりました。2020年秋には、詳細設計の結果を確認する審査会が予定されていましたが、2020年初頭から拡大したコロナ禍の影響により、詳細設計が遅れ、またIRISのパートナーや審査員が一同に集まる審査会の開催は当面不可能となりました。コロナ禍の長期化によりオンサイトの審査会の目処が立たないため、オンラインの開催を模索してきました。
そして、ようやく2021年の5月末から6月末にかけて、これまでの詳細設計の途中経過を評価するオンライン審査会を開催することができました。ただ、IRISパートナーや審査員が日欧米に所在するため、時差がどうしてもあります。時差の影響を小さくするため、IRISのサブシステムごとに、審査会の日時を分けて調整しました。
国立天文台が担当する撮像系のレビューは、米国が中心に進める分光系と合わせて、6月21日から23日にかけて、米国・パサデナの午前中の4時間、つまり日本の真夜中から未明に実施されました。審査委員長がイギリスから、他の審査員はアメリカ東西海岸から参加したためです。撮像系、分光系とも主に、要求仕様書とインターフェース仕様書の詳細、光学系、機械系、光学機械系、電気系などの設計や性能解析、設計の根拠を明確にするためのプロトタイプ試験結
果が審査されました。また、組立・調整計画、要求仕様の検証方法、リスク解析についての評価も行われました。審査結果の正式なレポートは近日中に受け取ることになっています。この結果を受けて、延期された設計・検討事項を含め、今後の詳細設計のアクションアイテムを明確にして、詳細設計を完了させるための次のフェーズを開始することになります。
[7] 報告: 2021年度 TMT戦略基礎開発研究経費採択結果
将来のTMT観測装置の実現に向けた基礎開発研究のために、TMT戦略基礎開発研究経費の配分が実施されています。昨年度は、極めて厳しい予算状況のため中断せざるを得ませんでしたが、日本がTMTで重要な貢献を果たすためには、大学等の研究者が独自性の高いアイデアや技術を活かして装置開発に参加することが重要との認識のもと、今年度は公募を行いました。
コミュニティから引き受けて下さった外部審査員による審査の結果、6件の計画が採択され、予算額1000万円が配分されました。採択された計画については、TMTプロジェクトウェブサイトをご覧ください。
[8] お知らせ: 三鷹・星と宇宙の日
今年の国立天文台三鷹キャンパスの特別公開「三鷹・星と宇宙の日」は、コロナウィルス感染症防止のため、オンラインで開催されます。遠方にお住まいで天文台を訪問することが難しかった方もぜひご参加いただければと思います。詳しくは国立天文台のウェブサイトから近日中に発表されますのでお楽しみに。
[9] 報告: その他
以下の報告については、TMTプロジェクトウェブサイトをご覧ください。
[10] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
9/6-9/9 光赤天連シンポジウム 2021
9/13-9/15 日本天文学会 秋季年会
10/7 TMT科学諮問委員会
10/23 三鷹・星と宇宙の日 2021
No.702021年6月11日
- [1] お知らせ: 2021年度 TMT戦略基礎開発研究経費【公募】
- [2] お知らせ: TMT科学運用に関するミニワークショップ (6/23)
- [3] 報告: TIO SAC (3/24)
- [4] 報告: TMT科学諮問委員会 (4/14)
- [5] 報告: TIO評議員会 (4/28-4/30)
- [6] お知らせ: 宇宙天文光学EXPO 2021 (6/30-7/2)
- [7] 報告 (その他)
- [8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
[1] お知らせ: 2021年度 TMT戦略基礎開発研究経費【公募】
国立天文台TMTプロジェクトでは、将来のTMT観測装置の実現に向けた基礎開発研究計画を募集します。TMTにおいて日本が重要な貢献を果たすためには、大学等の研究者が、独自性の高いアイデアや強みのある技術を活かしてTMTの開発に参加することが極めて重要であり、本開発研究はそのような活動を支援することを目的としています。2021年度の予算は総額1,000万円を予定しています。応募締切は6月18日です。詳しくは、TMTプロジェクトウェブサイトをご覧ください。
2021年度 TMT戦略基礎開発研究経費【公募】
[2] お知らせ: TMT科学運用に関するミニワークショップ (6/23)
日時: 2021年6月23日(水) 9:00-12:00 (JST)
zoomによるオンライン開催
こちらからご登録ください。
米国国立科学財団(NSF)による米国超大型望遠鏡計画 (US-ELTP)の基本設計審査(PDR)にむけて、TMTおよびGMTの科学運用に関する検討が米国で急速に進められています。AURAの元のNSF国立光赤外線天文学研究所(NOIRLab) が科学運用の全サイクルにわたり重要な役割を果たす内容の提案が作成されつつあります。日本としては、すばる望遠鏡とTMTの長所を活かした連携的な観測によって国際的にも競争力の高い研究を展開することを目指しており、米国での検討内容に意見を出していくことが重要です。
今回のWSでは、米国側での検討状況をご説明した上で、日本のコミュニティとして科学運用に関して優先度の高い内容を同定したいと考えています。TMTとすばる望遠鏡での観測に関心のある全ての方、特にこれまですばる望遠鏡や、アルマ望遠鏡などでの観測経験のある方の参加を期待しております。
ワークショップのプログラム:
1) US-ELTPにおける検討状況 (青木和光)
2) 日本における検討のための情報・コメント
・Geminiの運用スタイルの紹介 (小山佑世)
・東アジアALMA地域センターの役割と活動 (深川美里)
・HSC/PFSのデータアーカイブ (田中賢幸)
3) 議論
・US-ELTPにおける運用計画への対応方針
・日本として整備するべき体制・開発項目
[3] 報告: TIO SAC (3/24)
3月24日(JST)にTIO SAC会議がオンラインで開催されました。
(1) TIOプロジェクトサイエンティスト(PS)
Jerry Nelson逝去後、空席になっているPSの必要性について議論をおこない、科学的側面でTMTのスポークスパーソンの役割を持つことや、科学的側面で望遠鏡や観測装置の要求仕様についてリードすることが求められることを確認しました。その後、SACからの要望を受け、評議員会で議論が行われています。
(2) 米国のDecadal Survey (Astro2020) 結果公表後の対応
想定される結果に対する TIO SACからのメッセージを検討しています。最終的なメッセージ内容について、結果公表後速やかに co-chair会議、続いてSAC会議を開催して議論する予定です。また、TMTとGMTで連携して対応する方針が確認されました。
(3) 系外惑星小委員会
第一期観測装置 近赤外高分散分光器 (MODHIS)の多天体分光モードについて、コミュニティへのアンケート等をおこなった結果、強い科学的要求がなく、一方開発要素は多いため、基本仕様とはしないことになりました。ただし、将来の拡張オプションとしては残します。
(4)その他
・US-ELTPの科学運用プランについて、NOIRLabより説明がありました。
・次回のTMTサイエンスフォーラムは、2022年6月にカナダバンクーバーで、対面形式で開催される予定です。
[4] 報告: TMT科学諮問委員会 (4/14)
今年度初めてのTMT科学諮問委員会が4月14日に開かれました。2021年内に予定されているUS-ELTPの基本設計審査に向け、TMTの科学運用に関する検討が米国で進められています。その内容は米国以外のTMTパートナーにも大きく影響する可能性があることから、日本はこれまでに、全米天文学大学連合 (AURA)、 NOIRLabおよびTIOの運用検討者と情報共有を行ってきました。
その動きがきっかけとなり、TIOとTMTパートナーが協議を行う仕組みとして、TIO SACの科学運用検討小委員会が活動を再開することになりました。あわせてTMT科学諮問委員会においても、日本のコミュニティの意見を集約しフィード
バックするために、科学運用検討ワーキンググループが設置されました。すばる望遠鏡とTMTの一体運用を見据える日本としては、プロポーザル提出方法やアーカイブデータへのアクセスなどを、すばる望遠鏡とTMTで一体的に運用できる仕組みを実現するように働きかけたいと考えています。
[5] 報告: TIO評議員会 (4/28-4/30)
4月28-30日 (JST) に TMT国際天文台 (TIO) 評議員会がオンラインで開催されました。
(1) ハワイ報告
・既存望遠鏡のうち2基 (CSO、ホクケア)の撤去手続きが進んでおり、それぞれ2023年、2024年に撤去完了の見込みです。
・ハワイ州議会による、将来のマウナケア管理に関するWGメンバーの選考が5月はじめに完了する予定です。(その後、5月10日に先住民コミュニティ代表者を含むWGメンバーが公表されました。)
・ハワイ大学ではマスターリース更新の手続きが進められています。
・ハワイ大学天文学研究所(IfA)の所長に、現在CFHT所長であり、Maunakea
Management BoardメンバーのDoug Simons氏が9月に就任します。
(2) Hawaii Engagement Committee
評議員会の下で、TIOのハワイでの取組みについて議論するHawaii Engagement Committeeは活発に議論を重ねています。今後TMTがハワイ社会の長期的なパートナーとして信頼を得るためのアプローチ等について報告がありました。国立天文台からは、これまでのTIOの失敗を繰り返さないため、問題点を真摯に分析することの重要性を指摘し、今後評議員会で議論することになりました。
(3) TIO報告
・TIO本部のハワイへの段階的移転の第一歩として、Fengchuan Liu TIOプロジェクトマネージャ代行が、近くハワイに赴任することが報告されました。国立天文台としても、ハワイでのTIOの活動を引き続き支援します。
・TIOの財政状況に関して、支出削減に努めていることの報告がありました。
・NSFPDR に向けて、外部有識者を招いたレビューを今夏に実施するための準備状況が説明されました。また、現物貢献のコスト推定方法やスケジュールリスクの評価などの重要な検討課題に関して議論しました。
[6] お知らせ: 宇宙・天文光学EXPO 2021 (6/30-7/2)
昨年度はコロナ禍で中止になった宇宙・天文光学EXPOですが、今年はパシフィコ横浜で開催されることになりました。国立天文台のブースでは、TMT、JASMINE、産業連携室の展示を行います。特別セミナー「国立天文台の研究者が語る天文コース」では、JASMINEの講演に加えて、TMTプロジェクトの岩田が「すばる望遠鏡と30m光学赤外線望遠鏡TMTが結ぶ新たな宇宙像」というテーマで講演します。現地会場のみでの開催ではありますが、ご訪問・ご参加を検討いただければ幸いです。
今年は、完全事前登録制となりますので登録をお済ませの上、ご来場ください。
OPIE 2021
[7] 報告: その他
以下の報告については、TMTプロジェクトウェブサイトをご覧ください。
[8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
6/14 TMT科学諮問委員会
6/23 TMT科学運用のミニワークショップ
6/30-7/2 宇宙・天文光学EXPO 2021
No.692021年3月31日
- [1] 報告: TIO評議員会(1/26-1/28)
- [2] 報告: TMT科学諮問委員会(2/9)
- [3] 報告: TMT科学運用に関する検討
- [4] 報告: 非球面研磨された分割鏡の最初の品質審査が完了
- [5] 報告: パサデナオフィスの移転
- [6] 報告: その他 (講演会)
- [7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
[1] 報告: TIO評議員会(1/26-1/28)
1月26-28日 (JST) に TMT国際天文台 (TIO) 評議員会がオンラインで開催されました。
(1) 2021年 TIO予算案
評議員会下のワーキンググループおよび財務委員会で審議してきた2021年のTIO予算案について、承認されました。
(2) Hawaii Engagement Committee
国立天文台は TMTの地元ハワイでの信頼関係構築のために、TIOリーダーが率先してハワイに居住して活動することが必要であると繰り返し主張しています。TIOのハワイに関する取組みを議論する Hawaii Engage Committeeでは、TIO本部のヒロへの段階的な移転についての検討、TIOでは具体的な移転に向けたプラン作成が進んでいます。
(3) NSF 基本設計審査 (PDR) に向けた準備
Liuプロジェクトマネージャー代行および Goodmanビジネスマネージャーから、TIOでの準備状況や工程案が説明されました。TIO内部でのレビューのあと8月頃に外部専門家を含むシステムレベルの外部レビューを実施し、2021年Q4に予定される NSF PDRに臨むことが説明されました。
(4) パートナー報告
国立天文台から、日本国内におけるTMT予算獲得は厳しい状況であるため、TIOの支出削減努力、ハワイでの明確な進展などが必要であること、また最小限の予算で将来のコストおよびリスク低減を図るフロントローディングに集中して日本国内の作業 (望遠鏡本体構造および主鏡の製造準備、観測装置の設計および製造準備) を継続して進めていることを説明しました。
[2] 報告: TMT科学諮問委員会(2/9)
今年度第7回のTMT科学諮問委員会が2月9日に開かれました。今期のTMT科学諮問委員会への諮問事項として「科学運用計画について米国の戦略と連携を行いながら最適な運用を提言する」、「装置開発戦略と第二期観測装置のロードマップについて、長期的な視点で戦略をたてること」、「TMTプロジェクトと協力し、天文台内外の組織と議論を行うこと」を確認しました。
また、プロポーザル準備からデータアーカイブまでをカバーする科学運用について議論を進めました。USELTプログラムとの連携を議論する NSF国立光赤外線天文学研究所 (NOIRLab) との会議や、3月に開催されたすばるユーザーズミーティングの中でこれまでの議論の紹介を行うことを踏まえ、論点が整理されました。
最後に、2012年度から2019年度の8年間にわたりTMTに関連する装置開発や要素技術の開発を目的として募集が行われてきた「TMT戦略的基礎開発研究経費」について議論されました。今年度は予算の制約のため本経費を中断していますが、2021年度に単年度で実施する必要性について議論されました。その結果、TMTの装置開発についての様々なグループが関心を持ち継続的に開発を進める意義は高く、科学諮問委員会として単年度でも再開を要望することが確認されました。また、(1) 要素技術開発から装置概念提案に結びつけるステップを確立する必要があり、プロジェクトや科学諮問委員会を通じて具体化のロードマップを検討すること、(2) 次期装置だけでなく第一期装置の機能追加や望遠鏡に関わる基礎開発も含めることが重要であることも指摘されました。
[3] 報告: TMT科学運用に関する検討
米国において、NSFの TMTおよび GMTへの参加を内容とする米国超大型望遠鏡プログラム (USELTP) の基本設計審査 (PDR) にむけた準備が進められており、その一部として科学運用に関する提案の準備も行われています。提案は基本的には米国ユーザ向けのサービスが中心となりますが、TIOとパートナーの役割分担に深くかかわるため、日本としてもその内容を把握し、すばる望遠鏡とTMTの一体運用という方針を踏まえて日本のユーザの意見を反映していく必要があります。
2020年12月の TMT科学諮問委員会でこの議論を開始し、科学運用検討ワーキンググループ (WG) を設置しました。今年に入ってから、USELTPを進める全米天文学大学連合 (AURA)/NOIRLab 関係者と協議をもち検討状況の報告を受けるとともに日本からの関心事項を報告して意見交換しました。また、TIOの担当者との協議ももち、検討されている提案についてさらに詳しく報告を受けました。そのなかで、従来 TIOがベースとしてきた運用プランを大きく変更し、TIOが担当するとしてきた生データのアーカイブや、観測提案受付・観測準備のためのツール、加えてサイエンスレディの解析済みデータを USELTPが提供し、米国の in-kind貢献とするという案が検討されていることが報告されました。これはユーザの関心の高いデータの取り扱いプランを大きく変更するものであるとともに、パートナーとしての日本が運用において何を行う必要があるのか、すばる望遠鏡との一体的な運用をどう構築するのかといった検討にも大きく影響するものであり、科学運用検討WGで対応について議論を進めています。
TIO科学諮問委員会 (SAC) でも2019年に設置された科学運用検討のためのサブ委員会を再開し、各パートナーからの意見について検討を進める予定です。米国においては、今年秋に予定されている NSFの PDRにむけ、6月には科学運用提案の内部レビューを行う予定であり、動きが急になっています。日本においてもこの件を報告し、議論する機会を設けることを検討しています。
科学運用に関する検討のこれまでの動き
2020年
12月22日 TMT科学諮問委員会で科学運用検討WG設置
2021年
2月 9日 TMT科学諮問委員会で議論
2月10日 AURA/NOIRLab との協議
2月18日 すばる科学諮問委員会で報告
3月 3日 科学運用検討WG
3月 5日 すばるユーザーズミーティングで報告
3月 9日 TIOとの協議
3月23日 TIO SACで議論
3月26日 科学運用検討WG
[4] 報告: 非球面研磨された分割鏡の最初の品質審査が完了
非球面研磨された分割鏡 (ラウンデル) の最初の品質審査が行われました。審査の対象となったのは、日本が加工を担当した分割鏡 (識別番号:SN023) で、2019年度に研磨加工作業を完了していたものです。ラウンデルの最初の品質審査であり、TMTの厳しい仕様を満たしていることを確認するために審査は時間をかけて丁寧に行われましたが、2020年12月に無事合格となりました。今回の審査過程を経て品質確認のための手続きが確立できたので、日本で製作された他のラウンデルの品質審査に向けた準備が進められています。詳しくは、TMTプロジェクトウェブサイトをご覧ください。
米国が製作を担当するラウンデルについても審査が始まり、3月26日に最初の審査が行われました。
[5] 報告: パサデナオフィスの移転
TIO本部および国立天文台カリフォルニア事務所が使ってきたパサデナのオフィスのリース契約が完了し、3月より、ラボのあるモンロビアにオフィスが移転しました。
[6] 報告: その他 (講演会)
2020年は新型コロナウィルス感染症の影響により、対面での交流が制限されてしまいました。一方、多数の講演会・出前授業がオンラインで行なわれ、国境や時差を超えた交流が実現される場面もありました。これらの講演の一部はTMTプロジェクトのウェブサイトでご報告しておりますので、ぜひご覧ください。
[7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)
5/30-6/6 日本地球惑星科学連合 2021年大会
6/30-7/2 宇宙・天文光学EXPO 2021