常田台長がTMT国際天文台のラボを視察
9月20日に、米国カリフォルニア州モンロビアにあるTMTのラボを国立天文台の常田台長が視察しました。このラボでは、TMTを構成する様々な要素の開発研究、試作と試験が行なわれています。
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輸送用コンテナに収められた、分割鏡支持機構(SSA)の前に立つ常田台長(中央)。 ラボの責任者で、安全・衛生・品質保証グループ長のロバート・アンダーソン氏(左)が、案内しました。右はTMT副プロジェクト・マネジャーのフェンチャン・リウ氏。
TMTの主鏡は492枚の六角形の分割鏡から構成されます。それぞれの分割鏡の下には、分割鏡の位置や鏡面歪みを補正するための、分割鏡支持機構(SSA)が取り付けられます。このようにSSAが取り付けられた状態の分割鏡をPMA(Polished Mirror Assembly)とよびます。
SSAはインドで製造され、分割鏡の研磨を担当する、日本、米国、中国、インドへ輸送されます。各地で研磨された分割鏡はSSAに搭載され、PMAの状態になってから米国ニューヨーク州のロチェスターに輸送され、仕上げの研磨加工が行なわれます。そして、最終的には、望遠鏡へと送られます。このように世界各地を輸送する間に、SSA、PMAが破損や劣化をしないような輸送コンテナを設計・製作し、その安全性を検証することも、ラボで行なわれています。
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PMAの試作品 2機。分割鏡はクリアセラム製のガラスではなく、同じ重量のアルミニウムです。 常田台長は、SSAのワーピングハーネス(鏡面歪みを補正するための板バネ機構)の環境耐久性試験など、ラボでの多岐にわたる活動を視察しました。
ラボでは、このときは3機のPMAが試作され、主鏡セルのテストベッドに搭載されていました。最終的には7機のPMA試作品をテストベッドに搭載し、主鏡制御システムの試験が行なわれる予定です。
(写真提供:TMT国際天文台)
(Photo courtesy of TMT International Observatory)
参考:TMT Board of Governor Member Dr. Saku Tsuneta Visits TMT Technical Lab (TIOウェブサイト)