ハワイ島へ出前授業

2018年 ハワイ島東部での集中的な出前授業(Journey through the Universe)に、TMT推進室から林と臼田の2名が参加し、のべ5日間で3つの学校の11クラスを訪問しました。

林は、最近見つかって来ている興味深い天体や、望遠鏡にも関わるような理工系の職について紹介をしました。この1年の間に重力波、しかもブラックホール合体によるもの(重力波しか検出できない)に加えて、中性子星合体によるもの(重力波に加え、可視光/赤外線などの電磁波でも検出できる)が見つかったり、太陽系の外からやってきた小天体がわかったり、と大きなニュースがありましたね。いずれのケースも、ハワイにある望遠鏡群が深く関わっています。望遠鏡がある地元の子どもたちにとって、専門家と直接話しをし、ふだん疑問に思っていることにも答えてもらうチャンスとして、たいへん喜んでもらえました。

カラニアナオレ小中学校の7年生(日本の中学1年生に対応)への授業

授業の最初に、生徒さんたちが手作りのレイで歓迎してくれました。

臼田はヒロ中学校の3クラスを訪問しました。

世界天文コミュニケーション会議 2018

3月24日-28日にかけて世界天文コミュニケーション会議(CAP:Communicating Astronomy with the Public)が福岡市科学館で開催され、TMT推進室からは青木、石井、林の3名が参加しました。

CAPは、天文学に携わる総ての人と一般社会とのコミュニケーションに関する最近の取り組みについて、様々な意見や経験を交換する場として、国際天文学連合により設立された国際会議です。第7回となる2018年の会議には、世界各国から400名以上の研究者、科学コミュニケーター、科学館・教育・広報・報道関係者などが集まり、天文学コミュニケーションに関する経験や研究、課題について発表しました。アジアでは2011年の北京に次いで2度目、日本では初の開催ということで、アジアからと日本からの参加者も多かったです。日本国内でも多様なグループが活発な活動をしていることを国外に印象づけることができました。TMT推進室からは、石井が国内でのTMT広報普及・教育活動全般について、青木が建設地問題に関連した広報活動について話しました。4日目のworkshop dayには、林が大望遠鏡の観測成果をいかに地域へ伝えるかというテーマでワークショップを行いました。また、同日に、大規模な国際サイエンスプロジェクトで教育・人材育成・広報普及活動をどうすれば有効に行えるかというテーマのワークショップもTMT国際チームによって開催されました。

TMT国際チームによって開催されたワークショップでは、教育の状況や文化の異なる国の間での科学協力において、人材育成や広報普及活動を進める際にどんな課題があるか、グループ討論を行いました。討論は短時間に限られましたが、コミュニケーションを仕事としている人の集まりだけあって、活発な意見交換と要領のよい討論のまとめが行われていったのはさすがでした。

TMT国際チームによって開催されたワークショップでは、教育の状況や文化の異なる国の間での科学協力において、人材育成や広報普及活動を進める際にどんな課題があるか、グループ討論を行いました。討論は短時間に限られましたが、コミュニケーションを仕事としている人の集まりだけあって、活発な意見交換と要領のよい討論のまとめが行われていったのはさすがでした。(撮影:Samir Dhurde)

 

世界各地の様々な文化、年齢、価値観の人々と、どのように天文学の成果や楽しみを共有するか、様々な試みが行われていることを見聞きし、とても刺激的な5日間でした。

会場となった福岡市科学館は、昨年オープンしたばかり。ちょうど特別展として「恐竜展」を行っていたせいか、館内のあちこちに「恐竜」がいました。

会場となった福岡市科学館は、昨年オープンしたばかり。ちょうど特別展として「恐竜展」を行っていたせいか、館内のあちこちに「恐竜」がいました。

 

2017年度の講演会まとめ

TMT推進室では、講演会、出張授業、サイエンスカフェなどあらゆる機会をいただいて、次世代の超大型望遠鏡TMTが果たす役割について広く皆様にお伝えするよう心がけています。

2017年度は13都道府県とハワイ島で約65件の講演を行いました。ふれあい天文学では、八丈島や、小笠原など、普段はなかなか行く機会がない場所でもお話しをさせていただきました。

講演を依頼される方は、TMT推進室の電子メールアドレス、または電話でお気軽にお問い合わせください(TMT講師派遣プログラムの問い合わせフォームは現在閉鎖しております)。ふれあい天文学を通じた出張授業も行っております。

今年度も、TMTが解き明かす宇宙の謎について全国の皆さまにお話しする機会を楽しみにしています。

スターアイランド2017(小笠原報告その3)

小笠原村の父島には、国立天文台のVERA小笠原局があります。これは日本国内4箇所に設置した同型の電波望遠鏡で同時に観測を行い、超巨大な電波望遠鏡として機能できるようにしているものです。ここで年1回、地元の方々へのお礼の気持ちを込めて、観測所公開など一連のイベントが行われます。

まず1月19日の夜、海辺の小笠原ビジターセンターで宇宙講演会。 「太陽系外に小笠原父島を探す」 を題材に、学校の先生や自然ガイドの方も含む30人ほどのお客様に林がお話をしました。TMTでは生命の存在が可能であるような惑星、宇宙の一番星や最遠方の天体など、天文学の根本に関わるような大きなテーマでの研究を、格段に進めることができます。そしてこのハイテクの望遠鏡づくりには、日本の技術が大きな貢献をします。地球に似た環境を探そうとしているということで、親しみを感じていただくことができたようです。また大人の方が多かったので、職場や職業についても紹介させていただき、望遠鏡の建設や運用にはいろいろな専門家を必要とする面でもご理解をいただくことができたと思います。

1月20日土曜日、いよいよVERA小笠原観測局の特別公開です。ふだんの運用を担って下さっているレオニド社のお2人と、水沢VLBI観測所や野辺山からの応援スタッフがテント張り、模型などの設置、など万全の備えを済ませて、お客様をお待ちしました。シャトルバスも出ます。朝方、まるで露払いのようにシャワーがありましたが、あとは終日良いお天気に恵まれました。

林はこの日に2回のミニレクチャーを行い、可視光や赤外線による観測でどのようなことが明らかにできるのかを「夜空に光るもの、光らないもの」というタイトルでお客様といっしょに考えていきました。これは、他の2人の講演者が電波観測に関わるお話をすることと相補的なものです。

さっそく質問が。「TMTはどのような条件のところに作るのか?」、「もう建物ができたのか?」。これは完成予想図があまりにもリアルであったようです。「TMTの鏡の研磨精度」や「六角形への加工時に壊さないか?」という質問には、まさにそのことへの配慮から、特別な方法で整形することをお伝えしました。「どうやって輸送するのか?」「なぜレンズじゃなく鏡なのか、他に光を集める画期的な方法が無いのか?」「なぜ天文学を志したのか?」。朝いちばんのミニレクには、前夜の宇宙講演をかぶりつきで聞いていた小学2年生が、また最前列に座って聞いてくれました。

ミニレクの合間に、TMTのポスター前に立ち、隣にあるVERAの成果も合わせてご説明をしました。 何しろオリオン大星雲の奥深くで起きている現象の詳細を明らかにしたのはVERAですから。お客様の中には観光で小笠原を訪れている高校地学の先生もいらっしゃり、ずいぶん突っ込んだ議論をすることができました。

この日は、インフルエンザ流行により学校のイベントがキャンセルになるほどで、外出も控えなければならないという事情があるにもかかわらず、地元人口の10パーセントほどに相当する人数のお客様が来訪されたとのことです。特に親子連れが多い、滞在時間が長いということで、しっかりお話ができました。地元に根付いた活動として親しまれていることを強く実感しました。

1月20日夜、天文倶楽部による星空観望会に押しかけ。美しい砂浜から南の星空を堪能できます。VERA特別公開で八面六臂の活躍をしていたレオニドの方が続けて星空案内。関東平野ではなかなかお目にかかれないカノープスを、思いっきり見ることができました。

1月21日早朝の番外編です。スターアイランドに参加したスタッフや学校の先生たちと、南の空が良く見えるところで夏の星座を楽しみました。高く上がるサソリ座、さらにケンタウルス座も見えました。ケンタウルス座の一番明るい星の近くにあり、太陽系から最も近い恒星(プロキシマ・ケンタウリ)には惑星があることが知られています。将来、人類がそこに行ってみることができるようになるでしょうか。