熊本県・苓北町でふれあい天文学

10月18日、熊本県天草郡苓北町の苓北中学校にて、TMT推進室の青木が「ふれあい天文学」授業を行いました。3学年あわせて200人弱の生徒さんに、学年ごとに50分ずつお話しました。

授業では、星は何からできているのか、という話を通して、私たちと宇宙の結びつきを紹介しました。関連して、この授業の前日に大きなニュースになった、連星中性子星の合体からの重力波と光の検出について紹介し、そこで金やウランなどの重元素が作られた可能性があるという話もしました。前日のニュースでしたが知っている生徒さんもいて、すばる望遠鏡での観測成果を紹介するよい機会をいただけました。

授業に先立ち、学校の先生にお願いして天文・宇宙に関するアンケートもとってもらいました。「宇宙を身近に感じるのはどんなときか?」という質問に対しては、「感じたことはない」という(素直に考えればもっともな)回答もありましたが、一番多かったのは「きれいな星空を見るとき」という回答でした。あいにく私が訪れたときは天候が悪かったですが、おそらく夜には星空がきれいなところだろうと想像しました。「知っている望遠鏡」では、すばる望遠鏡がやはり多く、TMTの知名度はまだ低かったのですが、TMTについて紹介させていただいたので、今後興味をもってみてもらえることを期待しています。

最後に、アンケートによせられた質問に時間の許す範囲で答えました。一番多かったのは「宇宙人はいるのですか」という類の質問で、最近の系外惑星の観測や太陽系の惑星・衛星探査で現実味を増してきている生命の探索への興味の高さがうかがわれました。

この「ふれあい天文学」には、TMTへの寄付金を活用させていただきました。

三鷹・星と宇宙の日2017

国立天文台 三鷹キャンパスの、年に一度の特別公開 「三鷹・星と宇宙の日」。TMT推進室では、今年は2つの参加型企画を準備しました。
まずは、恒例となりつつある「TMTクイズ」。今年は、TMTのヒミツ(答え)が分かる2分間の動画を作りました。子どもも参加できるよう、問題や動画にふりがなをふったり、ディスプレイの角度を調整したりしましたが、難しかったという大学院生(!)もいました。でも、「テスト」ではなく「クイズ」ですので…

答えが分からなくても、後で詳しい解説がもらえるから大丈夫。

答えが分からなくても、後で詳しい解説がもらえるから大丈夫。

TMTクイズのあったすばる棟では、この他にもTMTとすばる望遠鏡を紹介する様々な企画があり、TMT推進室のメンバーも参加していました。

大人気の天文カードゲーム「アンドロメダファンタジー」。謎の仮面ファイター「すばるマン」がMk IIに進化していました。

大人気の天文カードゲーム「アンドロメダファンタジー」。謎の仮面ファイター「すばるマン」がMk IIに進化していました。

サイエンスカフェではホットな話題とクールな話題のどちらも提供します。全体テーマが「熱い宇宙・冷たい宇宙」だったのに合わせて、壁には様々な天体や観測機器の温度が列挙されていました。

サイエンスカフェではホットな話題とクールな話題のどちらも提供します。全体テーマが「熱い宇宙・冷たい宇宙」だったのに合わせて、壁には様々な天体や観測機器の温度が列挙されていました。

「分光器を作っていろいろな光を見よう」では、はさみやカッターを使わずに簡易分光器が作れるように工夫して、大人から子どもまで楽しめる企画になりました。

「分光器を作っていろいろな光を見よう」では、はさみやカッターを使わずに簡易分光器が作れるように工夫して、大人から子どもまで楽しめる企画になりました。

すばる望遠鏡でのお仕事を紹介して、メッセージを書いてもらう企画。集まったメッセージはハワイ観測所へ届けます。

すばる望遠鏡でのお仕事を紹介して、メッセージを書いてもらう企画。集まったメッセージはハワイ観測所へ届けます。

マウナケアの自然と文化について紹介するパネルや、TMTの観測装置についての紹介パネルもありました。

マウナケアの自然と文化について紹介するパネルや、TMTの観測装置についての紹介パネルもありました。

このように企画が盛りだくさんで、小雨が降ったり止んだりとすっきりしないお天気だったにも関わらず、すばる棟は来場者とスタッフの熱気があふれていました。

一方、TMTの分割鏡試作品がある展示室では、今年はTMT主鏡にちなんだ企画をやりました。

492枚の分割鏡カードを並べて、TMTの主鏡モデル(1/25スケール)を完成させます。このカード、厚みも大体1/25になっているので、分割鏡の薄さを手にとって実感できます。

492枚の分割鏡カードを並べて、TMTの主鏡モデル(1/25スケール)を完成させます。このカード、厚みも大体1/25になっているので、分割鏡の薄さを手にとって実感できます。

初日の終了時と、二日目 昼頃の途中経過。外側に行くほど一周するのに時間がかかるようになるので、無事に492枚が貼られるか心配しましたが...

初日の終了時と、二日目 昼頃の途中経過。外側に行くほど一周するのに時間がかかるようになるので、無事に492枚が貼られるか心配しましたが...

終了時までに492枚を超えるメッセージをいただき、TMTを超える主鏡モデルになりました。メッセージから多くの来場者の方が早期の完成を望まれていることがわかり、心強く思いました。カードに惑星や銀河の絵を丁寧に描いてくれた子もいました。

終了時までに492枚を超えるメッセージをいただき、TMTを超える主鏡モデルになりました。メッセージから多くの来場者の方が早期の完成を望まれていることがわかり、心強く思いました。カードに惑星や銀河の絵を丁寧に描いてくれた子もいました。

大人から子どもまで楽しめる、三鷹・星と宇宙の日。来年は(も)、ぜひご来場ください。

IRISの基本設計審査会第二弾

TMTの第1期観測装置の一つであるIRIS (InfraRed Imaging Spectrograph、近赤外線撮像分光装置) の基本設計審査会第2弾が9月20日、21日に、パサデナのTMT国際天文台で開催され、無事審査を通過しました。今回の審査対象はソフトウェア、電気系設計、システムエンジニアリング (コスト、スケジュール、リスク管理、要求仕様、インターフェースなど) でした。審査員長にE-ELTのMICADOというIRISに類似した観測装置の研究開発責任者を迎え、総勢8名の審査員によって審査されました。IRISの撮像系を担当する国立天文台からは2名 (ソフトウェア担当者と撮像系研究開発責任者)が参加しました。

今後は、約3年間の詳細設計段階に移行します。いよいよ、IRIS撮像系の製造を見据えた要求仕様やインターフェースの確定、技術検討、設計が始まります。

カリフォルニアでTMTリーダー育成のための国際研修会

TMTの将来を担う若手研究者・技術者向けの国際研修会がカリフォルニア大学サンタクルーズ校で開催され、TMTパートナー各国から約40名の大学院生と若手研究者が参加しました。TMT計画には様々な専門分野だけでなく、多様な文化背景を持つ人々が関わっています。この研修会は、TMT計画での研究や開発の専門知識を学ぶだけでなく、多様な文化的背景の人間がチームを組み物事に当たるために何が必要か参加者それぞれが考え実践する機会となりました。この研修会は昨年第1回がハワイ島ヒロで開催されました。今年はカリフォルニア大学サンタクルーズ校で土日を挟んで6日間かけて開催され、日本からはTMT推進室研究員の久保の他7名が参加しました。カリフォルニア大学サンタクルーズ校は野生の鹿やリス、時には七面鳥の群が横切る緑豊かなキャンパスですが、最先端の天文学者が集うTMTの非常に重要なパートナーの一つです。

参加者がグループを組んで課題に取り組み、活発な議論が行われました。専門分野も文化も違う人たちが意見をまとめていかねばなりません。

6日間のプログラムでは、国際協力による大型計画に必要な管理・運営手法、観測装置・ソフトウェア開発などをTMTスタッフから学ぶと共に、グループごとに課題に取り組む機会が多く設けられました。グループセッションでは、研究者・技術者・国籍の入り混じったグループに、TMT将来装置の設計やプロジェクトマネジメントのシミュレーション、実際にTMTで課題となっている幾つかの問題の解決策といった課題が与えられました。問題へのアプローチにも文化的な違いが有り、それらをまとめる難しさと、様々な視点で見ることの重要さ、面白さを学びました。

また、中日にはポスターシンポジウムが開催され、参加者それぞれの研究を知る機会となりました。他にもカリフォルニア大学サンタクルーズのTMTに関連した実験室見学や、日曜日には近郊のリック天文台での観測ツアーも行われました。

将来TMTに関わる研究者となるためだけでなく、今抱える研究課題を進めるためにも若い研究者に有益なことが学べたと思います。今後も継続的に開催されればと期待しております。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校は自然がいっぱい。キャンパスでハイキングを楽しむ参加者もいました(道に迷っていたのかもしれません)。

TMT推進室 久保真理子