母島でふれあい天文学(小笠原報告その1)
国立天文台のふれあい天文学と、VERA小笠原局の特別公開スターアイランド2017のお手伝いのため、TMT推進室の林が1月に東京都小笠原村に伺いました。3回に分けてその様子をご紹介します。第1回は最初に訪問した母島でのお話、第2回が次に訪問した父島での学校の様子、そして第3回がスターアイランドのご報告になります。
星はすばる…として、昔から日本の人々が親しんできた星団。これを地元ではどう呼んでいるでしょう。またこうした星の集まりにも、太陽系のように惑星を持つものがあるでしょうか。自分たちの住んでいる環境と似た所が、この宇宙のどこかにあるでしょうか。今回の出前授業でも、さまざまなお話の材料とともに、光についての実験用紫外線ビーズや蓄光ビーズを詰めたキットを持参しました。
2年前にTMT推進室の原川が訪問したときに比べ、新造された「おがさわら丸」のおかげで、竹芝桟橋から父島まで安定した24時間の航海に短縮されていました。父島の二見港に着いて、「ゆり丸」(※)に乗り換え、美しい青海原を見ながら母島へ。
母島では、中学校と小学校をお訪ねすることになっていて、港に担当の先生方と校長先生のお出迎えをいただきました。まずは学校の下見と、授業の内容について最終的な打ち合わせ。
1月15日の午後、母島中学校の全校生徒の皆さんに系外惑星や最近話題になった恒星間物体のお話をしました。 「今までで一番すごいと思ったものは何か?」「星空がきれいなところはどこか?」「今までに変な生き物を見たことがあるか?」といった質問が出ました。「星空がきれいに見えるためにはどういう条件を満たす必要があるだろうか?」、皆さんの意見をまとめていくと、つまり母島がいいところなんだね、と納得。校長先生の2学期終業時の講話で宇宙に見えないものについてのお話しがあったことを思い出してもらい、「見えるもの」「見えないもの」についても考えてみました。
翌日1月16日は母島小学校3-6年生と、星座について考えてみました。「夏の大三角は何度も見たよ。星座の名前も覚えているし。」、「じゃ冬の大三角は?」「冬の有名な星座の中には星が生まれるところがあるぞ」「色が違うことにも気づいているかな?」、「よーし、今夜の星空見てみよう」。質問では、「どうして天体には星のように丸いものが多いのか?」「この宇宙にはいくつ銀河があるか?」。さらに「どうして天文学ではまだ謎が多いのか?」、これにはなかなか困りました。いろいろなことがわかるようになってきても、まだ「その先はどうなっているの?」と知りたがりなのが人間なのです。
※ 普段は「ははじま丸」で母島へ向かいますが、このときは「ははじま丸」がドック入りしていたため、「ゆり丸」が代船でした。