2018年

No.602018年12月25日

  • [1] 報告: TIO 評議員会 (10/29-10/30)
  • [2] 報告: TIO SAC (10/11-10/12)
  • [3] 報告: TMTサイエンスフォーラム (12/10-12/12)
  • [4] 報告: TIO SAC(12/13)
  • [5] 報告: その他
  • [6] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] 報告: TIO 評議員会 (10/29-10/30)

2018年10月29日~30日に第19回TMT国際天文台評議員会が開催されました。最大のハイライトは、懸案となっていた建設地利用許可の有効性がハワイ州最高裁により最終確認されたことでした。評議員会の2日目の昼休みに入ったこの知らせに、参加者一同は喜びを隠せませんでした。評議員会議長・新旧副議長からなるマウナケアサイトアクセス委員会が行ってきた、ハワイ州当局及びハワイ大学との工事再開に関する協議の状況が報告され、工事再開に向けた今後の見通しなどが議論されました。

また、
・米国天文学界がTMTとGMTの両者の建設を目指し、NSFの支援要請をする準備が進んでいること、
・ドーム、望遠鏡、主鏡、観測装置等の技術的検討の進展状況報告、
・天文学コミュニティとより一体化した計画推進方策の協議、
といった、報告や協議がされました。

日本からはTMT国際天文台評議員会の運営改善について、いくつか提案を出しました。

[2] 報告: TIO SAC (10/11-10/12)

TIO SAC会議がパサデナで開催されました。日本から秋山さん(東北大)、成田さん(東大/ABC)、本田さん(久留米大)が現地参加、臼田がzoomで参加しました。主な議題は以下の3点です。

(1) WFOSの設計変更
WFOSの方式については、議論の結果、分光機能の多様性や撮像機能の観点から、マルチスリットのX-Change方式を推薦することになりました。Fiber方式は多天体性や視野の観点で支持はありましたが、コストレビューを経た最終的な仕様案では、視野面積と多天体性におけるXchangeとの差は3倍程度にとどまり、分散がR=3,500となった点で支持が弱くなりました。今後、概念設計を再開することになり、役割分担等の議論も開始されます。

(2) 将来観測装置の白書(White paper)
SACメンバーによる審査が完了し、各装置グループにコメントを返すことになりました。太陽系外惑星関連の提案の評価が高かったです。主なコメントとして
・PSI(系外惑星撮像装置)とMICHI(中間赤外装置)の連携
・2つ提案のあったHROS(可視高分散分光器)グループの合流
がありました。近赤外多天体分光装置についてはどのような装置が必要か科学的な観点から検討が必要とのコメントがつきました。

(3) NSFがTMTに参加するために、2020 US decadal surveyにおいて高い評価を得る必要があります。NSFへ提出するプロポーザルでは、北半球のTMTと南半球のGMTを組み合わせた、キーサイエンスプログラムを定義し、それを実施することを柱とします。現在、キーサイエンスプログラムの構築は進みつつあり、大項目内容の設定から具体的なプログラムの議論に移りつつあります。NSF関連では、ELTsとngVLAとの連携の科学検討の話も出ています。日本でもLarge Programの検討を進めたいと考えています。

[3] 報告: TMTサイエンスフォーラム (12/10-12/12)

TMTサイエンスフォーラムが、12月10日(月)から12月12日(水)の3日間の日程でアメリカのパサデナで開催されました。フォーラムには全体で約160人の参加があり、日本からはおよそ20人(うちTMT推進室から5人)が参加しました。前の週に開催された若手向けワークショップ(TMT Early Career Initiative)から引き続いて大学院生の参加が多数あったのが特徴です。

初日と2日目午前は全体会が行われ、TMTプロジェクトの現状報告、TMT以外のプロジェクトとのシナジーの提案、各サイエンス分野でのTMTのサイエンスケースの提案などが議論されました。2日目午後と3日目午前には、サイエンス分野ごとに4つの分科会に分かれました。今回は、来年提出予定のNSFへの提案書にむけたキーサイエンス、およびそれに必要な装置や運用の検討が課題であり、これにむけて集中的な議論が行われました。

3日目午後には、再び全体会に戻り、各分科会での議論が報告されました。多くの分科会で、TACの体制についての関心が非常に高かったとのことでした。また、第二期装置への関心も強く、高分散分光器や、惑星撮像装置(PSI)、中間赤 外線観測装置(MICHI)への要望が多く聞かれました。

[4] 報告: TIO SAC(12/13)

TIO SAC会議がパサデナで開催されました。日本から秋山さん(東北大)、成田さん(東大/ABC)、本田さん(久留米大)、臼田が参加しました。主な議題は以下の2点です。

(1) 可変副鏡の概念設計審査合格を受けて、期待されるGLAOのシミュレーション結果の現状報告がありました。実装までは約10年の期間が必要なことや、コストの概算見積についても報告されました。

(2) 2019年1月に、NSFへ建設準備費の予算要求をすることになり、その申請内容についてSACで議論しました。2019年から3年間の計画で、TMTで$20MUSD、GMTで$20MUSD、NOAOで$10MUSDを合同で申請する予定です。プロポーザルに含める内容の優先順位に関する議論では、
最優先項目:
・第一期観測装置のIRISとWFOS
・鏡のコーティング(UV enhanced Silver coating);
優先項目:
・MIRAO(中間赤外補償光学):LM-bandは系外惑星の研究では重要で、また技術的なリスクも低い
・MODHIS(近赤外高分散分光器)、PSI-Red、MICHI:系外惑星の研究の要求希望は多い。また、技術的なリスクも低い (一方、PSI-Blueは波長が短いため、技術的には課題も多い);
という順位づけになりました。

[6] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

12/27 平成30年度第二回TMT科学諮問委員会
2/4-2/5 TIO評議員会
3/14-3/17 日本天文学会春季年会
3/19 平成30年度第三回TMT科学諮問委員会

No.592018年10月10日

  • [1] お知らせ: TMTサイエンスフォーラム (12/10-12/12)
  • [2] 報告: 2018年度光学赤外線天文連絡会シンポジウム (9/10-9/12)
  • [3] 報告: TIO SAC (9/13-9/14)
  • [4] 報告: TMT科学諮問委員会 (10/2)
  • [5] 報告: IRIS face-to-face progress meeting (9/10-9/11)
  • [6] お知らせ: 研究者向けウェブサイトリニューアル
  • [7] お知らせ: 三鷹・星と宇宙の日
  • [8] 報告: その他
  • [9] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] お知らせ: TMTサイエンスフォーラム (12/10-12/12)

第六回TMTサイエンスフォーラムが12月10日-12月12日にパサデナで開催されます。今年は"Breakthrough Science with the Thirty-Meter-Telescope"というテーマでTMTによって得られる革新的な科学成果について議論します。TMTの将来を形作る議論にぜひご参加ください。フォーラムの詳細と参加登録は以下のURLをご覧ください。

https://conference.ipac.caltech.edu/tmtsf2018/

早期参加登録の〆切は11月7日(PDT)となっています。

日本人研究者には、TMT推進室から旅費支援ができる可能性がありますので、興味のある方は、TMT推進室 青木和光(aoki.wako(at)nao.ac.jp ※(at)を@に変更)へご連絡ください。

[2] 報告: 2018年度光学赤外線天文連絡会シンポジウム (9/10-9/12)

9月10-12日に、国立天文台三鷹キャンパスで、「2030年代の光学赤外線天文学を考える -2018年秋-」というタイトルで光赤天連シンポが開催されました。今回は、日本学術会議が策定を開始しているマスタープラン2020への対応と、2030年代の大型計画について、光赤外天文学および周辺分野からの講演にもとづき議論を行いました。TMT推進室の臼田室長が地上計画のレビューを行い、TMT計画の状況については青木が報告しました。また、TMT第二期装置の計画について、小谷さん(国立天文台)、秋山さん(東北大)、本田さん(久留米大)が報告しました (小谷さんが報告したSEITについては、マスタープランへの意向表明書が提出されました)。

マスタープランに関しては、翌13日に学術会議天文学・宇宙物理学分科会主催のシンポジウムが開催され、提案されている計画のレビューが行われました。TMTについては今回は講演の対象になっておらず、年明けの策定にむけてあらためて検討が行われる予定です。

[3] 報告: TIO SAC (9/13-9/14)

9月13-14日にZoom会議でSAC会議が開かれました。初日は、TMT第一期観測装置の1つである WFOS(広視野可視光多天体分光撮像装置)の2つの設計案(Fiber:すばる PFSのようなファイバー方式と、Xchange:Keck KCWIのようなマルチスリット方式)について、どのように選択するかについて議論しました。各パートナーでコミュニティの意見を確認することになり、日本では10月2日に開催予定のTMT科学諮問委員会で議論することになりました(報告[4]参照)。その後、次回のSAC会議(10月11-12日)で議論を継続します。

2日目は、3月に募集した将来観測装置白書について、SAC内で行われているレビューの進捗報告がありました。8つの提案があり、そのうち7つの計画には日本人研究者が参加しています。次回のSAC会議で、今後の概念検討への進め方等について議論される予定です。また、米国のDecadal Survey 2020 (Astro2020)に向け、NOAOで進められている、TMTとGMTのキーサイエンスプログラムのジョイントプロポーザルについて進捗報告がありました。全米の228人の研究者がプロポーザルの作成に協力しています。

[4] 報告: TMT科学諮問委員会 (10/2)

10月2日にTMT推進小委員会あらためTMT科学諮問委員会が開かれました。

前回のTMT推進小委員会に引き続き、WFOSで提案をされている2つの設計案(報告[3]参照)のうち、日本のコミュニティとしてどちらを支持するかについて議論されました。Fiber方式の場合には、一度により多くの天体の観測が可能であり、同時に観測できる波長域が広いことより、観測の効率化が期待されます。その一方で、Xchange方式の場合と比較して感度や夜光差し引きの精度が低い可能性が懸念されています。またXchange方式には、比較的広視野での可視光撮像機能や低分散から高分散までの波長分解能が選択可能といった多様な仕様を持つことから、TMTの第一期装置としてはXchange方式を支持する意見が多く聞かれました。ここでの議論は、10月11-12日に行われるTIO SAC(報告[3]参照)において、日本のコミュニティの意見として報告される予定です。

[5] 報告: IRIS face-to-face progress meeting (9/10-9/11)

9月10日、11日に、TMT第一期観測装置の1つであるIRIS(近赤外線撮像分光装置:Infrared Imaging Spectrograph)の進捗確認会議がface-to-faceで開催されました。開催地はいつものパサデナ・カリフォルニアではなく、日本でした。当初は札幌で開催予定でしたが、9月6日未明の大地震のため、急遽国立天文台三鷹での開催となりました。参加者はIRIS開発チームのメンバーで、総勢15名が集まりました。

IRISは2017年10月から詳細設計フェーズに入り、約1年が経過しました。日本が担当する撮像系、アメリカが中心に担当する分光系、カナダが担当する波面センサー系、それぞれの設計の進み具合、IRIS全体の仕様とインターフェース、AIV (assembly, integration, verification) のプランなどの準備状況などを確認しました。多少の遅れや進みがあるものの、大きな問題点、リスクはないという結論を下し、次のクリティカルなアクションアイテムを再確認して、進捗確認会議は終了しました。

[6] お知らせ: 研究者向けウェブサイトリニューアル

TMT推進室ウェブサイトのうち、研究者向けのページをリニューアルして9月に公開しました。スマホ画面にも対応しています。

https://tmt.nao.ac.jp/researchers/

URLは以前のものから変更されていますのでご注意ください。TMT News Letterのバックナンバーは以下のURLからご覧になれます。

https://tmt.nao.ac.jp/researchers/news/2018.html

[7] お知らせ: 三鷹・星と宇宙の日

国立天文台三鷹キャンパスの特別公開「三鷹・星と宇宙の日」が、10月26日(金)と27日(土)に開催されます(26日は一部展示のみ)。西棟(展示室)、開発棟、すばる棟でそれぞれ、TMTの分割鏡、観測装置、サイエンスについて紹介する企画展示があります。この機会にぜひお越しください。特別公開についての詳しい案内は、国立天文台のウェブページをご覧ください。

http://www.nao.ac.jp/open-day/2018/

[8] 報告: その他

以下の報告については、TMT推進室ウェブサイトをご覧ください。

[9] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

10/11-10/12 TIO SAC
10/26-10/27 三鷹・星と宇宙の日 2018
10/29-10/30 TIO評議員会
12/2-12/9 2018 TMT Early-Career Initiative Workshop
12/10-12/12 TMT Science Forum 2018

No.582018年8月14日

  • [1] TMT建設地転貸借についてのハワイ州最高裁判決
  • [2] 報告: TMT推進小委員会 (6/19)
  • [3] 報告: 平成30年度 TMT戦略基礎開発研究経費 採択結果
  • [4] 報告: China MICHI meeting (7/16)
  • [5] 報告: TIO評議員会 (8/1-8/2)
  • [6] 報告: キラウエア被災者支援
  • [7] 報告 (その他)
  • [8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] TMT建設地転貸借についてのハワイ州最高裁判決

マウナケア山頂域の科学保護区は、ハワイ大学がハワイ州土地天然資源委員会(BLNR)から借り受けて管理を行っています。BLNRは、TMT建設地について、ハワイ大学とTMT国際天文台の間で行う転貸借を2014年に許可しました。これについて反対派が許可のプロセスに問題があったので無効とすべきと訴え、最終的な判断がハワイ州最高裁に委ねられていましたが、2018年8月8日に、BLNRによる転貸借許可に問題はなかったとする判決が最高裁から下されました。つづいて、保護地区利用許可に関する判決が最高裁で言い渡される予定です。

[2] 報告: TMT推進小委員会 (6/19)

6月19日にTMT推進小委員会が開かれました。今回は、TMT第一期観測装置の1つである WFOS(広視野可視光多天体分光撮像装置)の仕様について、サイエンス面から意見交換を行いました。宇宙論、銀河考古学、銀河進化、銀河間物質トモグラフィー研究分野をリードする国内の研究者を招いてWFOSに期待されるサイエンスケースを紹介して頂き、分光装置の方式、波長分解能や多天体性など各サイエンスケースに必要なWFOS仕様について議論しました。

今回の委員会での議論は日本の天文学コミュニティからの意見として 9月、10月のTIO SACに提出され、WFOS 仕様決定に向けてさらに議論が行われる予定です。また、今回はTMT推進小委員会としての最後の開催となり、以降はTMT科学諮問委員会として開催されることとなります。

[3] 報告: 平成30年度 TMT戦略基礎開発研究経費 採択結果

TMT観測装置の実現に向けた基礎開発を長期的戦略をもって行うために、TMT戦略基礎開発研究経費の配分が実施されています。今年度は5大学/研究機関から、総額2295万の応募がありました。TMT推進小委員会による審査の結果、5件全てが採択され、予算額2000万円が配分されました。

[4] 報告: China MICHI meeting (7/16)

第2期装置として提案中の中間赤外線装置 MICHIを用いたサイエンスを中国の研究者と議論するため、TMT/MICHI and China: A workshop on thermal-IR astronomy という研究会を、中国TMT SACメンバーの協力のもと、北京のNAOCで開催しました。PIのChris Packham氏(テキサス大学サンアントニオ校)がMICHIの検討状況を説明した後、参加者各人の研究紹介およびTMT/MICHIで可能となるサイエンスについて紹介、議論を行いました。参加者は30名程度でシニアから学生まで幅広い年齢層でした。日本からは久留米大学の本田充彦が参加しました。

中国では、現状、地上での中間赤外観測の経験は限られていますが、赤外天文衛星のアーカイブデータ等を活用した研究は行われており、TMT/MICHIを用いてそれらの研究を発展させる期待について紹介がありました。また、既存の8mクラス望遠鏡を用いた共同研究の可能性についても検討が行われました。本田の個人的な感想として、若い層を中心に海外(欧米)との研究交流が盛んにおこなわれているようで、今後の可能性を大いに感じる会合でした。 (報告:本田充彦)

TMTブログ

研究会のリンク

[5] 報告: TIO評議員会 (8/1-8/2)

8月1日、2日に第18回TMT国際天文台評議員会がパサデナのTIO本部にて開催されました。報告事項として、(1)TMT許認可に関するハワイ州最高裁の審理状況、(2)ハワイ州知事予備選挙の状況、(3)米国国家科学委員会(NSB)による2020年代の地上天文学の戦略勧告に向け、TMTとGMTが連携して科学計画白書を準備する合意に至った経緯、(4)米国国立科学財団(NSF)による大型計画の施設整備費支援決定のスケジュール見通し、(5)ラ・パルマの代替建設地の許認可手続き状況などがあり、意見交換を行いました。

日本からは常田国立天文台長が日本総代表として初参加しました。日本からの要請により、TIO評議員会運営規則案の合意、評議員会からプロジェクト統括責任者に委譲した契約執行権の一部をプロジェクト・マネジャーに再委譲する条件の確認などの協議を行い合意しました。

[6] 報告: キラウエア被災者支援

5月のキラウエア火山の噴火以降、大量の溶岩がハワイ島の南東側の海岸まで流出して多くの家が被災している状況はニュースなどでも報道されており、TMT推進室でもその状況に心を痛めております。国立天文台三鷹キャンパスとハワイ観測所の有志による支援金が7月9日までに3410ドル集まり、7月12日にヒロのイミロア天文学センターにて地元選出のハワイ州上院議員に手渡しました。ハワイ観測所の嘉数悠子さんほかのご尽力をいただき、この資金を早速活用して翌7月13日に、溶岩流による被災を受けたPahoa地区の子供達と保護者をバスでイミロア天文学センターに招待しました。野外活動ができず避難生活を送っている夏休み中の子供達に一日楽しい機会となるよう、「パホア夏の楽しみイベント」が催され、37名の子共達が参加しました。この活動は、7月15日と8月8日の現地新聞 Hawaii Tribune-Herald紙で報道されました。

Hawaii Tribune Herald (8/8)

Hawaii Tribune Herald (7/15)

[7]報告: その他

以下の報告については、TMT推進室ウェブサイトをご覧ください。

[8]今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

9/13-9/14 TIO SAC
10/11-10/12 TIO SAC
10/26-10/27 三鷹・星と宇宙の日 2018
10/29-10/30 TIO評議員会
12/2-12/9 2018 TMT Early-Career Initiative Workshop

No.572018年6月1日

  • [1] 報告: TIO評議員会 (4/11-4/12)
  • [2] 報告: 望遠鏡本体 Safety Mini Review (3/22-3/23)
  • [3] 報告: WFOS technical review (4/4-4/5)
  • [4] 報告: TIO SAC (4/9-4/10)
  • [5] お知らせ: TMT研究会支援
  • [6] お知らせ: TMT推進室メールアドレス変更
  • [7] 報告 (その他)
  • [8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1]報告: TIO評議員会 (4/11-4/12)

第17回TMT国際天文台評議員会が2018年4月11日-12日に開催されました。第三期(2018.4-2019.3)の評議員会議長・副議長としてYang議長・Fahlman副議長を再任しました。

マウナケアの転貸借協定と保護地区利用許可についての最高裁の判決が7月~10月になるとの見込みが顧問弁護士から示され、2018年4月からの山頂工事再開を見送ることで合意しました。遅れているラパルマの許認可手続見通しも報告され、次回評議員会(8月)までに可能な手続きや準備を整えて、今後の方針について再度議論することを合意しました。

ハワイ州議会上院ではマウナケア関連法案が審議されているものの、これらは天文学継続に支障が大きく、否決される見込みであることが報告されました。また、ハワイ大学がTMTに参加するための予算措置を州議会に要請していることなどが報告されました。

全米天文学大学連合AURAとしては、TMTとGMTのそれぞれで25%の観測時間を確保 し、キーサイエンスプログラムを打ち立てて、全米天文学界が世界リードする という2020 Decadal Survey向け提案書をとりまとめる方針であり、そのための ワーキンググループを設置し今秋にワークショップを開催する方針であることが 報告されました。関連して、米国国立光学天文台(NOAO)は本年10月に改組され、 国立光赤外天文学センター(NCOA)が発足する見込みであり、GEMINI、LSST、TMT、 GMTなどを統合した新しい運営体制を目指すこととなったことが報告されました。

[2]報告: 望遠鏡本体 Safety Mini Review (3/22-3/23)

2018年3月22日−23日にTMT望遠鏡構造の安全審査会が実施されました。TIOのシス テム担当のロジャース氏(審査委員長)をはじめTIOから5名、国立天文台から1名の 計6名の審査員が参加しました。審査会の目的はTMT望遠鏡構造に対する安全要求 を明確にすること、そしてTMT望遠鏡構造の製造開始にあたり、安全の観点で問 題ないか確認することです。あらかじめ提出された審査会用資料や当日のプレゼ ンテーションについて2日間にわたり安全の観点からさまざまな議論がありました。結論として今回の審査会は極めて有用であったこと、解決すべき課題はある ものの製造へ向けて方向性が打ち出されたことが評価されました。

[3]報告: WFOS technical review (4/4-4/5)

WFOS開発チームでは3つの新しい装置コンセプト(ファイバー多天体分光器、イ メージスライサーを用いる方式、スリット多天体分光器)の概念検討を半年にわ たって行い、日本は主にイメージスライサーを用いたコンセプトの検討を担当し ました。この検討結果を報告するtechical reviewが4月4、5日に行われ、日本か らは宮崎、池之上、尾崎の3名がTV会議で参加し、高い波長分解能をえるために 天体像を3分割するイメージスライサーモジュールと、それを分光器本体に設置 するための機構について報告しました。

[4]報告: TIO SAC (4/9-4/10)

TMT SAC会議がパサデナで開催されました。今回から日本のメンバーが変更にな り、秋山さん(東北大)がco-chairになり、成田さん(東大/ABC)と田中雅臣さん (東北大)が新規メンバーになりました。主な議題は以下の3点です:

(1) WFOSの設計変更

①ファイバー多天体分光器、②イメージスライサーを用いる方式、③スリット 多天体分光器の3種類の設計検討について、どれにするかを決定する予定でした が、製造コストやアップグレードプラン等の検討、各国コミュニティでの議論 にもう少し時間をかける必要があると結論し、10月のSAC会議まで結論を先延ば しすることになりました。

(2) 将来観測装置の白書(White paper)

3月21日までに、8つのプロポーザルが提出されました。SACメンバーから、それ ぞれに担当者を決めて、SAC としてレビューコメントを返すことになりました。

(3) キーサイエンスプログラム

NSFがTMTに参加するために、2020 US decadal surveyにおいて高い評価を得る必要があります。NSFへ提出するプロポーザルでは、北半球のTMTと南半球の GMTを組み合わせた、キーサイエンスプログラムを定義し、それを実施すること を柱とします。SACやISDTで具体的な内容を議論することになりました。

[5]お知らせ: TMT研究会支援

国立天文台TMT推進室では、TMTを用いた観測的研究の計画立案や新たな観測装置 の開発などを支援する目的で、「TMTに関連した研究会支援の公募」を行ってい ます。

応募締め切り:随時応募は受け付けますが予算がなくなり次第打ち切ります。
旅費支給期間:2019年3月末まで
応募資格:日本国内の大学または研究機関に所属する方

  1. 1.日本国内で実施するTMTに関連する研究会にかかる参加者の旅費/会場借用費等
    開催費用の援助
  2. 2.対象者は国内の大学/研究機関に所属する研究者
  3. 3.TMTに関する議論がプログラムに明示されていること。主たる別の研究会の一部に、TMTセッションを開催する場合も対象
  4. 4.国立天文台を主催もしくは共催に加えること

<応募方法>
応募を検討される方は、下記の問い合わせ先までご連絡をください。折り返し、 申込書をお送りいたします。提出の際は、申込書を必ずPDFに変換の上、メー ル添付にてご送付ください。件名には「2018TMT研究会支援申請」とお書きくだ さい。

<提出先・問い合わせ先>
〒181-8588 東京都三鷹市大沢2-21-1
自然科学研究機構 国立天文台TMT推進室
安井千香子
e-mail:ck.yasui [at] nao.ac.jp
([at] を編集してください)

[6]お知らせ: TMT推進室メールアドレス変更

TMT推進室の電子メールアドレス(代表)が、4月から下記に変更されました:
e-mail: tmtj [at] nao.ac.jp
([at] を編集してください)

ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

[7]報告: その他

以下の報告については、TMT推進室ウェブサイトをご覧ください。

[8]今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

6/19 TMT推進小委員会
7/22 全国七夕講演会@愛媛大学
7/16 China MICHI meeting (NAOC, 北京)
7/26 TIO SAC
8/1-8/2 TIO評議員会
8/4 全国七夕講演会@尾道

No.562018年3月23日

  • [1] 報告: TIO 評議員会 (1/29-1/30)
  • [2] 報告: TMT推進小委員会 (3/12)
  • [3] 報告: TIO SAC (3/14)
  • [4] お知らせ: 宇宙・天文光学EXPO 2018 (4/25-4/27)
  • [5] お知らせ: 日本地球惑星科学連合大会 2018 (5/20-5/24)
  • [6] 報告: その他
  • [7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1]報告: TIO 評議員会 (1/29-1/30)

第16回TMT国際天文台評議員会が2018年1月29日-30日に開催されました。 NSFへの予算要求に向けて完成までに必要な予算の見直し結果の概説、ハワイ州 上院でマウナケア運営に関する複数の新法案が審議されていること、マウナケ アサイトアクセス委員会とハワイ大学首脳の1月の懇談を機にハワイ大学がTIO のパートナーになる可能性の検討が始まっていることなどが報告されました。 日本からは、AURAの支援確保に向け一層の努力が必要と思われること、スペイン の許可手続きが遅れ受け入れ合意書の有効期限延長協議の必要なこと、ハワイ大 学とIACへのホスト時間配分の考え方について意見表明を行いました。

[2]報告: TMT推進小委員会 (3/12)

3月12日にTMT推進小委員会が開かれました。WFOSを実現する3つの方式(slicer、 Xchange、Fiber)のトレードオフスタディについて概観した後に、意見交換を行 いました。ついで、第2期装置白書の作成に向けて、提案を予定している7つのグ ループでの進捗状況を確認し、よりよい提案にするための意見交換を行いました。また、今後WFOSに関連したworkshop開催の可能性についても議論しました。

[3]報告: TIO SAC (3/14)

3月14日にWFOSについて集中的に議論するためのTIO SACがzoom会議で開かれました。WFOSを実現する3つの方式(slicer、Xchange、Fiber)のトレードオフスタ ディについてレビューをしながら質疑応答を行いました。WFOSチームとしては、 サーベイ能力などで勝るfiber方式を次の18か月間で集中的に検討したいという 意向を表明しましたが、SACとしては第1期装置としてよりリスクの少ないXchange を支持する声もありました。特に将来的にアップグレードできる柔軟性や、各サ イエンスケースの実現性比較について未検討なところもあり結論は出ませんでした。第1期でXchange、第2期でfiberと段階的な実現を、という提案もありました。 各コミュニティに持ち帰って検討し次回のSACで引き続き議論することになりました。

[4]お知らせ: 宇宙・天文光学EXPO 2018 (4/25-4/27)

4月25日(水)-27日(金)にパシフィコ横浜で開催される宇宙・天文光学EXPOに、国立天文台のブースを出展します。TMTからは分割鏡試作品の他、望遠鏡本体や観 測装置についての展示を行います。入場料は、以下のウェブページから事前登録 を行えば無料になります。TMT関連の無料セミナー (国立天文台の研究者が語る 天文コース)も27日に開催されますので、こちらも事前にお申し込みの上ご来場ください。
来場事前登録
講演会の申込

[5]お知らせ: 日本地球惑星科学連合大会 2018(5/20-5/24)

5月20日(日)-24日(木)に、幕張メッセで行われる日本地球惑星科学連合大会に TMTのブースを出展します。20日は、パブリックセッション開催日で、一般の方も会場内の展示を無料でご覧いただけます。20日にはTMTのショートセミナーも 開催しますので、ぜひご来場ください。
http://www.jpgu.org/meeting_2018/

[7]今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

3/22-3/23 望遠鏡本体 Safety Mini Review
3/24-3/28CAP2018
4/4-4/5 WFOS technical review
4/9-/4/10 TIO SAC
4/11-4/12 TIO評議員会
4/25-4/27宇宙・天文EXPO 2018
5/20-5/24 日本地球惑星科学連合大会 2018