2009年

No.142009年12月24日(旧Jelt News Letter)

  • [1] お知らせ : 研究会「大望遠鏡による高分散分光観測の展望」開催 (2010/2/12-13)
  • [2] 報告 : 第3回TMT装置検討会開催 (12/09)
  • [3] 報告 : TMT IRIS Technical meeting (12/16)
  • [4] 報告 : TMT IRIS Science team meeting (12/17)
  • [5] 最近の活動・報告/今後の予定

[1] お知らせ : 研究会「大望遠鏡による高分散分光観測の展望」開催(2010/2/12-13)

日時:2010年2月12日(金)、13日(土)
場所:国立天文台三鷹キャンパス北研究棟講義室

講演・旅費申し込み締切:2010年1月12日(火)

高分散分光観測は、可視光から中間赤外までにわたって、TMTの主要な観測モードの一つとなると期待されます。TMTによる高分散分光にもとづく研究の可能性について、波長横断的に突っ込んだ検討を行い、それぞれのサイエンスにおいてどの波長域が効果的か、また、どのような装置性能が要求されるかを国内のコミュニティ全体で幅広く議論したいと思います。
詳しくは別途配布されるサーキュラをご覧ください。

連絡先: 青木和光(国立天文台) aoki.wako [at] nao.ac.jp

研究会案内(tennetメールアーカイブ内)

[2] 報告 : 第3回TMT装置検討会開催 (12/09)

日本独自のTMT第2期観測装置を提案すべく、第3回TMT装置検討会が12/09(水)に開かれました。

約20名の参加者があり、4件の装置提案について順次プレゼンテーションを行いました。10月の光天連シンポでは主にサイエンスの検討を行ったのに対して、今回は装置設計検討の進展が見られ、今後のR&D課題がはっきりしてきました。各グループともメンバーの増員、海外のグループとのコラボレーション、と検討組織をさらに増強し、概念設計に向けて着実に準備が進められています。
4人の評価委員による詳細コメントは後日、各提案にフィードバックされました。これらを参考にしつつ、さらに詳細な装置検討に入ります。

第4回は2010年6月上旬頃の開催を予定しております。
装置検討会 web page

[3] 報告 : TMT IRIS Technical meeting (12/16)

12/16(水)に、TMTの第一期観測装置IRISの技術会議がパサデナのTMTオフィスにて開催されました。日本からは、臼田・鈴木(国立天文台)と菅井(京都大学)が参加しました。以下、概要について報告いたします。

参加者:
Betsy Barton (UCI), James Larkin (UCLA), David Crampton (HIA),
Cyndie Niehaus (UCLA), David Loop (HIA), Anna Moore (Caltech),
Hajime Sugai (Kyoto U), Tomo Usuda (Subaru), Shelley Wright (UCI),
Brian Bauman (UCSC), Andrew Phillips (UCSC), Ryuji Suzuki (Subaru/UH),
Alex Delacroix (Caltech)

  1. 0)設計およびサイエンスの検討の結果、IRISの波長範囲は0.84~2.4 um
  2. 1)今後想定している主なマイルストーン
    2010/03/03 概念設計検討書類を評価委員に提出。評価委員は現在検討中。E-ELTのMICADO & HARMONIチームメンバーが有力候補。
    2010/03/24-25 概念設計レビュー:但し、日本の天文学会と日程が重なるため日程変更を検討中
    2010/04/30 レビューの結果を受けて最終検討報告書を提出
    2010/05-2011/12 PDP (Preliminary Design Phase)
    2011/01-2013/07 DDP (Design Development Phase)
    2013/08-2015/12 Fabrication
    2015/01-2015/06 Test
    2015/06-2017/10 Integration
    2017/10-2018/08 AIV (Assembly, Integration, Verification)
    2018/08-2018/11 Commissioning
  3. 2)新規のポスドク2名:1名は鈴木さんで、引き続きIRISの撮像モードの設計を継続すると共に、AOと望遠鏡を含めた性能評価のシミュレーションをおこなう。もう1名のポスドクは、Barton (UCI)と一緒にサイエンスケースのとりまとめ等をおこなう。
  4. 3)NFIRAOSの光学設計に10%弱(7-8%)のDistortionが残っている重大な問題点が判明。2分角視野のIRMSだけでなく、IRISのAstrometryの精度にも影響。本格的に設計変更はせず、光学系を加えることで対処する見込み。
  5. 4)各コンポーネントについて進捗報告があった。
    (a) OIWFS (On Instrument Wave Front Sensor) by David Loopサイエンス視野25"の周囲の2分φの視野の範囲で、3つのプローブ。位置精度は2 mas(焦点位置で4.4 um)。検出器は1~1.7umコスト見積は約$3.9M
    (b) Lensletタイプについては特に進捗なし
    (c) Slicer + Optical geometry by Anna Moore 25mas (FOV: 2.30" x 1.10")と50mas (FOV: 4.60"x2.20")の両方について光学設計完了。4096 pixelの内、4051を利用(99%)。スライサーは3枚の金メッキ鏡(ガラス or アルミ)で、反射率は1umで94.1%、2.4umで97.6%。
    (d) Spectrograph Optical design by Brian BaumanコリメータはBaF2、FS、ZnSeの3枚構成。グレーティング上の瞳サイズは90mm。Ensquared energyが視野の端でも2pixelで10%以下のロスを達成ガラス材のARコーティングは98%以上でOK。
    (e) Imager by Ryuji Suzuki
    特に進捗なし。今後はゴースト解析とZnSeの内部散乱の影響を調査する。
    (f) ADC by Andrew Phillips
    特に進捗なし。 8種類の構成で仕様を達成。今後、撮像・分光の設計に含む予定。

[4] 報告 : TMT IRIS Science team meeting (12/17)

12/17(木)に、TMTの第一期観測装置IRISのサイエンスチーム会議がパサデナのTMTオフィスにて開催されました。日本からは、臼田(国立天文台)と菅井(京都大学)が参加しました。
以下、概要について報告いたします。

参加者:
Betsy Barton (UCI), Will Clarkson (UCLA), Pat Cote (HIA),
Tim Davidge (HIA), Andrea Ghez UCLA), Mike Liu (UH),
Bruce Macintosh (LLNL), Jessica Lu (Caltech),
Hajime Sugai (Kyoto U), Tomo Usuda (Subaru), Shelley Wright (UCI),
James Larkin (UCLA), David Crampton (HIA), Charles Blue (TMT),
Cyndie Niehaus (UCLA), Jeff Cooke (Caltech), David Loop (HIA),
Anna Moore (Caltech), David Law (UCLA), Aaron Barth (UCI)

  1. 1)現在のOCDD(Operational Concepts Definition Document *1) にある内容からの装置への仕様要求の充実(サイエンス分野 vs 必要な装置パラメータとのrequirement matrixの完成度を上げる)というところに議論の時間としては費やされた。
  2. 2)10月の光天連シンポでのサイエンスケースの内、OCDDに無い項目について、以下の内容について菅井・臼田から説明:
    (a) 大朝さん:M31(780kpc)の星形成領域でのIMFJ=30mag 0.8 M_solar@1Myr (Av=10mag)。近傍銀河の項目に入れる。近傍銀河ではconfusionが気になるというコメントがLuさんからあったが、大朝さんに1ページ程度のまとめを依頼する予定。
    (b) 和田さん:中間質量ブラックホール。中間質量ブラックホールの質量測定を紹介。BarthさんはULXsは考えようとしていたようだが、積分時間をどうやって見積ったらよいのかの見当がつかなかったようだ。日本側でM82のIMBHに関する有用なデータを提供すると有効。
    (c) 関口さん:inner Oort CloudKBO(30-50AU)を越えてinner Oort Cloudのサイエンスに届く(数100-1000AU)話を紹介。非恒星追尾の要求精度も検討項目に加える必要がある。
    (d) 菅井さん:Compact massive galaxy at z=1-4van Dokkum et al., Nat, 460, 719のようなpassiveで不思議な天体のIFSでの速度場調査も考えるべき。
  3. 3)現在入っていないモードについて検討。具体的にはカメラを二つにすること、R~8,000の中分散、R~100でJHK同時分光、狭帯域・中帯域フィルターなど。現在の機械系の設計ではフィルターホイールに36枚搭載可能。
    意見交換の結果、以下のグレーティングおよびフィルターが候補:
    分光:
    (a) R=4,000グレーティング
    (i) z、Y、J、H、Kバンドの各バンドで、広帯域フィルターと4枚の5%フィルター
    (ii) COバンド、CH4などの特殊フィルター
    (b) R=8,000グレーティング
    (i) COバンドヘッド、1~3枚の2.5%フィルター
    (ii) Br-gamma、Pa-betaなどのH、He、H2、[FeII]、Ca II tripletなどの輝線
    (c) R=10,000グレーティング
    (i) z、Y、J、H、Kバンドの各バンドで、広帯域フィルター
    (d) R=100グレーティング
    撮像:
    - zYJHKの広帯域フィルター、H+Kバンド、ND
    - Jバンド狭帯域フィルター(OH夜光の間の波長)
    - CH4 on/off、H2O @1.47um on/off、H、He、H2、[FeII]などのon/off
    - Tunable Filter
  4. (*1)
    1. First Light: the Earliest Galaxies in the Universe
    1.1. The Lyman a luminosity function at z=7-20
    1.2. The nature of the earliest galaxies and the search for Population III star formation
    2. Chemodynamical Properties of Galaxies at z=1-4
    3. A Black Hole demographics and growth throughout cosmic history
    3.1. Detection of Supermassive Black Holes in Luminous Galactic Nuclei
    3.2. The Masses of Compact Stellar Nuclei and the Search for Central Black Holes in Low- and Intermediate-Mass Galaxies
    4. The Galactic Center: A Laboratory for Fundamental Astrophysics and
    Galactic Nuclei
    5. Local Group cosmology and the formation of nearby galaxies
    5.1. Disk formation: clues from nearby spiral galaxies
    5.2. The Metallicity Distribution Function of Virgo Spiral Galaxies
    6. Star Formation
    6.1. The Stellar Initial Mass Function
    6.2. Cluster Kinematics
    6.3. Massive Star Formation
    7. Discovery Potential in a New Area: Astrometric Microlensing
    7.1. Astrometric Microlensing: Measuring Masses of the Local Stellar Population
    7.2. Observing the Lenses of Photometric Microlensing Events
    8. The Detection and Characterization of Extrasolar Planets and Planet-forming environments
    9. Solar System Science
    9.1. Composition of the TNO Building Blocks
    9.2. Discovery and Characterization of Multiple Systems

[5] 最近の活動・報告/今後の予定

(*)印は、本News Letterで扱った項目

(最近の活動・報告)
(過去の活動・報告はwebページをご覧ください)
(11/27 前回 News Letter No. 13 発行)
12/3-6 宙博(そらはく) 2009 (@東京国際フォーラム)
TMT・すばる展示ブース設置http://jelt.mtk.nao.ac.jp/Japanese/news/news20091207sorahaku.html
12/9(*) 第3回TMT装置検討会 (@三鷹)
12/16-17(*) IRIS内部ミーティング (@Pasadena)
[2010年]
1/14-15 すばるユーザーズミーティング (@三鷹)
1/15午後 TMTセッション(約1時間)を予定
1/27-28 TMT SAC (@Pasadena)
2/1-2 TMT Board会議 (@Pasadena)
2/12-13(*) 研究会「大望遠鏡による高分散分光観測の展望」 (@三鷹)
3/24-27 天文学会2010年春季年会 (@広島大)
企画セッション「TMTで拓く新しい天文学」開催
3/24-25(仮) IRIS 内部レビュー (@Pasadena)
6/27-7/2 SPIE Astronomical Telescopes and Instrumentation(@San Diego)

No.132009年11月27日(旧Jelt News Letter)

  • [1] 募集 : 天文学会春季年会 (@広島大) TMT企画セッション (12/6〆切)
  • [2] お知らせ : 第3回TMT装置検討会(12/09)開催
  • [3] お知らせ : 『宙博(そらはく) 2009』 TMT関連展示・講演 (12/3-6)
  • [4] 報告 : TMT Board 会議 (10/27-28)
  • [5] 報告 : 中国がTMTに参加
  • [6] 報告 : 光赤天連シンポジウム 「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」(10/21-22)
  • [7] 報告 : 「三鷹・星と宇宙の日 - 天文学と望遠鏡の400年」 (国立天文台三鷹地区特別公開) (10/24)
  • [8] お知らせ : TMT紹介 新パンフレット完成
  • [9] 最近の活動・報告/今後の予定

[1] 募集 : 天文学会春季年会 (@広島大) TMT企画セッション (12/6〆切)

日本天文学会 2010年春季年会(2010/3/24(水)-27(土); @広島大)において、TMTを主題とした企画セッション「TMTで拓く新しい天文学」が開催されます。ELT室メンバー(家、高見、山下、臼田、柏川)が世話人を務めます。

世話人から依頼した基調講演の他に、一般講演(口頭、口頭+ポスター、ポスター)も募集いたします。ふるってご応募ください。
講演受付期間は、12/3(木)~12/6(日) 17時です。

募集要項・講演申し込みの詳細は、以下をご覧ください。

「2010年春季年会の企画セッションのご案内」(tennetメールアーカイブ)
http://www.asj.or.jp/tennet/archives/msg03355.html

[2] お知らせ : 第3回TMT装置検討会(12/09)開催

国立天文台ELT準備室では日本のTMT計画への参加をめざしています。その一環として日本独自の観測装置の検討を開始し、現在4つの具体的な計画が提案されています。検討を重ね、より現実的な概念設計書を策定することを目標にしています。

この度、「第3回TMT装置検討会」を開催し、各装置提案グループの検討経過について報告し、外部評価委員を交えて議論する機会を設けることとなりました。
どなたでも参加可能です。関心をお持ちの方はぜひご参加ください。

「第3回TMT装置検討会」
■ 日時: 12月09日(水) (JST) 9:40-17:00
■ 場所: 国立天文台三鷹解析研究棟 2Fすばる会議室 TV会議システム、Skype接続環境を用意します。
※ Skype・TV会議接続(max5局)される方は事前にELT室までご連絡ください。
■プログラム(案):
09:40-11:00 広視野近赤分光装置(秋山)
11:00-12:20 近赤高分散分光器(小林)
12:20-13:10 昼食
13:10-14:30 可視高分散分光器(青木)
14:30-15:50 中間赤外撮像分光装置(岡本)
15:50-16:05 全体議論、次回検討会開催時期決定
16:05-16:15 休憩
16:15-17:15 評価委員議論(closed session)
■評価委員: 岩室、臼田、児玉、高遠
■世話人: 柏川
検討会詳細 :http://jelt.mtk.nao.ac.jp/tmtinst/ 中、「第3回TMT装置検討会/開催のお知らせ」

[3] お知らせ : 『宙博(そらはく) 2009』 TMT関連展示・講演 (12/3-6)

2009年12月3日(木)-6日(日)の4日間、科学技術の最先端および環境エネルギー革命をテーマとしたイベント、 『宙博(そらはく) 2009』 (国立天文台も後援)が 東京国際フォーラムにて開催されます。
その中で、TMT・すばる望遠鏡についても、模型・ポスターにて紹介いたします。また、ELTプロジェクト室長 家正則による講演 「巨大望遠鏡で宇宙の一番星を見る」も行われます。
ぜひ足をお運びください。

宙博2009公式ページ
TMT・すばる展示
家の講演「巨大望遠鏡で宇宙の一番星を見る」(12/5(土) 13:00-)

[4] 報告 : TMT Board 会議 (10/27-28)

2009年10月27-28日(Openセッション、Executiveセッションの一部)

パサデナTMTオフィスにて
参加者、
TMTボードメンバー:
S.Kulkarni, E.Stone, A.Lange (Caltech), M.Bolte (UCSC),
H.Yang(UCSB, Chancellor), R.Carlberg (Canada, U. Tronto),
R.Racine (Canada), G.Fahrlman(TV)
プロジェクト側:
J.Nelson (Project Scientist, UCSC), G.Sanders (Project Manager)、
S.Dawson、G.Illingworth(SAC、Caltech)
オブザーバーなど:
家正則、高見英樹(NAOJ)、山田亨(東北大)。
J.Omura (Moore Foundation), 陳建生(NAOC)、ZHU Yongtian(Nanjin)、
MAO Shude(Univ. Manchester)、XUE Suijian(NAOC)

1. Project Manager報告
  • ヒロに設置される本部オフィスの候補地選定が進んだ。
  • 望遠鏡主鏡研磨については米国の企業による研磨試験の進展の報告がなされた。
  • コーティング設備については山麓、山頂の両方が検討され、山頂が有力となった。
2. ハワイの状況
  • CMP (山頂総合管理計画:ハワイ大が準備)について州政府によって認可されたのち、そこで宿題となった項目についての進捗が報告された。
  • 今後のスケジュールとしては、2011年2月にCDUP(保護地区使用許可)認可を目標とする。
3. 運用経費、パートナーシップ
  • 運用時の装置開発経費について議論があり、経費不足による装置計画が遅延する問題が議論された。
  • 望遠鏡時間の割り当ては基本的には建設および運用コストへの貢献に応じてであることが提案された。
  • インドが参加に強い興味を持っていることが報告された。
4. 中国の参加

中国から4名の代表が参加し、今後TMTボードにオブザーバーとして参加することとなった。中国のTMTについての状況の報告があり、10-20%の貢献の可能性が示唆された。早ければ2010年4月に正式参加の可能性がある。

5. エグゼクティブセッション

日本のビジネスプランの検討状況を報告した。中国などの新規のパートナーがあるため、パートナー間でプランの整合性をどのようにとり、コヒーレントに予算要求をしていくかについて、そのスケジュール、方法についての議論をおこなった。まずは、2010年1月中に各国のプランを検討する会議をもつことが提案された。これは日本が2011年度に予算獲得するための予算申請にとっては必須のスケジュールとなる。

[5] 報告 : 中国がTMTに参加

中国(中国科学院国家天文台; National Astronomical Observatories, Chinese Academy of Sciences = NAOC)がオブザーバーとしてTMTに参加しました。

これまでにカリフォルニア工科大、カリフォルニア大、カナダ天文学大学連合の3者がTMT計画に正式に参加しています。日本の国立天文台は2008年から協力機関として参加しています。

TMT公式ページの報告(英語)
"China Joins Thirty Meter Telescope Project"

[6] 報告 : 光赤天連シンポジウム 「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」(10/21-22)

10月21-22日の2日間にわたって、国立天文台三鷹キャンパスにて光赤天連シンポジウム 「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」が開催されました。

望遠鏡・装置の開発、科学研究提案、他のプロジェクトとの連携など、TMTに関連した多岐にわたるテーマについて延べ39件の講演がありました。また、三鷹本会場で約150名、国内外7局と接続したTV会議参加者が約30名と、実に多数の方の参加があり、TMTへの関心の高まりが感じられました。

TMT計画への日本の参加が現実味を帯びつつある中、TMTを用いた観測研究の将来を具体的に思い描く上で、大変有意義な議論の場となりました。

講演資料の集録・講演風景の写真を公開しております。
ご活用ください。
講演資料の集録ページ
シンポジウムホームページ
(講演風景写真は、ページ中「研究会のようす」へ)

[7] 報告 : 「三鷹・星と宇宙の日 - 天文学と望遠鏡の400年」 (国立天文台三鷹地区特別公開) (10/24)

例年の三鷹キャンパス特別公開は、今年は装い新たに「三鷹・星と宇宙の日」と題され、10月24日(土)に開催されました。
ELTプロジェクト室では、解析研究棟にてTMT関連の展示を行いました。
ポスターによるTMT概要・望遠鏡・科学研究紹介の他に、TMT1/150模型・セグメント鏡実物大模型の展示、屋外でのTMT主鏡実物大の体感企画、CG動画上映を行い、昨年に引き続き多数の方の関心を集めました。
また、ELTプロジェクト室長 家が「すばる望遠鏡から30m望遠鏡TMTへ -ボケを直して最初の銀河を見る-」と題する講演を行い、TMTの魅力と最新状況について紹介致しました。

TMT展示企画の様子(写真など)

[8] お知らせ : TMT紹介 新パンフレット完成

TMTを紹介する新しい日本語版パンフレットが完成しました。TMTの概要と、TMTで期待される科学的成果について紹介しています。

研究会の会場などで配布を開始しております。また、研究・教育機関でご活用いただける場合には、お分けすることもできます。
担当者までご連絡ください。

パンフレット写真・入手連絡先

[9] 最近の活動・報告/今後の予定

(*)印は、本News Letterで扱った項目

(最近の活動・報告)
(過去の活動・報告はwebページをご覧ください)
(9/8 前回 News Letter No. 12 発行)
9/14-16 日本天文学会2009年秋季年会(@山口大) TMT関連 6講演を実施
9/16 光赤天連総会 (12:00- 学会C会場)
10/5 すばる望遠鏡10周年記念シンポジウム (@一橋記念講堂)
10/21-22(*) 光赤天連シンポジウム「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」(@三鷹)
10/24(*) 「三鷹・星と宇宙の日」(旧名称: 国立天文台三鷹地区特別公開)
10/27-28(*) TMT Board会議 (@Pasadena)

(今後の予定)
12/3-6(*) 宙博(そらはく) 2009 (@東京国際フォーラム)
12/6(*) 学会春季年会 TMT企画セッション〆切
12/9(*) 第3回TMT装置検討会 (@三鷹)
12/14 SPIE Astronomical Telescopes and Instrumentation アブストラクト〆切
12/16-17(仮) IRIS内部ミーティング (@Pasadena)
[2010年]
1/14-15 すばるユーザーズミーティング (@三鷹)
1/27-28 TMT SAC (@Pasadena)
2/1-2 TMT Board会議 (@Pasadena)
2/12-13 研究会「大望遠鏡による高分散分光観測の展望」 (@三鷹)
3/24-27 天文学会2010年春季年会 (@広島大) 企画セッション「TMTで拓く新しい天文学」開催
3/24-25(仮) IRIS 内部レビュー (@Pasadena)
6/27-7/2 SPIE Astronomical Telescopes and Instrumentation (@San Diego)

No.122009年9月8日(旧Jelt News Letter)

  • [1] 報告 : TMT Board 会議 - ハワイがTMT建設第一候補地として選ばれる 2009.7.20-21
  • [2] 報告 : TMT Science Advisory Committee (SAC) 2009.8.20-21
  • [3] 募集 : 光赤天連シンポジウム「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」への講演と参加 2009.10.21-22
  • [4] お知らせ : 天文学会2009年秋季年会 (@山口大) TMT関連講演
  • [5] 最近の活動・報告/今後の予定

[1] 報告 : TMT Board 会議 - ハワイがTMT建設第一候補地として選ばれる
2009.7.20-21

2009年7月20-21日にカリフォルニア州パサデナで開かれたTMTボード会議においてハワイ・マウナケアを望遠鏡建設地の第一候補に決定しました。

建設地選定については当初は5か所の候補地について天体観測条件についての調査を行い、それにもとづいて2008年5月にハワイ・マウナケアとチリのアルマソネスを環境、経済、文化などへの影響も含めたより詳しい評価を行う候補地として選び、その後検討を行ってきました。今回の決定以降は望遠鏡建設のための検討はハワイのみとなります。また、それとともに山麓の本部施設はすばると同じヒロに設置されることになりました。

このボード会議においては日本からの参加者(ELT室 家・高見)も議論に加わって両候補地の比較を行い、どちらも天文観測のためには極めて適した場所であったが、より新しい発見が期待できる赤外線観測での性能を重視してハワイを第一候補としました。

現在TMTは、すでに進めている環境影響調査の完了を経て、山頂の保護地区利用申請をハワイ州政府に行うこととしており、その許可がおりれば正式に建設地として決定します。早ければ2010年秋に許可がおりる見通しで、それを踏まえて2011年秋から建設を開始する予定です。

TMT サイト決定 web リリース
(英語版・原文) "Thirty Meter Telescope Selects Mauna Kea"
(和訳版) 『TMT建設地はマウナケアに』

[2] 報告 : TMT Science Advisory Committee (SAC) 2009.08.20-21

8/20(木)~21(金)に、TMTのScience Advisory Committee (SAC)(*1)がパサデナのTMTオフィスにて開催されました。日本からは、臼田(国立天文台ELT室)が参加しました。以下、概要について報告いたします。

  1. 1)カナダ代表のSACメンバーがMike Hudson (Univ. of Waterloo)からRene Doyon (Univ. of Montreal)に変更になりました。
  2. 2)主鏡のエッジセンサーとアクチュエータについて試験が完了し十分な精度が出ていることが確認されました。大量生産に向けた廉価版を現在開発中です。
  3. 3)Tinsleyでフルサイズの主鏡ガラスの研磨を終了しました。しかし、工程が遅く、精度も十分に出ておらず、悪戦苦闘しているとの報告がありました。その後、ITTで六角形への切断とIBFの試験が行われています。
  4. 4)サイトについてはハワイを基準に、使用電力など詳細検討が進んでいます。
  5. 5)第一期観測装置(WFOS/MOBIEとIRIS)について現状報告があり、現在達成可能な設計仕様値が確認されました。
    WFOS/MOBIE
    - ADCを含めた設計を完了。現設計で達成可能な仕様値は以下の通り:
    - 0.3~1.1um、40.3分角^2、スリット長576" (2"~4" 多天体)、FWHM <0.2 "
    - R=1000 (single order), 3000 (3 orders), 5000 (5 orders),
    8000 (7-8 orders)
    IRIS
    - 0.8~2.4um、波面誤差<30nm、17x17"カメラ (4mas/pix)
    - R>3500面分光装置 (4, 9, 25, 50mas/pix)
  6. 6)第二期観測装置の開発費については、年間約$20Mの装置開発費を充てることを計画しています。これで十分かどうかの検討報告がありました。また、優先順位の付け方やパートナー間のバランスなどは、引き続き議論することになりました。
    なお、各パートナーの興味を知るためにも、2010年6~7月にサンディエゴで開催されるSPIEで、TMT装置ミニWSを開くことが決まりました。
  7. 7)TMTの新しいムービーが公開されました:https://www.tmt.org/multimedia
  8. (*1) ユーザーの立場からTMTの望遠鏡や装置、サイエンスについて
    議論する会議。3ヶ月毎に開催。日本からは、臼田、柏川がオブザーバー
    参加している。

[3] 募集 : 光赤天連シンポジウム「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」への講演と参加
2009.10.21-22

標題のシンポジウムを10月21,22日の両日、国立天文台・三鷹・大セミナー室で開催します。このシンポジウムでは、TMTの性能や観測装置の最新情報を広く提供した上で、より具体的なサイエンス課題、目標、および他波長・他計画との連携などについて集中的な議論を行い、日本の個々の研究者がTMT実現を自身の将来計画として考える機会にしたいと思います。幅広い分野の方々の参加と講演を募集しております(9月20日〆切)。

申し込み方法、暫定プログラムなどにつきましては、下記ページの"1st Circular"をご覧ください。
シンポジウムホームページ

[4] お知らせ : 天文学会2009年秋季年会 (@山口大) TMT関連講演

9/14-16に山口大にて開催される日本天文学会秋季年会において、TMTに関連した以下講演が予定されています。
(予稿は以下 URL でご覧になれます。)

【企画セッション】 (http://www.asj.or.jp/nenkai/archive/2009b/) :
(口頭講演; 9/15(火) 14:51- G会場)
「すばる広視野サーべイとTMT」 (ELT室・家; A15a)
(ポスター)
「すばる分光サーベイと TMTによる銀河系考古学」 (ELT室・青木; A32c)

【地上観測機器】 (http://www.asj.or.jp/nenkai/archive/2009b/pdf/V19a.pdf) :
(口頭講演; 9/15(火) 10:00- H会場)
「TMT30m光赤外望遠鏡計画の進捗」 (ELT室・高見; V19a)
「日本におけるTMTセグメント鏡製作プランの検討」 (ELT室・山下; V20a)
「TMTセグメント鏡用ガラス材のサブサーフェス・ダメージの測定」
(ELT室・秋田谷; V21a)

「TMT30m望遠鏡用観測装置の提案:近赤外高分散分光器」(東大・小林; V22a)
(ポスター)
「The mid-infrared instrument on the Thirty Meter Telescope (TMT). I.」
(茨城大・岡本; V23c)

[5] 最近の活動・報告/今後の予定

(*)印は、本News Letterで扱った項目

(最近の活動・報告)
(過去の活動・報告はwebページをご覧ください)
7/20-21(*) TMT Board会議 (@Pasadena) TMT 建設サイトがマウナケア(ハワイ)に正式決定
8/20-21(*) TMT SAC (@Pasadena)

(今後の予定)
9/14-16(*) 日本天文学会2009年秋季年会(@山口大) TMT関連 6講演を予定
9/16 Gopira総会 (12:00- 学会C会場)
10/5 すばる望遠鏡10周年記念シンポジウム (@一橋記念講堂) 家(ELT室・室長)が講演予定
10/21-22(*) 光赤天連シンポジウム 「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」(@三鷹)
10/24 「三鷹・星と宇宙の日」(旧名称: 国立天文台三鷹地区特別公開) TMT関連展示・企画を予定
10/27-28 TMT Board会議 (@Pasadena)
12月 IRIS Conceptual Design Review (@Pasadena)
12中旬 第3回TMT装置検討会 (@三鷹)
5/10-13 TMT External Advisory Panel Review (外部評価レビュー)
12/14 SPIE Astronomical Telescopes and Instrumentation アブストラクト〆切
[2010年]
6/27-7/2 SPIE Astronomical Telescopes and Instrumentation (@San Diego)

No.112009年6月22日(旧Jelt News Letter)

  • [1] 報告 : TMT IRIS 内部レビュー会議 (6/1)
  • [2] 報告 : TMT 観測装置グループ会議 (6/2)
  • [3] 報告 : 第2回TMT装置検討会 開催 (6/10)
  • [4] 報告 : TMT計画技術検討会 開催 (6/16)
  • [5] 最近の活動・報告/今後の予定

[1] 報告 : TMT IRIS 内部レビュー会議 (2009/06/01)

6/1(月)に、TMTの第一期観測装置IRISの内部レビューがパサデナのTMTオフィスにて開催されました。日本からは、臼田・鈴木(国立天文台)がTV会議で参加しました。IRIS観測装置グループメンバーの他に、TMTプロジェクト側から、D.Crampton、L.Simard、J. Nelson、B.Ellerbroekらが参加しました。以下、概要について報告いたします。

  1. 1)全般的に、IRISの検討状況は手堅くかつ順調という意見です。12月の概念設計レビュー会議(CoDR)に向けて、引き続き検討をおこないます。現段階の仕様や検討状況などについては以下のURLをご覧ください
    http://www.astro.ucla.edu/~irlab/iris/
  2. 2)主な事項
    (i) 日本が担当している撮像系については概念設計としては、別途検討中のADC以外はほぼ完了しました。
    (ii) ADCについては200以上の材料で検討し、性能を満足する組み合わせはできましたが、実際の製作まで数年あるため入手性の不確定性が問題になっています。
    (iii) IFUモードについては光学設計について非球面も考慮に入れた詳細設計が次の段階になります。イメージスライサーとレンズアレイについてはそれぞれプロトタイプでの試験が行われています。
  3. 3)IRIS開発のスケジュール案
    2009/12  概念設計完了
    2009/12~2011/08 PDP (Preliminary Design Phase)
    2011/09~2013/07 DDP (Detail Design Phase)
    2013/08~2015/12 製作
    2015/01~2015/06 試験
    2015/06~2017/10 組立・調整
    2017/10~2018/08 AIV (Assembly, Integration, Verification)
    2018/08~2018/11 コミッショニング
    注)AIVはTMT観測所主体。それ以前の組立・調整などは装置グループ主体。

[2] 報告 : TMT 観測装置グループ会議 (2009/06/02)

6/2(火)に、TMTの観測装置グループ会議がパサデナのTMTオフィスにて開催されました。日本からは、臼田(国立天文台)がTV会議で参加しました。
以下、概要について報告いたします。

  1. (1)この会議は、4月30日からおこなわれたGCAR(GSMT community assessment review:News Letter No.10 [3]参照)の発表内容と結果を観測装置グループに説明すると共に、現状の観測装置の検討状況を確認する会議です。
  2. (2)主な参加者(総勢40名程度)
    TMTプロジェクト側:G.Angeli、D.Crampton、P.Grey、M.Schoeck、
    G.Sanders、L.Stepp、K.Szeto
    TMT AO:C.Boyer、J.Dunn、B.Ellerbroek、G.Herriot、J.Rogers
    TMT IRMS:C.Steidel
    TMT IRIS:B.Barton、J.Larkin、D.Loop、T.Usuda
    TMT WFOS/MOBIE:R.Bernstein、B.Bigelow
  3. (3)議題
    08:00~08:30 プロジェクト進捗報告(G.Sanders)
    08:30~09:00 望遠鏡(L.Stepp)
    09:30~10:30 システムエンジニアリング(G.Angeli)
    11:00~12:30 AO / NFIRAOS / NSCU(B.Ellerbroek、G.Herriot、Moon)
    現状の主な開発要素の要求性能
    • ナトリウムレーザー:25W、カップリング効率:130 photon-m2/s/W/atom
    • DM:63x63 & 76x76アクチュエータ、10um stroke、5%ヒステリシス @-30C ← ESOのSPHERE用の41x41DMをアップグレード
    • T/T:500 u-rad stroke w/ 0.05 u-rad noise、20Hz Bandwidth
    • NGS WFS:240x240、80% QE、Readout noise~1e @10-800Hz
    • LGS WFS:60x60、90% QE、Readout noise~3e @800Hz
    • 低次赤外NGS WFS:1024x1024、60% QE、Readout noise~5e @10-800Hz
    • リアルタイム制御:35k x 7k 波面制御@800 Hz、最大遅延は1msec、ゴールは0.4msec

    13:00~13:30 IRIS(J.Larkin)
    13:30~14:00 OIWFS(D.Loop)
    OIWFS=On the Instrument Wave Front Sensor
    • HIA、Caltechで開発。現在はIRIS用を設計。12月にIRISと一緒にレビュー。
    • 3本のアームから構成され、その内2つがT/T用。残り1つがT/T/ & focus用。近赤外WFS (1~1.7um) w/ Hawaii 1RG
    • T/T: 4.3mas/pix、T/T/F: 8.6mas/pix

    14:00~14:30 WFOS/MOBIE(R.Bernstein、B.Bigelow)
    現状の主な仕様値:
    • 視野9.6x4.2分角、波長分解能1000~7500
    • 波長範囲310~600nm(青)、500~1000(赤)
    • コリメータ:1m x 1.5m、瞳径300mm($1~2M)
    • 検出器2x5モザイクCCD
    • 総重量20トン、電力2.6kW、排熱量1.2kW

    2つの設計仕様値(ゴール):
    • 波長分解能1000~5000で~100天体を同時分光
    • 波長分解能8000~20000で~10天体を同時分光

    開発スケジュール案
    • 2009/06~2010/06 概念設計ステージ1
    • 2009/07~2011/06 概念設計ステージ2
    • 2011/05      概念設計レビュー会議

    14:30~15:00 IRMS/MOSFIRE(D.Crampton、Adkins、Mobasher)
    サイエンスチーム:
    Bahram Mobasher (UCR)、Lee Armus、Peter Capak (IPAC/Caltech)
    Mark Dickinson (NOAO)、George Djorgovski (Caltech)
    James Dunlop (Univ. of Edinburgh)、Alice Sharpley (UCLA)
    • サイエンスケースのドラフトを2009年11月にまとめる
    • MOSFIREは2010年にコミッショニング予定

    15:00~15:30 ソフトウェア、観測ワークフロー(Boyer)
    16:00~    CAD standard、議論など

[3] 報告 : 第2回TMT装置検討会 開催 (2009/06/10)

日本独自のTMT第2期観測装置を提案すべく、第2回TMT装置検討会が 6/10(水)に開かれました。約20名の参加者があり、4件の装置提案が順次 プレゼンテーションを行いました。第1回に比べてサイエンス/装置設計 ともに検討の進展が見られました。また、各グループともメンバーの 増員、海外のグループとのコラボレーション、と検討組織を増強し、 概念設計に向けて着実に準備が進められています。4人の評価委員による 詳細コメントは後日、各提案にフィードバックされました。これらを参考に しつつ、さらに詳細な装置検討に入ります。第3回は2009年12月上旬頃 の開催を予定しております。

装置検討会 web page

[4] 報告 : TMT計画技術検討会 開催 (2009/06/16)

6/16(火)、国立天文台・三鷹にて「次世代超大型望遠鏡 TMT計画技術検討会」を開催致しました。TMT実現の上で解決しなければならない様々な技術的な課題について、産学広い分野からの参加者を交えた講演・議論を通じて、現状把握を行い、解決への道筋を見出すことが目的です。
前半は、国立天文台ELT室および各大学グループから、TMT計画の現状と日本グループの関わりについて、望遠鏡製作・装置開発を中心とした技術的な視点での報告がなされました。後半は、企業や研究機関による関連技術の報告・紹介がありました。
TV会議参加を含めて、70名を越える参加者がありました。

集録資料を、パスワード制限を設けたweb page上に配置し、参加者やこのメーリングリストの配信先でもある ELT計画推進ワーキンググループのメンバー等に限って公開します。6月下旬にパスワード等の通知を行う予定です。しばしお待ちください。
研究会プログラム・写真・集録ページ(準備中)など

[5] 最近の活動・報告/今後の予定

(*)印は、本News Letterで報告した項目

(最近の活動・報告)
(過去の活動・報告はwebページをご覧ください)
4/27-28 TMT Board会議 (@Pasadena) 家・高見参加
4/30-5/2  GSMT Community Assessment Review(GCAR) (@Pasadena)
6/1(月)(*) TMT IRIS 内部レビュー会議 (@Pasadena) 臼田・鈴木参加(TV)
6/2(火)(*) TMT 観測装置グループ会議 (@Pasadena) 臼田参加(TV)
6/10(水)(*) 第2回TMT装置検討会 (@三鷹)
6/16(火)(*) 次世代超大型望遠鏡 TMT計画技術検討会 (@三鷹)

(今後の予定)
7/20- 21 TMT Board会議 (@Pasadena) TMT 建設サイト(第一候補地)正式決定
マウナケア(ハワイ) または アルマソネス(チリ)
8/20-21 TMT SAC (@Pasadena)
9/14-16 日本天文学会2009年秋季年会 @山口大 TMT関連講演を複数予定
10/27-28 光赤天連シンポジウム「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」(@三鷹)
12月 IRIS Conceptual Design Review (@Pasadena)
12中旬 第3回TMT装置検討会 (@三鷹)

No.102009年5月18日(旧Jelt News Letter)

  • [1] 概況 : TMTをめぐる最近の情勢
  • [2] 報告 : TMT Board会議
  • [3] 報告 : GSMT community assessment review
  • [4] お知らせ : 第2回TMT装置検討会(06/10)開催
  • [5] お知らせ : TMT第一期観測装置IRIS:観測モード追加の可能性
  • [6] 報告 : 「ELTプロジェクト室」開設
  • [7] 最近の活動・報告
  • [8] 今後の予定

[1] 概況 : TMTをめぐる最近の情勢

TMT推進グループの現在の正式メンバーは、カルテク、カリフォルニア大、カナダ天文学大学連合の3者です。国立天文台(日本)は、正式参加を目指すLetter of Intentを結び、TMT側と積極的な情報交換・共同開発を進めている段階です。また、それ以外の国やグループの参加も検討され始めています。TMT計画全体の目標日程は、従来と変わらず、2011年秋に建設開始、2018年秋にファーストライト、となっています。

この4月には、TMTの2つの重要な会議、「TMT SAC」および「TMT Board会議」が、パサデナのTMT本部で開かれました。Board会議の報告によると、7月に予定されている TMT建設サイトの決定(ハワイまたはチリ)に向けた準備が着々と進んでいます。

また、4月末~5月初めにかけて開催された 「GSMT community assessment review」 において、米国の2大超大型分割鏡望遠鏡(GSMT)計画であるTMTとGMTの進捗・予算見込みの現状について、NSF(全米科学財団)による評価が行われました。NSFが、今後の天文学研究プロジェクトに向けた資金提供を判断する上で、来年策定される予定の米国の10年間天文学研究計画 「Astro2010: The Astronomy and Astrophysics Decadal Survey」 と並んで、重要な判断材料となります。

国立天文台ELTプロジェクト室を中心とする日本のTMT参画グループでは、おもにTMTのセグメント鏡製作を日本が担うことを目指し、今年度、セグメント鏡加工・測定の基礎開発・実証実験を本格的に開始します。また、来年度の活動の大幅な拡大をめざし、2010年度予算獲得の手続きを進めています。

[2] 報告 : TMT Board会議

4/27-28に、TMT Board会議が開催され、ELT室から、家、高見がオブザーバーとして参加しました。

2009年4月27-28日(Openセッション、Executiveセッションの一部)
パサデナTMTオフィスにて
参加者、
TMTボードメンバー:
S. Kulkarni, E. Stone, A. Lange, R. Ellis, T. Soifer (Caltech),
M. Bolte (UCSC), H. Yang(UCSB, Chancellor)、S. Olsen (UCLA)
R. Carlberg (Canada, U. Tronto), G. Fahlman (Canada, HIA D.G.)、
R. Racine (Canada)
プロジェクト側:
J. Nelson (Project Scientist, UCSC), G. Sanders (Project Manager)、
S. Dawson(ハワイ対応)、G. Illingworth(SAC報告、Caltech)
オブザーバーなど:
家正則、高見英樹、(NAOJ), J.L. Chameau(Caltech学長)、J. Omura
(Moore Foundation)

1、Project Manager報告(Sanders)
  1. 1)GSMT community assessment reviewが開催される。 NSFがTMT(4/30-5/2)とGMT(4/26-27)の進捗状況をチェックする。PDRができるレベルかどうかの判断。これまでの米国の計画が当初の予算見積もりから大幅に経費が増えてしまっているので、新しい計画については慎重にチェックするのが目的。
  • 2)マウナケアのドーム
    • ドームの正確な場所、表面処理が決まる。
  • 3)主鏡研磨など
    • 新しいマシンでフルサイズの鏡材を試験研磨中
  • 4)定常観測体制(フルタイム換算)
    • 人員についての見積もりが示された。総計140名程度。
    • Gemini、Keckを参考に年間経費の見積もりが示された。
  • 5)次回のボード会議でサイト決定がなされる予定であるのでその報告の手続きを確かめた
  • 2、日本の進捗報告(家)
    1. 1)予算申請状況として、2010年度概算要求案などを報告した。
    2. 2)主鏡製作については、国内メーカーとのMRFなどの開発研究、SSDの調査、海外メーカーとの協力の可能性などについて報告。
    3、ハワイサイト
    1. 1)マウナケア山総合管理計画(CMP)が州政府によって4月9日に承認された。これに基づいて、今後TMT計画が山頂利用の申請を出すことができるようになった。
    2. 2)TMTは環境影響調査書の準備中(5月提出)
    4、ストラテジーグループ(Ellis)
    1. 1)中国の参加の可能性が高くなった。これまで大型望遠鏡のない中国などのTMT観測開始までの8m級望遠鏡へのアクセスが話題となる。
    5、SAC報告(Illingworth)
    1. 1)Decadal Survey
      米国NSFが2010年に今後10年の重要科学テーマを決める。それに基づいて予算をつけることになる。2000年のDecadal SurveyではGSMTがLSSTよりも上位であったが、2010年はどうか?
    6、カナダからの提案
    1. 1)カナダ政府から景気浮揚策としてTMTへ予算をつける可能性が出てきている。
    7、運用モデル
    1. 1)TMTは研究機関というよりは、Keckのような運用機関をモデルと考えている。
    2. 2)装置開発については、GTをどうするかについての議論があり。

    TMTの技術責任者などと主鏡セグメント製作に関しての議論

    1. 1)6角切り落としによる変形
      これは内部応力の開放が原因であるが、これによる変形は支持機構(ワーピングハーネス)では補正できないレベルであるので、IBFによる整形が必要。
    2. 2)subsurface damage測定方法、どこまで除去すべきかなどについての意見交換。現在は、光学技術者の経験から判断している。
    3. 3)製作のプロセスとして、○非球面化-精密研磨-6角切り落とし-IBF研磨 =>完成
      ○非球面化-6角切り落とし-精密研磨-(IBF研磨) =>完成
      などの得失について議論

    [3] 報告 : GSMT community assessment review

    目的:
    このレビューはNSFがGSMT(Giant Magellan TelescopeとTMT)について計画の進捗、予算の妥当性などをチェックするために開いたものである。NSFはDecadal Survery (Astro2010)の結果を受けて2011年にどの計画に予算を割り当てるかを決めるが、そのための1つの材料になる。今までの米国の計画は当初予算見積もりに対して実際にかかる経費がはるかに大きくなってしまっていることが多いため、次の計画についてはそのようなことを避ける目的がある。

    日程など:
    TMTについては、2009年4月30-5/2日までパサデナのWestinホテルで開催。レビュワーは10名程度、参加者(プロジェクト側)は40名程度。NAOJ ELT室から、高見が参加。

    内容:
    TMTプロジェクトが、計画の全容(望遠鏡、AO、サイト、観測装置、ソフトウェア、マネージメント、運用、経費など)の説明がなされた。日本の貢献案として、SACにおける臼田さんのスライド資料をもとにした説明があった(寄与25%、第二期装置、第一期装置も、など)。望遠鏡、装置等の説明以外で興味深いと感じたところは以下の通り。

    1. 1)予算におけるContingencyの考え方についての説明があり、日本の予算執行の方法と比較して大変参考になった。TMT計画では予算のContingencyは29.9%であるが、これまでのさまざまの大計画のContingency(平均25%くらい)と比較。個々のサブシステムごとにContingencyを評価してそれを積み上げ。Fixed Price契約でもある程度のContingencyは見込む。どのプロジェクトも最終的にはContingencyを概ね使い切っている。
    2. 2)データーアーカイブについてはまだ具体的な検討はない。初期にはミニマムの可能性もある。ただパートナーはそれぞれアーカイブの経験があるので、それらのノウハウをもとに作ることを考えている。
    3. 3)Time Allocation Committee
      それぞれのパートナーがTACを持ち、それを調整するというのがベースである。
    4. 4)観測モード
      クラシカルキュー(PIが行う)とサービスキュー(SSが行う)との組み合わせ。

    結果:
    レビューの公式結果はまだであるが、レビュワーによる評価はきわめて高い。

    [4] お知らせ : 第2回TMT装置検討会(06/10)開催

    国立天文台ELT準備室では日本のTMT計画への参加をめざしています。その一貫として日本独自の観測装置の検討を開始し、現在4つの具体的な計画が提案されています。検討を重ね、より現実的な概念設計書を策定することを目標にしています。

    この度、「第2回TMT装置検討会」を開催し、各装置提案グループの検討経過について報告し、外部評価委員を交えて議論する機会を設けることとなりました。どなたでも参加可能です。関心をお持ちの方はぜひご参加ください。

    # なお、10月27-28日に光天連シンポ「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」(@三鷹)を開催いたしますので、こちらもご予定に入れておいてください。

    「第2回TMT装置検討会」
    ■ 日時: 06月10日(水) (JST) 9:30-17:00
    ■ 場所: 国立天文台三鷹解析研究棟 2Fすばる会議室 TV会議システム IP: 133.40.2.250 Skypeid: 未定
    ※Skype・TV会議接続(max5局)される方は一応事前にELT室までご連絡ください。
    ■プログラム(案):
    09:30-10:50 可視高分散分光器(青木)
    10:50-12:10 広視野近赤分光装置(秋山+高見)
    12:10-13:10 昼食
    13:10-14:30 近赤高分散分光器(小林)
    14:30-15:50 中間赤外撮像分光装置(岡本)
    15:50-16:05 全体議論、次回検討会開催時期決定
    16:05-16:15 休憩
    16:15-17:15 評価委員議論(closed session)
    ■評価委員: 岩室、臼田、児玉、高遠
    ■世話人: 柏川
    検討会詳細 : http://jelt.mtk.nao.ac.jp/tmtinst/中、「第2回TMT装置検討会/開催のお知らせ」

    [5] お知らせ : TMT第一期観測装置IRIS:観測モード追加の可能性

    TMTの第一期観測装置IRISの撮像カメラの設計に日本チーム(鈴木・小西・臼田)が参加しています。現在の設計ではフィルターなどを入れる箇所に未だスペースがあるため、他に観測モードを追加できる可能性を検討したいと思います。
    未だTMTやIRISチーム内では議論をしていないのですが、日本側で、このような追加モードについて、サイエンスとして興味があるかどうか?を知りたいと思います。

    とりあえず観測装置にあまりインパクトを与えない方向で考えられる案としては

    1. 1) コロナグラフ:但し、HiCIAO/ExAOやGPIに比べるとAOの性能により、コントラストでは負ける可能性があります。ただ集光力と回折限界は8mを凌ぎます。
    2. 2) 差分撮像:但し、IFUモードがあるので低分散IFUの方が良いかも知れません。
    3. 3) プリズム/グリズム分光(多分スリットレス):視野が16"x16"程度しかありませんので、サイエンスとして有効か?
    4. 4) F変換して、視野拡大:但し、IRMSと重複する可能性があります
    5. 5) ファブリ・ペロモード

    などです。偏光モードは日本の得意とする分野なのですが、考慮の対象が撮像カメラだけで閉じませんので、とりあえず現段階では除きます。将来の課題として考えてはいます。

    興味のある方は、お気軽に臼田または鈴木までご連絡ください。

    [6] 報告 : 「ELTプロジェクト室」開設

    2009年4月より、国立天文台三鷹キャンパス解析研究棟内に、ELTプロジェクト専用の研究室、「ELTプロジェクト室」が開設されました。 プロジェクト内の会議をはじめとする様々な活動の拠点として活用して参ります。また、ELTプロジェクトメンバー2名が常駐しております。 ご用がありました際には、お気軽にお立ち寄り下さい。
    部屋の様子

    [7] 最近の活動・報告

    (*)印は、本News Letterで報告した項目
    4月~ (*) ELTプロジェクト専用研究室開設
    4/7 TMT SAC会議(@Pasadena) 臼田・柏川参加
    4/8 TMT IRIS Technical Meeting 臼田・鈴木(竜)参加
    4/9 マウナケア総合管理計画(CMP)承認
    4/27-28(*) TMT Board会議 (@Pasadena) 家・高見参加
    4/30-5/2(*) GSMT Community Assessment Review(GCAR) (@Pasadena) 高見参加

    [8] 今後の予定

    6/1(月) IRIS Interim Review (IRISの内部レビュー)
    6/10(水) 第2回TMT装置検討会 (@三鷹)
    6月中-下旬 TMT技術検討会 (@三鷹)
    7/16-17 TMT SAC (@Pasadena) (仮予定)
    7/20- 21 TMT Board会議 (@Pasadena)
    TMT 建設サイト(第一候補地)正式決定
    マウナケア(ハワイ) または アルマソネス(チリ)
    9/14-16 日本天文学会2009年秋季年会 @山口大
    10/27-28 光赤天連シンポジウム 「30m地上超大型望遠鏡TMTによる天文学の新展開」(@三鷹)
    11/16-17 IRIS Conceptual Design Review (@Pasadena)

    No.92009年4月21日(旧Jelt News Letter)

    • [1] 報告: TMT Science Advisory Committee (SAC)
    • [2] 報告 : TMT IRIS Technical Meeting
    • [3] 報告 : マウナケア総合管理計画(CMP) の承認
    • [4] お知らせ : 「2010年代の光赤外天文学」残部お分けします
    • [5] 最近の活動・報告
    • [6] 今後の予定

    [1] 報告 : TMT Science Advisory Committee (SAC) 2009.04.07

    4/7(火)に、TMTのScience Advisory Committee (SAC)(*1)がパサデナのTMTオフィスにて開催されました。日本からは、臼田・柏川(国立天文台ELT室)が参加しました。以下、概要について報告いたします。

    1. 1)SACのchairがChuck Steidel (Caltech)からGarth Illingworth (UCSC)に代わりました。
    2. 2)4/30~5/2に行われるGSMT Community Assessment Review (GCAR)が行われます。これに向けて、サイエンス、装置、オペレーション、コストなどについて検討が進められています。
    3. 3)主鏡に関して、アクチュエータとエッジセンサーについてはほぼ性能を満たしました。現在姿勢差による変化などを実験中です。一方、研磨については未解決の問題が多々あり工程が遅れています。
    4. 4)TMT観測所について、人員体制、コスト、観測モード、データアーカイブ、TACなどについて、必要な人数・予算などについて検討が開始されています。
    5. 5)日本の現状について、目標・主鏡・観測装置について臼田が、サイエンスについて柏川が報告しました。今後もSACで進捗報告をおこなう予定です。

    (*1) ユーザーの立場からTMTの望遠鏡や装置、サイエンスについて議論する会議。3ヶ月毎に開催。日本からは、臼田、柏川がオブザーバー参加している。

    [2] 報告 : TMT IRIS Technical Meeting 2009.04.08

    4/7(火)に、TMT第一期観測装置 IRISのTechnical MeetingがパサデナのTMTオフィスにて開催されました。日本からは、臼田・鈴木(国立天文台ハワイ)が参加しました。以下、概要について報告いたします。

    1. 1)現状の仕様に向けた設計・検討が進められています。日本チーム(鈴木・小西・臼田)が担当している撮像系については光学設計に合わせた機械設計の検討がUCLAのエンジニアにより開始されました。
    2. 2)ADCは必須なため、素材の検討が進められています。244種類のガラスの組み合わせを検討中です。
    3. 3)サイエンスについての検討も進められています。サイエンスチームには日本からは菅井・後藤・柏川さんが参加しています。TMTでのサイエンスのシミュレーションの一例として、UCLAのAndrea Ghezのグループによる銀河中心の星の固有 運動が紹介されました
      http://www.astro.ucla.edu/~ghezgroup/gc/pictures/Future_GCorbits.shtml
    4. 4)分光装置については、5つのグレーティング(z,Y,J,H,Kバンド)とカメラ(TMA)を共通で、スライサーモードとレンズアレイモードを切り替えて使う設計が進められいます。
    5. 5)OIWFS (On the Instrument Wave Front Sensor)は3つのピックアップアームを持ち、2つがT/T、1つが焦点調整用に使われます。その光学設計と機械設計の進捗がありました。
    6. 6)IRISだけでなく、WFOSについても更なる日本の貢献が期待されています。興味のある方は、お気軽に臼田または柏川までご連絡ください。

    [3] 報告 : マウナケア総合管理計画 (Comprehensive Management Plan)の承認 2009.04.09

    ハワイ大学が準備をすすめてきた「マウナケア総合管理計画 (Comprehensive Management Plan:CMP)」が、2009年4月9日にハワイ州土地天然資源局評議委員会により承認されました。
    マウナケア山は天文学の最適地であることは有名ですが、ハワイの人々にとっては聖なる山であり、固有の文化的資源、珍しい生物を有する貴重な場所です。
    CMPはこのマウナケア山の文化・自然環境を適切に保護するための 基本方針です。ここ数年間マウナケア山頂での新たな施設建設は、このような文化・自然環境保護を含めた包括的な基本方針ができるま では行わないということになっておりました。
    これまでCMPについてはさまざまな機会で地元の人々などの意見を聞く公開集会を開いてきましたが、4月8日、9日の2日間にわたって行われたハワイ州土地天然資源局による公開ヒアリングを経て最終的に承認されました。
    今後は、TMT計画もこの基本方針に基づき承認を得て進めることになります。

    マウナケア総合管理計画(Comprehensive Management Plan)の承認

    [4] お知らせ : 「2010年代の光赤外天文学」残部お分けします

    「2010年代の光赤外天文学 - 光赤外天文学将来計画検討報告書 -」は、光赤外線天文学連絡会(gopira)の下に発足した「光赤外天文学将来検討委員会」が、 すばる望遠鏡、ASTRO-F以降の次世代の光赤外天文学の将来計画について、 2年間にわたる検討を経て、2005年3月にとりまとめた報告書です。
    2005年以降、関心を持つ研究者の皆様にお配りいたしましたが、 残部にまだ若干の余裕があります。ご希望の方にはお分けすることができます。 担当者にご連絡ください。

    残部送付に関する連絡先
    担当 : ELTプロジェクト室 秋田谷(あきたや)
    メールアドレス : hiroshi.akitaya [at_mark] nao.ac.jp

    残部送付についての詳細・表紙写真

    [5] 最近の活動・報告

    (*)印は、本News Letterで報告した項目
    4/7(*) TMT SAC会議(@Pasadena) 臼田・柏川参加
    4/8(*) TMT IRIS Technical Meeting 臼田・鈴木(竜)参加
    4/9(*) マウナケア総合管理計画(CMP)承認

    [6] 今後の予定

    4/27-28 TMT Board会議 (@Pasadena) 家・高見参加予定
    4/30-5/2 GSMT Community Assessment Review(GCAR) (@Pasadena) 高見参加予定
    6/1 IRIS Interim Review(IRISの内部レビュー)
    7月 TMT 建設サイト正式決定 マウナケア(ハワイ) または アルマソネス(チリ)
    11/16-17 IRIS Conceptual Design Review

    No.82009年4月10日(旧Jelt News Letter)

    • [1] 報告: 国際研究会 ALMA and ELTs: A Deeper, Finer View of the Universe
    • [2] 報告 : 天文学会2009年春季年会
    • [3] お知らせ : TMT紹介パンフレット完成
    • [4] 最近の活動
    • [5] 今後の予定

    [1] 報告: 国際研究会
    ALMA and ELTs: A Deeper, Finer View of the Universe
    2009.03.24-27

    表記の研究会がESO/Garchingにて開催されました。ALMA/ELTs含めて130名 程度の参加があり、日本からは5名が参加、TMTからは柏川が参加しました。
    以下、概要について報告いたします。

    1. 1)ALMA/ELTsのScientific synergyについて太陽系から初期宇宙に至るまで、数本のreviewと数十本のshort talksがあり、さまざまなトピックスについてその可能性が議論されました。
    2. 2)特に系内分野において星形成のphase(初期をALMA,後期をELT)や、PP diskの化学構造(内側をELT,外側をALMA)について強いsynergyの可能性があることが指摘されました。
    3. 3) このような議論も含めてE-ELTでは装置ラインアップを決定しようとしています。
    4. 4)ALMAだけでなく、JWST/SKA/ELT間とのsynergyも検討されています。
    5. 5)その意味で、日本国内でもTMTとSubaru/ALMA/SPICAをはじめ、近未来のプロジェクト間で日本独自のどのようなsynergyを生み出すことができるか、より議論を深める必要があります。

    研究会ホームページ

    [2] 報告 : 天文学会2009年春季年会 (@大阪府立大) 2009.03.24-27

    天文学会年会において、TMT計画への参画状況について報告しました。「日本のELT計画:TMT計画への参画状況」(ELT室・高見他; V69a; 口頭)

    また、超広視野AO多天体分光器の提案・検討状況についても報告がありました。 「30m望遠鏡による銀河形成の研究のための超広視野AO多天体分光器の提案」(東北大・秋山他; X10b; 口頭およびポスター)

    秋山氏の発表については、以下で詳細を閲覧できます。
    超広視野AO多天体分光器の提案/詳細

    [3] お知らせ : TMT紹介パンフレット完成

    TMTを紹介する日本語版パンフレットが完成しました。TMTの特徴や、TMTで期待される科学的成果について紹介しています。

    研究会の会場などで配布を開始しております。また、研究・教育機関でご活用いただける場合には、こちらから必要数をお送りし、お分けすることもできます。

    ご希望の方は、以下担当者までE-mailでご相談ください。

    パンフレット入手に関する連絡先
    担当 : ELTプロジェクト室 秋田谷(あきたや)
    メールアドレス : hiroshi.akitaya [at_mark] nao.ac.jp
    パンフレット写真・詳細

    [4] 最近の活動 (前回ニュースレター以降)

    (*)印は、本News Letterで報告した項目
    3/24-27(*) 天文学会2009年春季年会 (@大阪府立大) 高見・秋山発表
    3/24-27(*) 国際研究会 ALMA and ELTs: A Deeper, Finer View of the Universe (@Garching) 柏川参加
    4/7 TMT SAC会議(@Pasadena) 臼田・柏川参加

    [5] 今後の予定

    4/27-28 TMT Board会議 (@Pasadena) 家・高見参加予定
    4/30 GSMT Community Assessment Review (@Pasadena) 臼田他参加予定
    7月 TMT 建設サイト正式決定 マウナケア(ハワイ) または アルマソネス(チリ)

    No.72009年1月19日(旧Jelt News Letter)

    • [1] 報告 : TMT SAC (1/9)
    • [2] 報告 : TMT Board会議 (1/13)
    • [3] お知らせ : ML・ELT室webサーバー一時停止 (1/30-2/2)
    • [4] 最近の活動
    • [5] 今後の予定

    [1] 報告 : TMT Science Advisory Committee (SAC) 2009.01.09

    1/9(金)に、TMTのScience Advisory Committee (SAC)がパサデナのTMTオフィスにて開催されました。日本からは、臼田・柏川(国立天文台ELT室)が参加しました。また今回は前半はIRIS science meetingとの共同開催で、これには日本から菅井(京都)後藤(MPG)両氏が参加しました。以下、概要について報告いたします。

    1. 1)4月末にAstro 2010 Decade Reviewが行われます。これに向けてJWST/GMTにないTMTのユニークネスに関する記述を十分に盛り込んだWhite paper作成が急ピッチで進められています。今回のSACではこのための認識の確認と実作業の分担について、かなり慎重な議論がなされました。White paper作成にあたっては、IRISサイエンスチームの菅井・後藤両氏を中心に、日本の研究者の参加も考えています。Decadal Surveyについては:
      http://www7.nationalacademies.org/bpa/caa.html
    2. 2)TMT第一期観測装置IRIS・MOBIE(旧WFOS)についてのステータスレポートが行われました。両者についてScienceケース・装置設計について着実な進展が伺えました。また、初期AO装置NFIRAOSについても着実な進展状況が報告されました。
    3. 3)研究者・メディアに向けた広報・教育活動も活発に行われています。TMTのエッセンスを平易に記述したパンフレットができました。日本語版も作成予定ですので近日中に配布いたします。
    4. 4)Operation modeについての再検討がなされようとしています。classical visiting modeに加えてservice mode, queue modeが必要かどうか、Head quarterをどこに置くか、データセンター、データアーカイブは必要か、データ解析ツールはどのようなものが望ましいか、などについて熱い議論がなされました。今後SACで引き続き議論されることになります。 

    [2] 報告 : TMT Board会議 2009.01.13

    2009年1月13日 8:30-17:20(Openセッション、Excectiveセッションの一部)
    パサデナTMTオフィスにて

    参加者、
    TMTボードメンバー:
    S. Kulkarni, E. Stone(Caltech), R. Ellis (Oxford),
    M. Bolte (UCSC), H. Yang(UCSB, Chancellor)、
    T. Soifer (Caltech)、他1名 R. Carlberg (Canada, U. Tronto),
    G. Fahlman (Canada, HIA D.G.)、
    プロジェクト側:
    J. Nelson (Project Scientist, UCSC), G. Sanders (Project Manager)、
    S. Dawson(ハワイ対応、電話会議)、C. Steidel(SAC報告、Caltech)
    オブザーバー:
    家正則、高見英樹、山下卓也(NAOJ), J. Omura (Moore Foundation)

    1、Project Manager報告(Sanders)
    1. 1)開発の進捗
      • 山頂施設
        チリ、ハワイ両サイトに対して山頂施設の概念設計を行っている。
      • ドーム
        チリ、ハワイ両サイトのための検討を行っている。高地、強風下でのクレーン設置が運用が問題となる。
      • 望遠鏡光学系
        実物大のオハラ製鏡材を試験研磨中である。
      • 観測装置(第一期装置)
        IRS(UCLA、Caltech、HIA,、NAOJなど)の検討のレビューが11月5日に行われた。WFOS(UCSC)のフィージビリティレビュー12月12日に行われた。IRMSは目立った進展なし。
    2. 2) スケジュール、予算など
      工期短縮を図って2018/9/30をファーストライトの目標とした予算モデルが議論された。研磨装置、鋼材等の購入のため初期2013年ころに大きな予算が必要となる。
    3. 3) サイト取得(チリ)
      チリは基本的に合意がなされているが、現地への利益供与についての交渉の報告かなされた。
    4. 4) 今後のパートナーシップ
      国立天文台はTMTハワイへの参加に関するMOUにサインをした。中国は重要人物が米国天文学会ために訪米し、GMT、TMTとの会合を持った。TMTについては真剣に検討している。
    2、ハワイサイト取得

    サイト決定に必要なプロセス(山頂総合利用計画、環境影響調査報告)とスケジュールの見通しについての議論があった。2009年7月のボード会議で第一候補決定の見通し。

    3、米国コミュニティーのTMTへのアクセス

    NSFの寄与の決定については米国天文将来計画のDecadal Surveyの結果を反映する。2013年以降に予算化開始の見通し。

    (*1)TMT Board = SAC、EAP(外部評価会議)などでの議論、プロジェクト室の報告などを受けて、計画全体の方針を決定する組織。

    [3] お知らせ : ML・ELT室webサーバー一時停止 (1/30-2/2)

    以下の期間、このメーリングリスト(jeltwg@jelt...)及び、ELT室webサーバーの運用を一時停止いたします。
    運用停止期間 : 1/30(金)18時頃~2/2(月)9時頃
    1/31(土)に予定されている、国立天文台三鷹キャンパスの停電に伴う措置です。

    [4] 最近の活動

    (*)印は、本News Letterで報告した項目
    1/9(*) TMT SAC 会議 (@Pasadena)
    (*) IRISサイエンスミーティング (@Pasadena)
    1/13(*) TMT Board 会議 (@Pasadena)

    [5] 今後の予定

    3/24-27 天文学会2009年春季年会 (@大阪府立大) 「日本のELT計画:TMT計画への参画状況」(ELT室・高見)発表予定
    4月上旬 TMT SAC (@Pasadena)
    4月下旬 TMT Board会議 (@Pasadena)
    6月 TMT 建設サイト正式決定 マウナケア(ハワイ) または アルマソネス(チリ)

    No.62008年12月20日(旧Jelt News Letter)

    • [1] 報告 : 第1回TMT装置検討会(11/20)開催
    • [2] 報告 : TMT-国立天文台間合意書締結
    • [3] 最近の活動
    • [4] 今後の予定

    [1] 報告 : 第1回TMT装置検討会(11/20)開催

    日本独自のTMT第2期観測装置を提案すべく、第1回TMT装置検討会が11/20に開かれました。内外から約30名の参加者があり、4件の装置提案が順次プレゼンテーションを行いました。まだ第一回ということもあり、どの提案も荒削りではありましたが、これまで以上に突っ込んだ議論をすることができました。4人の評価委員による詳細コメントは後日、各提案にフィードバックされました。これらを参考にしつつ、より具体的な装置提案を目指します。第2回は2009年5-6月頃の開催を予定しております。
    http://jelt.mtk.nao.ac.jp/tmtinst/

    [2] 報告 : TMT-国立天文台間合意書締結

    2008年10月、TMTプロジェクトチーム(代表:TMTボード会議議長ヘンリー・ヤン)と国立天文台(代表:国立天文台長・観山正見)の間で、ハワイ・マウナケア山にTMTが建設されることを前提として、計画推進に向けて双方連携して努力する旨の合意書を交わしました。これをもって、国立天文台は、TMT計画の"Collaborator"として正式に位置づけられました。今後、国立天文台ELTプロジェクト室では、これまで以上にTMTプロジェクトチームと連携を深めた活動を進めていきます。

    [3] 最近の活動

    (*)印は、本News Letterで報告した項目
    10月(*) TMT-NAOJ合意書締結
    11/20(*) 第一回TMT装置検討会開催 (@国立天文台三鷹)
    12/12 研究会 : 30m望遠鏡での中間赤外線サイエンスの展開 (@東大本郷)TMTでの中間赤外線観測によるサイエンスの提案を集め、 中間赤外線装置について検討。

    [4] 今後の予定

    1/9 TMT SAC 会議 (@Pasadena) IRISサイエンスミーティング (@Pasadena)
    1/13-14 TMT Board 会議 (@Pasadena)
    1/14-16 すばるユーザーズミーティング (@国立天文台三鷹)