2012年

No.352012年11月8日

  • [1] お知らせ:国立天文台研究員募集中(11/30〆切)
  • [2] 報告:TMTボード会議(10/9-10)
  • [3] 報告:国立天文台講演会「超大型望遠鏡TMTがぬりかえる宇宙像」を開催(10/8)
  • [4] 報告:TMT Science Advisory Committee (SAC) (9/1-3)
  • [5] 報告:TMT推進小委員会報告(9/24)
  • [6] 報告:平成24年度分TMT戦略基礎開発経費配分決定
  • [7] 最近の活動・報告/今後の予定

[1] お知らせ:国立天文台研究員募集中(11/30〆切)

国立天文台プロジェクト研究員が公募されています。TMT推進室でも募集中です。詳しくは以下をご覧ください。
http://www.nao.ac.jp/about-naoj/recruit.html

[2] 報告:TMTボード会議(10/9-10)

第36回TMTボード会議となる今回の会議はカリフォルニア州外での初めての開催 となりました。国際パートナーの先陣を切って東京での開催を主催し、文部科学 省来賓の開会挨拶、 NSFからのオブザーバー参加も得てこれまででも最大規模の 参加者での開催となりました。各国状況報告、計画の全体進捗状況報告につづ き、パートナーの建設合意契約書の策定に向けて重要事項についての意見交換に 時間を割きました。見解の調整事項も残っていますが、2014年建設開始に向けて 合意契約書を詰める作業グループの結成とそのスケジュールが報告されました。

[3] 報告:国立天文台講演会「超大型望遠鏡TMTがぬりかえる宇宙像」を開催(10/8)

ボード会議に先立って、10月8日には、TMTで飛躍が期待される天文・宇宙物理の研究についての講演会が開催されました。東京・一橋講堂で開催されたこの講演会には、約350人もの方に来場いただき、大盛況でした。

  1. 1)宇宙で最初の星と銀河 家正則 国立天文台教授(TMT推進室長)
  2. 2)太陽系外惑星に生命の兆候を探る 田村元秀 国立天文台准教授(太陽系外惑星探査プロジェクト室長)
  3. 3)ダークエネルギーの謎にどう挑むか 須藤靖 東京大学教授

開会にあたっては林正彦国立天文台長から挨拶を、閉会時にはボード会議メンバーのMichael Bolte カリフォルニア大学教授から挨拶をいただきました。

講演会の様子はTMTのウェブにて報告しています。
https://tmt.nao.ac.jp/researchers/info/2012/10-30.html

[4] 報告:TMT Science Advisory Committee (SAC) 2012/9/1-2

9/1(中国時間)にTMTサイエンスワークショップ、9/2にTMT SACが中国の北京にて開催されました。日本からは、秋山(東北大学)・家・柏川・臼田(国立天文台)が参加しました。TMT SACが初めて北米以外の場所で開催されました。

(1)TMTサイエンスワークショップ

中国のTMTによるサイエンスの紹介に加えて、中国におけるTMT以外のプロジェクトが紹介されました。また、中国コミュニティとTMTの関係をより活性化する方法について議論されました。

(2)望遠鏡

6本スパイダー、主鏡サポート、セグメント鏡ハンドリング装置、CO2クリーニング装置など、望遠鏡構造の設計が順調に進行中。

(3)光学系
  • 中国:主鏡用の1.1mΦの曲げ研磨を実施中。9月にレビュー予定。レビュー合格後、 1.5mΦの曲げ研磨を開始する予定。 M3(4mΦ)のミラーセルの概念設計レビューを9月に予定。研磨機組立て中
  • インド:Tinsleyの曲げ研磨方法の採用を検討中。また、キヤノンとの共同作業も議論開始
  • 日本:セグメント鏡#82の研磨はほぼ完了。来年次の研磨を開始予定
(4)観測装置
  • IRISのプロトタイプについて、2013年の初めにレビューを行う予定
  • WFOS-MOBIEの概念設計のフェーズ2が進行中
(5)プロジェクト・マネージメント
  • TMT建設費のコストレビュー会議を2013年1月または2月に実施する
  • TMT建設開始の準備状況を確認するReadiness Reviewを2013年4月または5月に実施予定。

[5] 報告: 平成24年度第3回TMT推進小委員会

TMTプロジェクトの日本における推進をめざし、光赤外線天文研究者のボトム アップの行動の必要性・TMT計画の進捗の早い段階から提言を行う必要性から、 光赤外専門委員会の下にTMT推進小委員会が設けられています。本年度第3回目 の委員会が9/24(月)に開催されました。委員長には山田亨氏(東北大)が再任され、 また新委員として本田充彦氏(神奈川大)が選ばれました。
TMTに関する科研費の獲得について、TMT運用方針、特にTOOのあり方などについて 議論を行い、サイエンスフィジビリティー検討についてはワーキンググループを組織しました。

議事録は随時以下のページにて公開いたします。TMTの推進に関わるご提言、ご意見のある方はお近くの委員の方にお問い合わせください。
TMT推進小委員会

[6] 報告: 平成24年度分TMT戦略基礎開発経費配分決定

JELT News Letter No.34で募集いたしましたTMT戦略基礎開発経費の申請を8月末 に〆切りました。これは、将来的に TMT 観測装置として提案を行うべく、日本 の独自性やアイデアを十分に活かした装置製作を行うための基礎開発から概念設 計までを3年から5年程度の中長期にわたって継続して支援する枠組みです。本年 度は 4件、総額1680万円の応募がありました。外部審査員による慎重な審査を重 ねた結果、以下の4件に配分することが決まりました。今後、審査委員会を中心 に、予算が有効に執行され、本経費による開発成果が達成されているかを年度末 に確認する予定です。

  1. 1) Second-Earth Imager for TMT (SEIT)計画の実現に向けた要素開発(代表 松尾太郎) 350万円
  2. 2) TMT 第1期装置 可視光分光撮像装置WFOS 用面分光ユニット開発へ向けた基礎開発と技術立証試験(代表 尾崎忍夫) 470万円
  3. 3) TMT 広視野補償光学系による多天体面分光観測 (代表 秋山正幸) 190万
  4. 4) MICHI(Mid-Infrared Camera, High-disperser, and IFU)の要素技術開発
    (代表 本田充彦) 490万円

[7] 最近の活動・報告/今後の予定

(最近の活動・報告)
8/9-10 光赤天連シンポジウム
9/1-3 TMT SAC会議(北京)
10/8 国立天文台講演会「超大型望遠鏡TMTがぬりかえる宇宙像」(東京)
10/9-10 TMTボード会議(東京)

(今後の予定)
11/17 大学共同利用機関シンポジウム(東京) TMT関連展示等
11/28  TMT装置検討会
12/10-12 TMT Science Workshop (インドPune)
12/13-14 TMT SAC会議(インドPune)
12/26 TMT推進小委員会

No.342012年7月30日(旧Jelt News Letter)

  • [1] お知らせ:「TMT計画説明書」刊行
  • [2] お知らせ: TMT 戦略基礎開発研究経費 申請募集中
  • [3] 報告:TMTボード会議(7/11-12)
  • [4] 報告:TMT Science Advisory Committee (SAC) (6/27)
  • [5] 報告:TMT推進小委員会報告
  • [6] 報告:TMT装置検討会(6/6)
  • [7] 最近の活動・報告/今後の予定

[1] お知らせ:「TMT計画説明書」刊行

「次世代超大型望遠鏡 Thirty Meter Telescope (TMT) 計画説明書」が刊行されました。計画の経緯、サイエンス、望遠鏡、装置の概要等をまとめたものです(約220ページ)。冊子の配布をはじめていますが、以下でもご覧いただけます。
https://tmt.nao.ac.jp/researchers/info/2012/07-27.html

[2] お知らせ: TMT 戦略基礎開発研究経費 申請募集中

すでに光赤天連などでアナウンスされておりますように、このたび国立天文台で は、TMT 戦略基礎開発研究経費を設置し、平成24年度分の同経費への募集を 行います。将来的に TMT 観測装置として提案を行うべく、日本の独自性やアイ デアを十分に活かした装置製作を行うための基礎開発から概念設計までを3年か ら5年程度の中長期にわたって継続して支援する枠組みです。1課題あたり50 0万円以下を目安とし、最大3件程度の採択を見込んでいます。人件費は対象と しません。〆切は8月31日(必着)です。申請方法・詳細については以下をご覧 ください。
https://tmt.nao.ac.jp/researchers/support/

[3] 報告:TMTボード会議(7/11-12)

  • NSFへ提出されている共同提案書について、TMTプロジェクトオフィスが6月19日 に計画の説明を行い、その結果は良好であったとの報告がありました。レビュー の結果は8月19日までに公表される見込みで、これがどのような表現となるかが 注目点となります。
  • プロジェクトマネージャからは、国際マネージメント組織強化の必要性や望遠 鏡構造の耐震化案(日本からの提案)などが報告されました。
  • 各国からの報告では、予算状況や技術開発の状況が報告されました。特に2014 年の建設開始にむけた予算獲得のプランがそれぞれ示されました。
  • TMT-SACからの報告のなかで、次回から臼田知史さんをSAC Chair とすることが 報告され、承認されました。
  • パートナー間の最終的な建設合意書(Partners Agreement:法的拘束力のあるも の)を約1年後までに完成させることをめざし、そのプロセスなどを既定するMOUを2012年内に署名する方向で検討が行われました。
  • 次回のボード会議は、10月9-11日に東京で開催されることになりました。MOU署 名に向けた大事な会議となります。

[4] 報告:TMT Science Advisory Committee (SAC) 2012/6/27

6/27(米国時間)に、TMT SACがテレビ会議で開催されました。 日本からは、秋山(東北大学)・臼田(国立天文台)が参加しました。 以下、概要について報告いたします。プロジェクト・マネージメント に関する報告はボード報告をご覧下さい。

(1)ハワイ
  • ATSTの影響で建設許可の手続きが遅れ気味であるが、早ければ8月にBLNR (Board of Land and Natural Resources)の承認が得られる見込み。
(2)望遠鏡
  • 望遠鏡構造の設計として、1000年規模の地震対策のため、6本スパイダー構造を検討中。回折パターンやLGS用のレーザー光路など検討が必要。
  • 光路の遮蔽率は現在4.06%(副鏡の1.53%含む)でサイエンス要求の1%から外れている。引きつづき検討し、ある段階でレビューの予定。
(3)光学系
  • 中国:M1(1.5mΦ)の曲げ研磨設備を準備中。M3(4mΦ)ガラスの研磨機組立て中
  • インド:Tinsleyの曲げ研磨方法の採用を検討中。SSAプロトタイプが今年後半に完成予定。
  • 日本:計測方法が課題。複数の方法を検討中
(4)AO・LGS
  • 低次波面センサーの波長帯域をJ+HからJ+H+Kに変更することで、波面誤差を改善する検討を開始(50% sky coverageで波面誤差を650nmから200nmまで改善可能)
  • 中国TIPCレーザー:7月にカナダに輸送してLZTを用いて送信試験。2013年からKeckで試験予定。
(5)広報関連

[5] 報告: 平成24年度第2回TMT推進小委員会
(ただし今回任期切れで開催のためTMT懇談会)

TMTプロジェクトの日本における推進をめざし、光赤外線天文研究者のボトム アップの行動の必要性・TMT計画の進捗の早い段階から提言を行う必要性から、 光赤外専門委員会の下にTMT推進小委員会が設けられています。本年度第2回目 の委員会が6/18(月)に開催されました。サイエンスフィジビリティー検討の開 始、TMT戦略基礎開発研究経費予算の要求、TMT講師派遣システムの立ち上げ、 光天連シンポ「TMTと中型望遠鏡計画」セッション(下記[6]参照)、隣接分野に 向けての情報発信促進、などについて議論を行いました。

議事録は随時以下のページにて公開いたします。TMTの推進に関わるご提言、ご意見のある方はお近くの委員の方にお問い合わせください。
TMT推進小委員会

[6] 報告: 第8回TMT装置検討会(6/6)

日本独自のTMT第2期観測装置を提案すべく、第8回TMT装置検討会が6/6(水)に 開かれました。約20名の参加者があり、4件の装置提案について順次プレゼン テーションを行いました。各装置の進捗状況の確認とともに、各装置提案と してどこをどのように強化していくべきか、開発を支える体制はどうある べきか、などについて議論を行いました。評価委員による詳細コメントは、 各提案にフィードバックされました。これらを参考にしつつ、さらに詳細な 装置検討に入ります。

次回(第9回)は 2012年11月28日の開催を予定しております。
装置検討会 web page

[7] 最近の活動・報告/今後の予定

(最近の活動・報告)
[2012年]
6/6  TMT装置検討会
6/27 TMT SAC (TV会議)
7/11-12 TMT ボード会議

(今後の予定)
8/9-10 光赤天連シンポジウム
9/1-3 TMT SAC会議(北京)
10/9-10 TMTボード会議(東京)

No.332012年4月27日(旧Jelt News Letter)

  • [1] お知らせ: 大型プロジェクトに関するパブリックコメント
  • [2] お知らせ: TMT推進室 教授、准教授、主任研究技師公募
  • [3] 報告: NSFに望遠鏡建設の提案書を提出(4/16)
  • [4] 報告: TMT Science Advisory Committee (SAC) 2012/4/4-5
  • [5] 最近の活動・報告/今後の予定

[1] お知らせ:大型プロジェクトに関するパブリックコメント

文部科学省のウェブページで、「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する 基本構想 ロードマップの改訂 -ロードマップ2012-」に関するパブリック・ コメントが実施されています。このロードマップ案は科学技術・学術審議会学術 分科会研究環境基盤部会学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会のまとめ で、TMT計画も含まれています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/04/1319636.htm

パブリックコメント実施期間は5月7日(月)までとなっていますのでお知らせします。

[2] TMT推進室 教授、准教授、主任研究技師公募

国立天文台では、TMT推進室の教授、准教授、主任研究技師を公募しています。いずれも締切は6月20日です。

国立天文台採用情報のページ

[3] 報告:NSFに望遠鏡建設の提案書を提出(4/16)

米国NSFは、次世代超大型望遠鏡計画の検討に1.25M$を支出予定で、これについての計画選定を行います。TMTはこれにむけて建設計画の提案書の準備をすすめてきましたが、4月16日に予定通りNSFに提案書を提出しました。評価結果は7月末までに公表される予定です。
なお、GMTはこの提案書を提出しませんでした(以下のページ)が、TMTについての評価は予定通り行われることになっています。
http://www.gmto.org/pressrelease07.html

[4] 報告:TMT Science Advisory Committee (SAC) 2012/4/4-5

4/4に、TMT SACがパサデナのTMTオフィスにて開催されました。日本からは、秋山(東北大学)・柏川・臼田(国立天文台)が参加しました。

  • 4月提出予定のNSFプロポーザルに、新しいサイエンス(系外惑星など)や機能などについて盛り込んだ内容について紹介がありました。SACとしては満足する内容になりました。この機会に2007年作成のDSC (DetailScience Cases)の改訂を進める予定です。
  • NSFプロポーザルに関連して、TMTの機能の拡張として、高精度のアストロメトリと測光、PFI (ExAO)が出来るまでの高コントラスト観測機能、NGS-AOモード、偏光モード、時間変動について、ワーキンググループを作成し検討を開始しました。日本人の方にメンバーとして入ってもらい検討を始めています。12月にBangaloreで開催予定のTMTSACに併せて、これらに関連するサイエンス・ワークショップを開催する予定です。興味のある方はTMT推進室までご連絡ください。

[5] 最近の活動・報告/今後の予定

(最近の活動・報告)
[2012年]
4/4-5 TMT-SAC
4/10-11 TMT ボード会議

(今後の予定)
6/6   TMT装置検討会

No.322012年4月4日(旧Jelt News Letter)

  • [1] お知らせ: TMT推進室に改称し新年度スタート
  • [2] 報告: 会合「TMT計画:この半年の新展開と当面の予定」(2012/3/2、三鷹キャンパス)
  • [3] 報告: 第2回すばる公開講演会 (2012/3/4、一橋記念講堂)
  • [4] 報告: 日本天文学会春季年会でTMT特別セッション (2012/3/21、龍谷大学)
  • [5] 最近の活動・報告/今後の予定

[1] お知らせ: TMT推進室に改称し新年度スタート

国立天文台TMTプロジェクト室は平成24年度よりTMT推進室と改称して、計画推進 活動を本格化させることになりました。これは、平成24年度 国立天文台予算として 大型光学赤外線望遠鏡「すばる」共同利用研究の中に「超大型望遠鏡建設の革新 技術の実証」として2億円が措置されたこと、また日本学術会議および文部科学省 学術審議会研究環境基盤部会「学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会」 から、それぞれ計画推進に向けた強い後押しを戴いたことを踏まえ、国立天文台と しての決意を反映した措置です。

国際パートナーの役割分担の確定、建設予算の確保、計画推進体制の強化など プロジェクトの本格発進まで、今後も山あり谷ありだと想いますが、推進室一同、 皆さんのご支援・ご協力を戴いて計画実現に邁進しますので、どうぞよろしくお願い します。

TMT推進室長  家 正則

[2] 報告: 会合「TMT計画:この半年の新展開と当面の予定」(2012/3/2、三鷹キャンパス)

TMT計画をめぐっては、この半年で日本の役割分担の検討が大きく進むととも に、予算状況についても大きな進展がありました。計画の進捗状況を報告し、今 後の検討課題について議論する会議が光赤天連・TMT室の主催で開催され、60人 以上の参加で熱心に議論がかわされました。

TMT室からの報告では、TMT計画の概要(サイエンス、望遠鏡、装置、建設計画 など)が説明されました。そのなかで、当面は4月のNSFへの提案書提出とそれに むけたMOUが重要であること、そのなかで日本としては望遠鏡構造と主鏡製作の 一部の分担が検討されていることが報告されました。また2012年度には国立天文 台は主にこれらの開発を進めるという計画が示されました。このほか、TMT推進小委員会や装置検討会の報告、すばる望遠鏡の運用との関係でハワイ観測所長からの報告、および大学グループとの連携についての提案がありました。

これをうけて、日本の分担と望遠鏡時間の配分の関係や、観測提案への観測時 間割り当てプロセスといった問題について議論がありました。また、大規模な計 画のなかで大学の研究者や大学院生がかかわっていくためのしくみづくりについ ての意見や提案が出されました。

[3] 報告: 第2回すばる公開講演会 (2012/3/4、一橋記念講堂)

3月4日(日)に、一橋記念講堂(東京都千代田区)において第2回すばる望遠鏡 公開講演会が開催されました。今回のテーマは、「宇宙史のなかの銀河とブラッ クホールの生い立ち」で、国立天文台ハワイ観測所の有本信雄教授、児玉忠恭准教授、TMT室の柏川伸成准教授がすばる望遠鏡による観測成果とTMTで期待される研究を講演しました。

この講演会には約330人の参加があり、熱心にメモをとったり、終了後に講師 に質問をしたりする姿も見られました。会場ではTMTの応援メッセージ(注)も多 数いただくことができました。

講演会の内容・案内は以下のページからご覧いただけます(近く報告も掲載予定です)。
https://tmt.nao.ac.jp/researchers/info/2012/02-27_02.html
(注)TMT応援メッセージ

[4] 報告: 日本天文学会春季年会でTMT特別セッション (2012/3/21、龍谷大学)

2012年日本天文学会春季年会の3日目、3月21日 15:45から約1時間半、TMT特別 セッションがH会場で開催されました。最初に、家正則・国立天文台TMT推進室 長から、TMT計画の概要、現在の検討状況の報告がありました。続いてTMT時代 のサイエンスを共有するために2名のスピーカーを招待し、それぞれの分野の 展望を語ってもらいました。IPMUの吉田直紀氏は、太陽系から初期宇宙に至る まで、TMTで期待されるサイエンストピックスをダイジェストで紹介し、TMTで 実現できるサイエンスが天文学の幅白い分野に及ぶことを示しました。国立天 文台の成田憲保氏は、主に系外惑星探査に焦点を絞り、現在進行中あるいは将 来の系外惑星探査計画を絡めながら、 特に地球以下のサイズの惑星や生命居住 可能領域にあるとみられる惑星についての飛躍的な理解が期待できることを紹介 しました。

参加者は 200名を優に超え、講演室は立ち見がでるほど盛況でした。光赤外関 係者に限らず、幅広い分野の研究者の方が参加してくださり、TMT計画参加へ 向けての天文学コミュニティーとしての意欲と期待が強く感じられました。 今後もこの特別セッションを通じて、計画の現状、検討状況を報告していくと ともに、様々な分野の研究者が積極的に参加する機運を盛り上げていきたいと 考えています (世話人:柏川伸成、児玉忠恭)

また会期中、受付の近くの展示ブースにおいて、国内で行われたTMT主鏡の1セグ メントの試作品(対角1.44m 六角形・4.5cm 厚・極低膨張ガラス製; 表面を非球面光学 研磨)の展示が行われました。実際に現物を目の当たりにして、TMT計画を現実の ものとしてとらえられた方や、実際に492枚のセグメントが並んだ壮大な光景を思い 浮かべる方もいたようです。TMTプロジェクトへの日本の寄与の進展を実感していた だけたのではないでしょうか。
https://tmt.nao.ac.jp/researchers/info/2012/03-30.html

[5] 最近の活動・報告/今後の予定

(最近の活動・報告)


[2012年]

2/28-3/1 すばる望遠鏡ユーザーズミーティング
3/2 会合「TMT計画:この半年の新展開と当面の予定」
3/4 第2回すばる公開講演会
3/21 日本天文学会春季年会でTMT特別セッション
4/2 TMT推進小委員会

(今後の予定)
4/4-5 TMT-SAC
4/10-11 TMT ボード会議
6/6   TMT装置検討会

No.312012年2月25日(旧Jelt News Letter)

  • [1] お知らせ: 会合「TMT計画:この半年の新展開と当面の予定」(2012/3/2、三鷹キャンパス)
  • [2] お知らせ: 第2回すばる公開講演会 (2012/3/4、一橋記念講堂)
  • [3] お知らせ: 日本天文学会春季年会でTMT特別セッション (2012/3/21、龍谷大学)
  • [4] 報告 : TMT Science Advisory Committee (SAC) 2012/1/11-12
  • [5] 報告 : TMTボード会議 2012/1/30-31
  • [6] 最近の活動・報告/今後の予定

[1] お知らせ: 会合「TMT計画:この半年の新展開と当面の予定」

日時:3月2日(金) 9:30-12:30
場所:国立天文台三鷹キャンパス すばる棟 大セミナー室
主催:光赤天連、国立天文台TMTプロジェクト室
https://tmt.nao.ac.jp/researchers/info/2012/03-02.html

TMT計画をめぐっては、特に日本の役割分担の検討や予算状況について、この 半年で大きな進展がありました。昨年後半期から進められてきた、文科省、財務 省との予算折衝の結果、TMT計画を推進するにあたって非常に前向きな大きな一 歩を踏み出すことができました。しかしながら近年の厳しい財政を鑑みるに、TMT 計画のような大型プロジェクトを進めるには、すばる望遠鏡とTMTとの一体 運用等、国立天文台組織の再検討をせざるを得ないことも改めて認識されまし た。一方でTMT計画全体の中では、パートナー間での役割分担も見直されてお り、それに沿って日本の分担内容の具体的な検討も進んでいます。今年の3月末 には各国の役割分担を決定し、7月には米国NSF によるTMT/GMTの選択が行われる 予定です。TMT計画が大きく動き出す次の半年を前に、これまでの進捗と現状を コミュニティの皆さんと共有し、当面検討すべき事項について集中的に議論をす る会議を開催いたします。(参加申し込み等は特に必要ありません。)

[2] お知らせ: 第2回すばる公開講演会

2012年3月4日 (日) 13:30 - 16:15 (開場13:00)
一橋記念講堂
東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術情報センター2階
地下鉄神保町駅 A8 出口から徒歩3分/竹橋駅 1b 出口から徒歩4分
(※ お申し込みは不要です。会場に直接お越し下さい。)

TMT室のページ
すばるのページ
※すばるのページでは講師による概要紹介が動画ご覧いただけます。

第2回すばる望遠鏡公開講演会が開催されます。今回は、「宇宙史のなかの銀河とブラックホールの生い立ち」というテーマで、3人の天文学者がすばる望遠鏡による観測成果とTMTで期待される研究をお話しします。

[3] お知らせ: 日本天文学会春季年会でTMT特別セッション

きたる3月、日本天文学会春季年会において、TMTに関わる第1回目の特別セッションを以下の要領で開催いたします。みなさまの積極的な参加をお待ちしております。

日時 : 2012 年3 月21 日(水)15:45 ~ 17:15(懇親会前!) 
場所 : H会場
概要 : 国際プロジェクトであるTMT(30m 地上大型望遠鏡計画) の設計は急ピッチで進んでおり、日本もまた、プロジェクトのメジャーパートナーとして、これを本格的に進めることを目指しています。今回の特別セッションでは、TMT 計画の現状を報告するとともに、天文学の新しい展開が期待されるいくつかのTMTキーサイエンスについて広く天文学コミュニティのみなさんにご紹介したいと思います。TMT 計画の実現のためには、日本にとって、今こそ開発・研究体制に大きな変革が必要です。今後日本がどのように具体的にこの計画に寄与し、どのような科学運用を推し進めていくべきか、についての議論を通じて、様々な分野の研究者が積極的に参加する機運を盛り上げていきたいと思います。

講演1: 家正則(国立天文台) 『次世代超大型光赤外線望遠鏡TMT計画』TMT(Thirty Meter Telescope)計画の科学目的、建設予定地、基本性能仕様、望遠鏡構造、主鏡方式、ドーム構造、観測装置、推進組織、国際パートナー、スケジュール、予算要求状況、国際役割分担、運用方針についての検討状況をご紹介致します。この流れの中で、日本の分担内容とその実行組織強化の検討状況についても報告し、迫り来るTMT時代への展望を共有していただきます。

講演2: 吉田直紀(IPMU) 『TMTで探る宇宙と銀河の進化』現在の宇宙に見られる多様な天体はどのように生まれ、進化してきたのか。TMTは宇宙初期に生まれた天体を捉えることができるだけでなく、137億年の宇宙進化の様々な時期に存在した天体の姿を明らかにすると期待されます。星や銀河、ブラックホール、そして銀河間ガスの進化の謎に迫るTMT時代の宇宙観測を解説します。

講演3: 成田憲保(国立天文台) 『TMTで見る太陽系外惑星』太陽系外惑星の研究は近年急速に進んでおり、今では地球やそれ以下のサイズの惑星や生命居住可能領域にあるとみられる惑星も発見されてきています。TMTの登場はこうした興味深い太陽系外惑星の姿をより詳しく見る手段を与えてくれます。本講演では、現在行われているあるいはTMT稼働前に行われる見込みの系外惑星探査計画を絡めながら、TMTによってどのような研究を行うことができるのか紹介します。

(世話人:柏川伸成、児玉忠恭)

[4] 報告 : TMT Science Advisory Committee (SAC) 2012/1/11-12

1/11-12に、TMT SACがハワイ島コナにて開催されました。日本からは、秋山(東北大学)・家・臼田・柏川(国立天文台)が参加しました。

  • 4月提出予定のNSFプロポーザル作成に向けて、TMTの長所を最大限アピール すべく、サイエンス、技術革新、他計画とのシナジー、スケジュール・コスト の妥当性、社会への発信、教育、などに至るまであらゆる観点での、TMTの特徴 をSACから提言しました。これらを盛り込んでプロポーザル作成が行われます。
  • WFOS(MOBIE)について、昨年のコストレビューで厳しい予算削減の勧告を受け て以来、コストダウンに向けての検討が引き続き行われています。WFOS装置 チーム/サイエンスチームとしては、視野を約62%に小さくした(25arcmin^2) "Optimal model"を提案しており、これ以上のスペックダウンは望ましいもの ではないと表明しています。しかしこれでは9M$のコストダウンにしかならず、 ボードの求める約20M$の削減とは折り合っていません。今後も引き続き議論する 予定です。
  • MIRの"Daytime observing"について初期検討が報告されました。MIR域では朝 9:00くらいまで有効な観測条件を保ち続けることから、この時間帯に積極的に MIR観測をしてはどうかという検討が始まっています。様々な具体的サイエンス ケースが挙げられる一方、AOへの影響、運用形態・コストへの影響が懸念され ています。今後はこのバランスをみながら実行プランを立てていくことになり ます。
  • IRISの概念設計レビューにおける評価を受けて、現在のIRIS+NFIRAOSで系外 惑星研究はどこまでできるか初期検討が報告されました。具体的なサインエンス ケースを明らかにしながら、IRISサイエンスチームと共同で検討を続けます。 また同じく概念設計レビューで指摘されたことですが、特に天体が混んだ領域 での測光・位置決定精度を検討する必要があります。この具体的な作業をする マンパワーが各パートナーに求められています。興味のある方はこちらまで ご連絡ください。

[5] 報告 : TMTボード会議 2012/1/30-31

NSFへの共同提案書は4月16日に提出、NSFの評価結果は7月31日に議会に報告されることを確認しました。懸案となっているTMT完成後の望遠鏡時間配分方針について、カリフォルニア側と国際パートナー側とで見解の不一致があり継続審議となっています。建設認可への反対訴訟はハワイ州法廷で却下されました。TMTのSAC次期委員長は日本から推薦することとなりました。各パートナーの貢献内容の確認・調整を継続しています。日本は望遠鏡本体の分担内容の具体化を詰めています。隔週開催の国際代表者電話会議で、4月上旬の覚書合意署名を目指して、残る課題について協議を続けることとなりました。

[6] 最近の活動・報告/今後の予定

(最近の活動・報告)
[2012年]
1/11-12 TMT SAC (上記)
1/27 TMT推進小委員会
1/30-31 TMT ボード会議 (上記)

(今後の予定)
[2012年]
2/28-3/1 すばる望遠鏡ユーザーズミーティング
3/2 会合「TMT計画:この半年の新展開と当面の予定」
3/4 第2回すばる公開講演会
3/21 日本天文学会春季年会でTMT特別セッション
4/10-11 TMT ボード会議