2022年

No.772022年12月6日

  • [1] お知らせ: 研究者向けウェビナーシリーズの初回開催 (12/20、1/19)
  • [2] 報告: TIO評議員会 (8/24-8/26、10/12-10/14)
  • [3] 報告: TIO SAC (9/29)
  • [4] 報告: TMT科学諮問委員会 (10/11)
  • [5] 報告: その他
  • [6] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] お知らせ: 研究者向けウェビナーシリーズの初回開催 (12/20、1/19)

TMT国際天文台とTIO SACが12月からウェビナーシリーズを開始します。初回ウェビナーでは、TMTによる科学研究を議論するInternational Science Development Team (ISDT) の新規メンバー募集にあわせ、TMT計画の現状について報告し、ISDTの直近の活動となるDetailed Science Case文書の更新について説明します。ISDTはTMTによるサイエンスを検討議論し、将来のTMTの運用方針、性能、新規観測装置の開発方針などを決定する重要な材料をTIO SACおよびTIOに提供します。ウェビナーを通して、国際的なISDTの議論への積極的な参加を検討していただけると幸いです。

初回ウェビナー開催日時:
2022年12月20日 14:00 JST
2023年 1月19日 7:00 JST
※異なるタイムゾーンの参加者に対応するために、同じウェビナーが2回開催されます。当日参加できない方のために、ウェビナーの録画も行います。

参加申込はオンラインフォームから、各開催日の1週間前まで受け付けています。

2回目のウェビナーでは、TMTの観測性能について紹介し、ISDT更新のための議論を開始する予定です。詳しい日程は後日お知らせいたします。

[2] 報告: TIO評議員会 (8/24-8/26、10/12-10/14)

2022年8月24-26日(JST)、10月12-14日(JST)にTIO評議員会がオンラインで開催されました。

(1) TIOプロジェクト報告
R. Kirshner総括責任者とF. Liuプロジェクトマネジャーから次の報告と説明がありました。

  • 米国国立科学財団(NSF)の基本設計審査(PDR)に向けたプロジェクト実行計画書を含む米国超大型望遠鏡(US-ELT)プログラムのプロジェクト提案書と、2件のNSF開発予算提案を提出した。
  • 各国の設計や製造等(米国やインドによる主鏡の非球面研磨作業など)の進捗状況。
  • NSFへの提案書の重要な一部である「TMTがもたらす社会的インパクト(教育プログラムなど)」の作成には、TIOに在籍出向した嘉数特任専門員が積極的に携わり、ハワイ先住民をはじめとするコミュニティの意見も反映した。
  • 地元ハワイでの最近の取り組みの紹介。これまでに3百名を超える方々(抗議活動に参加した人々や、先住民が信頼を寄せる長老等)と対話しており、今後対話の対象をさらに広げていく。

(2) NSF数学・物理学局(MPS)天文学部門(AST)より、プログラム・ディレクターのD. Boboltz氏とC. Blanco氏が参加し、次の報告と説明がありました。

  • NSFは8月9-12日に、ハワイ島の4か所で環境影響評価等の手続きについて説明し、評価方法について意見を聴取する場を設けた。これまでのマウナケアの管理体制や意思決定過程等を理由に、会の場で建設に反対意見を表明した人とも、個別での話し合いではじっくりと対話することができた。またTMT建設を望む意見は書面で寄せられている。
  • 9月19日までに、環境影響評価の方法案等に対して7千件を超える意見が寄せられた。

(3) G. Chun所長(ハワイ大学Center of Maunakea Stewardship)、D. Simons所長(ハワイ大学天文学研究所)、TIO顧問弁護士からハワイの状況について次の報告と説明がありました。

  • マウナケア新管理組織(MKSOA)について、イゲ州知事から8名の委員が指名され、次期会期において上院で承認手続きが取られる。
  • ハワイ大学(UH)はマウナケアにおけるUHの管理をMKSOAへ速やかに移行するため、MKSOAの暫定委員長と検討項目や進め方について協議している。
  • 山頂域からの望遠鏡撤去の進捗として、カルテクサブミリ波天文台の撤去作業が進んでいる。Hōkū Ke`a望遠鏡の撤去作業の許可申請が提出された。

(4) ラパルマについて、TIO顧問弁護士より次の報告がありました。

  • 昨年、土地利用許可を無効にする判決があったが、9月23日にカナリア州上級裁で、許可の有効性が認められた。環境保護団体は11月上旬を期限に、スペイン最高裁に訴えることが可能である。
  • NSFの環境影響評価(EIS)手続きの一環として、既に実施済みのEISの資料(スペイン語)の英訳が進められている。

(5) 10月の評議員会では、TIO科学諮問委員会(SAC)委員長に就任した秋山教授(東北大)がSACの活動について報告しました。(報告[3]参照)

(6) TIOの2023年予算案について審議し、NSF開発予算の確保などに不定性があることから、四半期毎に評議員会への報告と審議を経ることを条件として承認しました。

(7) NSFへの提案書について、予算やスケジュール等の重要記載事項、大型研究設備・施設建設(MREFC)予算申請に関する今後の計画や課題を中心に確認し、審議しました。

(8) パートナー報告では、日本から次の事項を報告しました。

  • 自然科学研究機構の川合機構長と機構理事のハワイ視察。
  • 望遠鏡・主鏡・観測装置の技術的進捗、研究者コミュニティの活動等。
  • NSF審査が遅延すれば、TIOだけでなく、日本にも著しい影響を及ぼすことをNSFに認識してほしい。

[3] 報告: TIO SAC (9/29)

2022年9月に秋山正幸教授(東北大)がTIO SAC委員長に就任しました。9月29日(JST)のSACでは、主に次の5つの議題について議論しました。

(1) ハワイ州議会法案やTIOの広報活動等、ハワイに関する報告がF. Liuプロジェクトマネージャーからありました。

  • これまでに3百名を超える方々(抗議活動に参加した人々や、先住民が信頼を寄せる長老等)と対話し、時に長時間にわたって話し合ったり、複数回に及んだりすることもある。
  • 広報普及・教育活動では、引き続き国立天文台の嘉数特任専門員、臼田プロジェクト長やTIOのL. Lozi氏、Liu氏が精力的に学習支援などを行なっている。

(2) NSF PDRに向けて、2015年に策定されたDetailed Science Cases (DSC)が一部更新されたことがTIOから報告されました。具体的には、Astro2020の提言内容と整合性を持たせ、第1期観測装置の赤外高分散分光器MODHISによる観測研究について詳述しました。今後、2015年以後のサイエンスの進展をDSCに取り込むことをSACで議論しています。

(3) 2023年にカナダで開催予定のTMTサイエンスフォーラムの議題と、TMTとジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の連携に関するサイエンスワークショップの開催について議論が行われています。

(4) ISDT(International Science Development Team: 国際科学研究検討チーム)の活動が2019年で中断していますが、新メンバーを募るなど、活動再開に向けて協議しました。

(5) NSFへの大型施設予算(MREFC)提案に必要な情報として、仮に予算縮小した場合の要求仕様削減案(デスコーププラン)について、科学運用等に与える影響を評価するサブ委員会をSAC内に設置して議論しています。検討結果の内容は、デスコーププランを実施した場合にサイエンスの競争力が著しく減じることを懸念する意見と併せて、評議員会に報告されました。

[4] 報告: TMT科学諮問委員会(10/11)

第III期のTMT科学諮問委員会が2022年9月1日に発足しました。2024年8月31日までの2年間、合計13名(台外11名、台内2名)の委員がTMTのサイエンスケースや運用計画、装置開発戦略等について議論します。

第1回の委員会は10月11日にオンラインで開催されました。まず初めに、臼田TMTプロジェクト長によるプロジェクト報告があり、TMT計画の概要、ハワイ現地の状況、NSF参加に向けた取り組み、マウナケア新管理組織、国内の活動などについての説明がされました。続いて、秋山委員長より、TIO科学諮問委員会(TIO SAC)とTMT科学諮問委員会(本委員会)のそれぞれの位置付けや関係が説明されました。また、前期の諮問事項に対する答申と申し送り事項の説明がされ、今期はすばる望遠鏡との連携や日本のサイエンスの独創性についてのさらなる検討が必要であることが確認されました。次期装置実現に向けた活動、他分野コミュニティへのアプローチ、今後の研究会の開催についての議論がされ、最後に、前期からの積み残し事項や今期の活動内容が確認されました。

[6] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

12/20 TIO SACウェビナー
12/22 TMT科学諮問委員会 (III期第2回)
1/19/2023 TIO SACウェビナー (12/20と同じ内容)

No.762022年9月30日

  • [1] ハワイの状況とNSF参加に向けた取り組み
  • [2] 報告: TIO SAC (7/28)
  • [3] 報告: TMT科学諮問委員会 (8/10)
  • [4] 報告: 2022年度 TMT戦略基礎開発経費採択結果
  • [5] お知らせ: 三鷹・星と宇宙の日 2022
  • [6] お知らせ: Edward Stone博士の日本学士院客員選定を記念した講演会
  • [7] 報告: その他
  • [8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] ハワイの状況とNSF参加に向けた取り組み

◆ ハワイ州におけるマウナケア管理の新組織設立

マウナケア管理をハワイ大学から先住民代表を含む新組織に移す法案が、2022年5月3日の州議会で圧倒的多数で可決され、7月7日には州知事が署名し、成立しました。

これまでマウナケアの天文学について「ハワイ先住民の声が十分に反映されない」「望遠鏡が建設されても地元への還元がほとんどない」等、強い批判もありました。これに対応して、文化実践者を含む先住民があらたに管理組織の意思決定機関のメンバーとして加わることで、さまざまな方面からの意見を広く反映する仕組みができ、長年の不満の根本問題の解決につながることが期待できます。この動きは、TMTの実現、マウナケアにおける天文学にとっても大きな前進と考えています。

新組織の設立にむけ、州議会上下院やマウナケア天文台群などから構成メンバーの推薦が実施され、9月12日に州知事より8名のメンバーが発表されました。役職指定の3名と合わせた11名のメンバーにより、年内に新組織の会合が始まる予定です。ハワイ大学から新組織への本格的な移行は2023年より開始され2028年までに完了する予定です。

◆ ハワイでの米国国立科学財団(NSF)のプロセス開始

2022年7月19日、NSFがハワイにおける環境影響評価(EIS)と国家歴史遺産保存法(National Historic Preservation Act、NHPA)第106条に関するプロセスを開始することを発表しました。

TMT計画を進めるにはNSFの参加が不可欠であり、昨年のAstro2020でUS-ELTプログラム(TMTとGMTを合わせたプログラム)が最優先計画との評価を受けて以降、NSFとの協議が行われてきました。TMT計画についてはハワイ州のEISは実施済みですが、NSF参加のためには連邦としてのEISを実施するとともに、NHPAに関するプロセスが必要となります。

EISについては、8月9~12日にNSFによる説明会(Scope Meeting)がハワイ島(ヒロ、ナアレフ、コナ、カムエラ(ワイメア))で開催されるとともに、意見の募集が9月17日まで行われました。それらを踏まえて、2023年夏に評価書案が作成され、さらに評価書案に対する意見の募集や説明会も行われる予定です。

NHPAに関する会合は今後NSFから発表されることになっており、2022年冬から2023年にかけ、天文学関係者と先住民でマウナケアの重要性について対話し、文化的価値に沿ってマウナケアの資源を守りながら、科学を追究する方法を見出すことを目的とするワークショップを開催することが予定されています。

法的に定められたEISやNHPAに加えて、ハワイのコミュニティと関心をもつ人々がプロセスに参加する方法を示すコミュニティ参加計画案もNSFから発表されました。これは、Astro2020が提起した「コミュニティ天文学」に向けた取り組みといえるものです。この計画案に対する意見書も9月17日を〆切として募集されました。

◆ NSF基本設計審査(PDR)

2022年11月~12月に開催されるNSFによる基本設計審査(PDR)に向けた準備がTIOを中心に進められています。

NSFのPDRは、プロジェクトの予算やリスク特性等を詳細に調整、分析するために実施され、その結果に応じて、米国大統領府行政管理予算局(OMB)および米国議会に要求する大型施設予算(MREFC)案が決定されていきます。つまり、NSFが連邦政府に要求するMREFCに向けた最も重要なステップといえます。PDRを進めることを決めたということは、NSFが連邦政府の枠組みの中で具体的な予算 計画やその他の行動を開始するということを意味します。実際、NSFのPDRに合格したプログラムは、これまで全て実現しています(Gemini, ALMA, DKIST, Rubinなど)。

TIOは2020年5月にNSFに対して計画提案書を提出しています。PDRにむけ、この文書の改訂版を10月1日にNSFに再提出する予定です。

[2] 報告: TIO SAC (7/28)

7月28日のSACでは、主に次の5つの議題について議論しました。

(1) ハワイでの活動として、ハワイ州議会法案やTIOの広報活動について、F. Liuプロジェクトマネージャーから報告がありました。広報活動では国立天文台の嘉数悠子特任専門員やTIOのLeinani Lozi氏が学校教育支援などを行なっていることが紹介されました。

(2) NSFへのMREFC提案に必要な情報として、デスコーププランが科学運用等に与える影響の大きさについて、SAC内にサブ委員会を設置し議論しています。日本からは東北大学の秋山教授が委員として参加しています。コストの10%を目標にしたデスコーププランとして、主鏡枚数の削減、レーザーガイド星数の削減、観測装置冷却機能の削減などが候補として挙がっています。検討結果は 8月中にまとめられ、評議員会に提出される予定です。

(3) TMTの運用検討WGが、NOIRLabと議論を継続していることが報告されました。

(4) 研究者コミュニティによるTMTの検討活動を活性化するために、ISDT(International Science Definition Team)の活動を再開することについて議論がありました。

(5) NSF PDRに向けて、2015年に策定されたDetailed Science Cases (DSC)の更新作業がTIOで進められています。Astro2020の提言内容との整合性や、第一期観測装置の赤外高分散分光器MODHISによる観測研究の記述を強化しています。今後、2015年以後のサイエンスの進展をDSCに取り込むことも議論されています。

[3] 報告: TMT科学諮問委員会 (8/10)

今期最後のTMT科学諮問委員会が8月10日に開かれました。まず、TMT基礎開発研究経費の審査結果についての承認が行われました。次に、今期委員会で積極的に進めてきた、他分野を含む幅広いコミュニティ向けセミナーと宣伝の場の設定について話し合われました。現在は、埼玉大学の大朝委員を中心に、1年後に打ち上げ予定のXRISM1とTMTを関連付けたセミナーの開催を検討していま す。今後も、委員が中心となり、幅広いコミュニティに向けた宣伝や各種研究会におけるTMTの話題提供といった活動を進めていきたいと考えています。

また、今期委員会では次世代装置開発ロードマップを作成し、TMTプロジェクトウェブサイトで公開しました。現在はその英語版を作成しています。今回の委員会では各章のご担当者に内容確認をお願いしました。9月中の完成を目指し、TMT-SACなどへの提出を検討しています。

[4] 報告:戦略基礎開発経費採択結果

将来のTMT観測装置の実現に向け、日本が装置開発でも重要な貢献を果たせるよう、プロジェクトではTMT戦略基礎開発研究経費を用意し、大学等の研究者が独自性の高いアイデアや技術を活かして基礎開発を実施することを支援しています。今年度は6月にこの経費への公募を行いました。

科学諮問委員会のメンバーと科学コミュニティからの外部審査員による審査の結果、6件の計画が採択されました。採択された計画については、後日TMTプロジェクトウェブサイトで公表する予定です。

[5] お知らせ:三鷹・星と宇宙の日 2022

国立天文台三鷹キャンパスの特別公開「三鷹・星と宇宙の日 2022」は、現地開催とオンラインイベント両方を実施するハイブリッドの形態で10月28日~29日に開催されます。現地開催(10/29)は事前申込・定員制です。TMTとすばる望遠鏡に関する企画は、現地開催を中心にして準備をしております。企画の詳細や申込方法などは、特設サイトに掲載される予定です。

[6] お知らせ:Edward Stone博士の日本学士院客員選定を記念した講演会

11月19日(土)に、TMT国際天文台の前総括責任者 Edward Stone博士の日本学士院客員選定を記念した講演会が開催されます。オンライン配信もあります。詳しくは日本学士院のページをご覧ください。

[8] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

10/11 TMT科学諮問委員会
10/28-29 三鷹・星と宇宙の日 2022
11/19 講演会「惑星探査50年の発見の歩み」

No.752022年6月14日

  • [1] お知らせ: 2022年度 TMT戦略基礎開発経費【公募】
  • [2] お知らせ: TIO統括責任者の交代
  • [3] 報告: TIO評議員会(4/12-4/14)
  • [4] 報告: ハワイにおけるTIOおよび国立天文台の活動
  • [5] 報告: TMT科学諮問委員会 (5/11、6/9)
  • [6] 報告: その他
  • [7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] お知らせ: 2022年度 TMT戦略基礎開発経費【公募】

国立天文台TMTプロジェクトでは、将来のTMT観測装置の実現に向けた基礎開発研究計画を募集します。TMT計画において日本が重要な貢献を果たすためには、大学等の研究者の皆さんが、独自性の高いアイデアや強みのある技術を活かしてTMTの開発に参加することが極めて重要であり、本開発経費はそのような活動を支援することを目的としています。2022年度の予算は総額1,000万円を予定しています。詳細は、ウェブサイトの研究支援情報をご覧ください。

提出・お問い合わせ先: ck.yasui(at)nao.ac.jp
提出期限: 2022年6月30日(木)正午(日本時間)必着

また募集にあたり、TMT科学諮問委員会ではTMTプロジェクトと共同の説明会を6月15日(水)に開催すると共に、具体的な開発ロードマップを示す「次期装置実現に向けた開発ロードマップ」を公表する予定です。

[2] お知らせ: TIO統括責任者の交代

5月にTMT国際天文台(TIO)の統括責任者がEd Stone氏から、Robert Kirshner氏に交代しました。Stone氏の8年間(TIOの前身TMT Corporation時代を含めると約20年間)にわたる統括責任者としての献身的なリーダーシップを称え、TIO評議員会はStone氏をFounding Director(創設ディレクター)に任命しました。

Kirshner氏は超新星爆発の分野で著名な研究者で、ハーバード大学で31年間教鞭を執り、全米科学アカデミーの会員、アメリカ天文学会の会長を務めるなど米国の天文学研究において多大な功績があります。また、前職のムーア財団では、科学や教育の振興のため精力的に活動してきました。Kirshner氏は、「険しい道のりではありますが、コミュニティとの信頼を基に世界をリードする望遠鏡を建設していきたい」と決意を述べています。

TIOリリース

[3] 報告: TIO評議員会(4/12-4/14)

4月13-15日(JST)に TIO評議員会がオンラインで開催されました。

(1) メンバー代表者と評議員の交代

  • 小森彰夫氏の後任として、4月に自然科学研究機構(NINS)の機構長に就任した川合眞紀氏がメンバー代表者に就任したこと、
    井口聖氏の後任として、4月に国立天文台副台長に就任した吉田道利氏が評議 員に就任したことが日本から報告されました。
  • 米国天文学研究大学連合(Association of Universities for Research in Astronomy、AURA)のJ. Weirich副総裁の退職に伴い、P. Puxley氏が今後TIO評議員会に参加することがAURAから報告されました。Puxley氏はこれまでAURAで10年、Gemini 天文台で5年、米国国立科学財団(National Science Foundation、NSF)で12年勤務し、ALMAのProgram Officerを担当するなど、米国の大型プロジェクトに精通しています。

(2) NSF数学・物理学局(MPS)天文学部門(AST)より、Program DirectorのD. Boboltz氏とC. Davis氏が1日目に参加しました。NSFもマウナケアの管理体制に関するハワイ州議会の法案HB2024の状況を注視しており、国際パートナーがNSFとの会合で予算要求日程のタイムラインを共有することなどの重要性がNSFから伝えられました。なお、カナダは2月にNSFと会合を持ちTMTの重要性等を伝えました。

(3) TIOプロジェクト報告
F. Liuプロジェクトマネジャーから次の報告と説明がありました。

  • TMTの設計・開発予算申請のプロポーザルをNSFに提出しました。プロポーザルには望遠鏡のサブシステムや観測装置の設計・開発に加えて、ハワイでの新たな教育支援プログラムの提案も含まれています。
  • ハワイでも新型コロナ感染症拡大の影響が各方面に及びました。地域の人々は、特に低所得層の子どもたちの学習の遅れを非常に懸念しており、地元の学校やコミュニティと密接に連携し、国立天文台職員もTIOとともに理数系を中心とした学習支援に取り組んでいます。(報告[4]参照)

(4) ハワイ報告
マウナケア管理体制に関するハワイ州議会の法案HB2024について、G. Chun CMS(Center of Maunakea Stewardship)所長、D. Simons UH IfA所長、弁護士などから修正案の内容や今後の見通しなどについて報告がありました。TIOとしては、マウナケア天文台群と同様に中立の立場を取り、法案に関する意見表明は控えることを確認しました。

(5) 2022年TIO予算案について、当初案より6%の支出を削減する提案を承認しました。また、NSFの大型研究設備・施設建設(MREFC)予算申請への今後の計画や課題について議論しました。

(6) メンバー会議

  • 川合NINS機構長から、4月14日付の文書により、前回のメンバー会議から1年以上経過しているため、早期のメンバー会議の開催が要請されました。
  • カナダも早急にメンバー会議を開催することに賛成し、日程が調整されることになりました。

(7) 常田台長が委員長を務めるBusiness Planワーキンググループの会合が4月に2回開催され、次のように報告されました。

  • NSF 基本設計審査(PDR)に向けて、日本を含む国際パートナーで進められている現物貢献の実コスト額算出作業として、技術進捗度等に応じたリスクの見直し、それに伴うコンティンジェンシーコストの算出など、主要課題に取り組んでいること。
  • インフレや為替など、各国で状況が異なる問題について慎重に検討していること。
  • 早期の米国MREFC予算確保に向けてワーキンググループが引き続き活動すること。

(8) パートナー報告として、日本から次のように報告しました。

  • これまで分担金を合意書に沿って支払い、国内ではスケジュール遅延をもたらさないように、最低限の現物貢献の作業を継続していること。
  • NSF審査の遅延がTIOだけでなく、日本にも著しい影響を及ぼすことをNSFに認識してほしいこと。
  • 2023年度と2024年度に焦点を当て、ハワイの状況やNSF審査で進展が必要な時期を含む日本での予算要求の詳細なプロセス。
  • 現物貢献(望遠鏡本体、主鏡、観測装置)の進捗等。

[4] 報告: ハワイにおけるTIOおよび国立天文台の活動

  • 日本はすばる望遠鏡の建設時の経験を踏まえ、TIOがハワイ島に拠点を移し、地元に根差した活動で信頼関係を醸成することが重要であると主張し、2020年10月のTIO評議員会で、TIO本部のハワイへの段階的移転が決定されました。そ れに伴い、2021年6月にTIOプロジェクトマネージャーが、7月に国立天文台TMTプロジェクト長がヒロへ異動しました。
  • TIOのハワイでのアウトリーチ活動チームも、国立天文台の特任専門員らを含む地元スタッフに一新して、地元コミュニティと連携して活動しています。
  • 地元の方々の意見を広く聞くため、TIOプロジェクトマネージャーを中心に対話活動を行っています。これまでに200人以上の方々と対話し、TMTに対して批判的な人々や先住民の長老の方々の意見も伺うことができました。長時間でも話し足りず、時に複数回にわたって話し合うこともあります。どのご意見もありがたく、今後の活動に生かしていきます。
  • 5月には新たにTIOの統括責任者に就任したKirshner氏が、カリフォルニア工科大学とカナダの評議員と共にハワイ島を訪問し、TIOプロジェクトマネージャーや国立天文台TMTプロジェクト長とともに、先住民を含むハワイ関係者との対話を行いました。
  • 意見の傾聴と尊重に基づく直接対話と、地元住民のニーズに沿った学習支援や職業訓練のプログラム提携等を軸にした活動を続けており、TMT建設反対運動の急先鋒に立っていた先住民の方々から「私たちの祖先は、星などの動きを読んで大海原を渡ってきた天文学者でもあった。私たちは科学の追究を応援している。ハワイの宝であるケイキ(子ども)のためにTMTが率先して行動していることに感謝する。困っていることがあれば是非協力する」、 「こうして天文学関係者と話したのは初めてである。直接意見が伝えられたこと、それを聞いてくれたことに感謝する」といった言葉も聞かれるなど、信頼関係の醸成が進んでいます。

[5] 報告: TMT科学諮問委員会 (5/11、6/9)

TMT科学諮問委員会では、現在、次世代装置開発のロードマップの作成を進めています。5月11日と6月9日に開かれた委員会では、TMTでのサイエンスの主要分野について、執筆者に説明いただくとともに、関連する研究者をお招きして理論・観測の両側面からTMTでのサイエンスについてお話しいただきました。

5月11日には、高分散分光宇宙論分野について、執筆者の川端弘治さん(広島大学)に、また系外惑星分野について、執筆者の成田憲保さん(東京大学)、村上尚史さん(北海道大学)、上塚貴史さん(東京大学)にお話しいただきました。

6月9日には、宇宙論分野について、三澤透さん(信州大学)と二間瀬敏史さん(京都産業大学)をお招きしてお話しいただき、初期宇宙銀河分野について、執筆者の小山佑世さん、美濃和陽典さん、尾崎忍夫さん(国立天文台)に説明いただきました。

[6] 報告: その他

以下の報告については、TMTプロジェクトウェブサイトをご覧ください。

[7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

6/15 TMT計画についての研究者コミュニティ向け説明会
7/17-22 SPIE
7/28 TIO SAC
9/20-9/22 2022年度光赤天連シンポジウム

No.742022年4月19日

  • [1] お知らせ: TMT戦略基礎開発経費
  • [2] 報告: TMT科学諮問委員会 (3/18)
  • [3] 報告: TIO SAC (3/30)
  • [4] お知らせ: 宇宙・天文光学EXPO 2022 (4/20-4/22)
  • [5] お知らせ: 日本地球惑星科学連合大会 2022 (5/22-5/27)
  • [6] 報告: その他
  • [7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] お知らせ: TMT戦略基礎開発経費

今年度も昨年度と同規模でTMT戦略基礎開発経費への提案募集を行います。詳しくは別途お知らせします。

[2] 報告: TMT科学諮問委員会 (3/18)

TMT科学諮問委員会では、幅広いコミュニティにTMTについて知っていただくための取り組みを進めています。その最初の試みとして、東北大学での取り組みを田中雅臣さんにご紹介いただきました。東北大学では、ニュートリノ科学研究センターと合同の「宇宙系」談話会が発足し、2022年2月と3月に1回ずつ開催されました。テーマは主にサイエンスに関するもので、2022年4月以降も継続が予定されています。

また、TMT科学諮問委員会では、次世代装置開発のロードマップの作成を進めています。これまでに、以下の3大テーマ
- 地球型惑星の直接撮像とバイオマーカーの検出;
- 初代銀河の物理的性質と宇宙再電離の解明;
- 宇宙膨張の直接検出とダークエネルギーの性質への制限;
のサイエンス課題と要求仕様に対する技術ロードマップの記述を科学諮問委員会の委員および 戦略的基礎開発経費の審査員の方を中心に進めています。次回以降の委員会では、1回1テーマずつで議論を行う予定です。将来的には、光学赤外線天文連絡会などの光赤外に関わるコミュニティに広く共有していければと考えています。

[3] 報告: TIO SAC (3/30)

3月30日のSACでは、主に以下の4つの議題について議論しました。

(1) NOIRlabによるUS-ELTP科学運用開発との連携、およびTMTの共同利用の方針について、TMTの科学運用サブワーキンググループ(※)座長のEric Peng氏(PKU)より報告があり、今後の議論を進めることが説明されました。
※日本のメンバーは国立天文台の青木和光准教授

(2) ハワイにおけるこれまでの経緯と広報活動について、国立天文台の嘉数悠子特任専門員が報告しました。地元の小中学校での教育支援活動やコミュニティカレッジとの連携の計画などについて、SAC委員からも高い関心をもった意見交換がされました。

(3) 関連分野への広報活動として、米国の素粒子分野での将来計画白書SnowmassにあわせたTMTの説明や、日本のTMT科学諮問委員会で行っている活動について紹介がありました。(日本では東北大学ニュートリノ科学研究センターとの合同談話会を実施しています。)

(4) International Science Development Team (ISDT) の活動再開に向け、近赤外高分散分光器MODHIS での科学提案や Astro2020 での新たな科学提案を含め、2015年に取りまとめられたTMT Detailed Science Caseの更新について議論されました。

[4] お知らせ: 宇宙・天文光学EXPO 2022 (4/20-4/22)

4月20日(水)-22日(金)にパシフィコ横浜で開催される宇宙・天文光学EXPOに、国立天文台のブースを出展します。今年は、TMTに加えて、岡山の188cm望遠鏡とせいめい望遠鏡の展示を行います。特別セミナー「国立天文台を活用する研究者が語る天文コース」では、これらの3つの望遠鏡を用いた太陽系外惑星の観測について、3名の講師がお話しします。現地会場のみでの開催ではありますが、ご訪問・ご参加を検討いただければ幸いです。来場には事前登録が必要ですので、ご注意ください。

事前登録
特別セミナーの詳細

[5] お知らせ: 日本地球惑星科学連合大会 2022 (5/22-5/27)

日本地球惑星科学連合大会が、3年ぶりに幕張メッセで開催されることになりました。TMTプロジェクトは、アルマ望遠鏡と合同でブースを出す予定です。現地ブースに加え、オンラインブースもありますので、現地に来られる方も、そうでない方も、TMT/アルマブースにお立ち寄りいただけると幸いです。

日本地球惑星科学連合大会 2022

[7] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

4/20-4/22 宇宙・天文光学EXPO
5/11 TMT科学諮問委員会
5/22-5/27 日本地球惑星科学連合 2022年大会
6/9 TMT科学諮問委員会

No.732022年2月21日

  • [1] 報告: TINAレビュー (2021年 11/15-11/19)
  • [2] 報告: WFOS概念設計審査会 (2022年 2/8-2/9)
  • [3] 報告: 国内で非球面研磨された分割鏡の品質審査 (2021年度分)
  • [4] 報告: TIO評議員会 (2022年 1/26-1/28)
  • [5] 報告: TIO SAC (2021年 11/3、11/11、12/1)
  • [6] 報告: TMT計画についての研究者コミュニティ向け説明会 (2021年 12/15)
  • [7] 報告: TMT科学諮問委員会 (2021年 12/16)
  • [8] 報告: その他
  • [9] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

[1] 報告: TINAレビュー (2021年 11/15-11/19)

米国科学財団(NSF)による基本設計審査(PDR)への準備を目的としたレビューが、11月15日から19日(米国時間)にオンラインで行われました。審査員はTMT国際天文台(TIO)とは独立かつ国際的に定評のある有識者で、Gemini、LSST、ALMA等、世界最先端の地上・スペース望遠鏡に関する国際計画の中心メンバーまたは審査の経験がある方々です。

NSF PDRの基準に照らしTMT計画の科学目的、マネジメント、技術的課題と成熟性、建設スケジュール、TIOが担当する部分のコスト見積等など25項目について、合否判定ではなく、強みと弱みが審査され、改善点と共に評価結果が報告されました。
(1) NSF PDRに向けて、TMT計画は十分に準備が整っている。
(2) 技術、システムズエンジニアリング、ソフトウェア、観測装置グループ、ビジネスシステム等、あらゆる分野において、TMTスタッフとレビュー資料の品質は非常に高い。(※国立天文台のカリフォルニア事務所、ハワイ、三鷹に在籍するTMTプロジェクトメンバーも資料作成に携わりました。)
(3) 主な課題としては、教育・アウトリーチ・社会との関わりに関する取組、建設サイトへのアクセス、建設コストがある。また、プロジェクト・サイエンティストが必要である。

今後、評価項目に対する審査委員会からの指摘事項を受け止め、NSF PDRに向けて、TIOおよび参加機関が協力していきます。

[2] 報告: WFOS概念設計審査会 (2022年 2/8-2/9)

2月9、10日(日本時間)の2日間にわたってWFOSの概念設計審査会が行われました。新型コロナウイルス感染症のためにオンライン開催となり、アメリカ・イギリス・カナダ・中国・インド・日本と世界各地からの参加があるため、日本 では午前3時からの開催となってしまいました。審査会では装置の各サブシステム担当グループが報告を行います。国立天文台からはスリットマスク交換機構とスリットマスク製造設備の報告を行いました。幸い大きな問題は見つからず、WFOSは次の基礎設計段階へ進むレベルにあると判断していただけました。思い起こせば、我々がWFOSに参加した2010年には既に概念設計段階に入っていて、装置コンセプトの見直しや中心開発メンバーの交代など色々ありましたが、12年目にしてようやく概念設計段階を終えることができました。

[3] 報告: 国内で非球面研磨された分割鏡の品質審査 (2021年度分)

TMTの主鏡は492枚の分割鏡を組み合わせて直径30mの鏡として機能します。日本は、その硝材製造とそれに続く球面研削工程では全数を担当し、その後工程では175枚の非球面研磨を担当します。非球面研磨された分割鏡 (ラウンデル)の最初の1枚目が昨年度に品質審査を合格したことを受け、今年度はさらに多くのラウンデルに同じ審査の手続きを適用しました。1枚目で慎重に議論を重ねていたこともあり、作業は順調に進んで2021年4月には8枚、そして2021年12月に4枚が合格しました。昨年度の1枚を合わせると合計で13枚が合格となりました。さらに2枚が形状等は規格に適合していることが認められ、あとは新型コロナウイルス感染症まん延の影響で延期されている実物目視検査を実施できれば、合格となる見込みです。

[4] 報告: TIO評議員会 (2022年 1/26-1/28)

1月26-28日(JST)に TIO評議員会がオンラインで開催されました。

(1) NSF数学・物理学局(MPS)天文学部門(AST)より、Debra Fisher氏他3名が1日目に参加しました。NSFとTIOとの会合が1月より始まり、TIOのガバナンス、米国外パートナーの重要性、将来の運用も含むコストやスケジュール等について 議論しています。

(2) TIOプロジェクト報告
Fengchuan Liuプロジェクトマネジャーから以下の報告と説明がありました。

  • ハワイ先住民の状況をはじめとする地域社会に精通した者が広報・アウトリーチ担当のTIO職員として3月に着任する予定である。
  • ハワイ現地で対話を継続している。特に、低所得者層の子供への教育支援に対する期待が高い。
  • NSFへのプロポーザルの準備が進められている。

(3) ハワイ報告
Greg Chun CMS(Center of Maunakea Stewardship)所長から、マウナケアのマスタープランがハワイ大学理事会で承認されたことと、山頂域から撤去する望遠鏡(Caltech Submillimeter Observatory: CSO等)について、今後の計画が報告されました。

(4) TIO SAC(科学諮問委員会)報告
G. Herczeg 科学諮問委員会委員長から、(1) Astro2020の結果を受け、TMTで期待される科学成果を議論する国際科学検討チーム(ISDT)の活動が再開されること、(2) TMTを用いた太陽系外惑星観測に関するサブ委員会(委員長は成田東大教授)の最終報告が2月に完成すること、(3) TMTサイエンスフォーラムをカナダで2023年に開催することが報告されました。

(5) 常田台長が委員長を務めるBusiness Planワーキンググループの会合が1月に2回開催され、NSF PDRに向けて、日本を含む国際パートナーで進められている現物貢献のコストを算出するための正確かつ公平な方法を検討していること等が報告されました。

(6) パートナー報告では、日本からは、以下について報告しました。

  • これまで分担金を合意書に沿って支払い、国内ではスケジュール遅延をもたらさないように、最低限の現物貢献の作業を継続している。
  • 2022年度の予算は獲得できたものの、フロンティア促進事業にTMTを再度位置付ける必要があるため、2022年から2023年にかけてハワイ、NSF、TIOでの明確な進展を示す必要がある。
  • 現物貢献(望遠鏡本体、主鏡、観測装置)の進捗と、天文学以外の分野におけるアウトリーチ活動の報告。

[5] 報告: TIO SAC (2021年 11/3、11/11、12/1)

11月3日のSACでは、Astro2020報告結果公表前にTIOとしての対応について議論を行ないました。

11月11日のSACでは、(1) Astro2020報告書の内容と、(2) TMTを用いた太陽系外惑星観測に関するサブ委員会(委員長は成田東大教授)の報告書案について議論を行ないました。系外惑星観測の報告書では各パートナーにおけるアンケート 結果を基にして、研究テーマの優先順位が付けられ、地球型の系外惑星の大気組成を分光観測で明らかにすることが最優先として紹介されました。

12月1日のSACでは、(1) TINAレビュー (11/15-11/19)の結果、(2) TIOプロジェクトの進捗、(3) インドで検討が進められている可視高分散分光器HROSについて、ケラレを避けるためにピックオフ鏡を設置する案等について、報告と議論 がありました。

[6] 報告: TMT計画についての研究者コミュニティ向け説明会 (2021年 12/15)

米国の向こう10年間の天文学・宇宙物理学の計画に関する勧告を含むAstro2020の評価報告書の公表を受けて、研究者コミュニティ向け説明会を12月15日にオンラインで開催しました。説明会ではAstro2020報告書におけるTMTに関する記 載内容の概要や、今後見込まれる進展について、またTMT国際天文台や国立天文台の取組みを含めた建設候補地ハワイでの状況についてご説明するとともに、研究者コミュニティの皆さんとの質疑応答・意見交換を行いました。

当日はおよそ250名の方にお集まりいただきました。事後のアンケートでは、Astro2020での記載内容についてよく理解できた、またハワイでの反対運動の背景を初めて知ることができた、状況の打開にむけた取組みの内容が分かってよかった、といった声を多くいただきました。その一方で、今後のスケジュールついてより明確に知りたい等のご意見もいただき、これからも研究者コミュニティへの情報提供を進めていきたいと考えています。

[7] 報告: TMT科学諮問委員会 (2021年 12/16)

科学諮問委員会では、次世代装置開発のロードマップの作成を進めています。現在は、以下の3大テーマ
- 地球型惑星の直接撮像とバイオマーカーの検出 - 初代銀河の物理的性質と宇宙再電離の解明 - 宇宙膨張の直接検出とダークエネルギーの性質への制限
についてサイエンス面からの装置に対する要求・要望をまとめています。今後は、観測の鍵となる技術仕様を実現するための開発ロードマップの記述を進めます。その主担当者を委員会で選定し、ご了承をいただきました。また、幅広いコミュニティ向けセミナー開催の検討を進めています。特に、各大学で天文分野に比較的近い分野での宣伝の場として、東北大学の田中雅臣さんが中心となり、東北大学宇宙物理学分野でKamLANDとTMT のジョイントセミナーの実施を計画しています。

議事録

[9] 今後の予定 (諸会議、イベント、講演など)

3/2-3/5 日本天文学会
3/18 TMT科学諮問委員会
4/20-4/22宇宙・天文光学EXPO