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地球の裏側とも 「ふれあい天文学」

投稿者:TMTプロジェクト

国立天文台が毎年開催している天文学の出張授業「ふれあい天文学」は昨年に引き続き、今年もコロナ対策としてオンライン主体での開催となりました。対面での授業が制限される一方で、オンラインの授業により、海外に勤務する者も帰国することなく講師として参加できるようになり、対象の学校も海外の日本人学校や日本語補習校などに広がっています。

TMTプロジェクトの能丸(ハワイ勤務)は、2021年11月から2022年2月にかけて、国内2校と海外2校向けに授業を行いました。11月の授業の時にはたまたま日本に帰国していましたが、自己隔離中だったので自宅からオンラインで、そのほかの授業はハワイからオンラインで実施しました。

今回は担当した学校のひとつ、フランスの北部にあるノールパドゥカレー補習授業校向けの授業について書きます。この学校は、昨年に能丸が担当したイスタンブールの補習授業校向けのオンライン授業に参加されましたが、今年は初めて単独でふれあい天文学に参加されました。こういった相乗りが簡単にできるのもオンライン授業のいいところです。授業に参加されたのは先生方と小学校1年生から中学校3年生までのおよそ25名で、3つの教室からそれぞれオンライン会議につなぎました。授業では太陽系の大きさを実感できるような自作ビデオを上映したり、太陽系の要素から恒星、銀河まで様々な天体についての話をしたりし、最後は最近増えている宇宙旅行のロケットについて話をしました。ハワイから見るとフランスはほぼ地球の真裏になります。そこの生徒さんにリアルタイムで授業ができるというのは考えただけでもわくわくしました。授業は12月でしたのでフランスはきっと寒かったことと思いますが、私は半そでのアロハシャツ姿でした。よくあいさつのときに「今日は寒いですね」などと言って共通の話題を見つけようとしますが、それが通用しないのがオンライン授業です。

太陽系の大きさを実感してもらうために自作した動画の一場面。

授業のあと、学校の先生から郵便が届きました。生徒さんが授業のあとに書いた感想文が封筒に入っていました。オンライン授業では教室の雰囲気や生徒さんの顔はよく見えませんので、こういった感想文は授業がどの程度生徒さんの間に浸透したかを知る手がかりになります。絵を描いてくれた生徒さんもいましたし、「アンドロメダ」のそれぞれの文字で始まる文を並べてくれた生徒さんもいました。読んでいてとても楽しかったです。

授業の感想がつづられた、ノールパドゥカレー補習授業校の生徒さんたちからのお手紙

授業のあとにはいつも、天文学者は得をしているな、と思います。子どもたちの多くが興味を持っている分野だからです。人気者は講師ではなくて天文学です。これはきっとほかの学問の先生方がうらやましがっていることだと思います。その上にアグラをかくのではなく、より多くの人々に天文学のすばらしさを伝えられるよう、努力したいと思います。

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