望遠鏡と装置開発の国際学会に参加(全体組織委員会)

オースティンで開催された、SPIE Astronomical Telescopes + Instrumentation(以下 SPIE)2018の5日目に、次回 2020年のSPIEが横浜で開催されることが、全体組織委員会で正式に承認されました。東京オリンピック開催の1ヶ月前、2020年6月14日-19日にパシフィコ横浜での開催となります。

2年ごとに開催されるSPIEは、1980年代から北米と欧州とでほぼ交互に開催されてきました。1996年以降SPIEの組織委員を務めてきた家から2012年のSPIE日本開催を提案し、一旦合意されたのですが、2009年の金融恐慌のため実現しませんでした。SPIE2016 エディンバラで再び全体組織委員長を務める機会があり、SPIE2020の日本開催を提案し、今回の運びとなりました。

SPIE2020 横浜では、国立天文台の井口聖氏とジェミニ天文台のAlison Peck氏が全体組織委員長を務めます。観測天文学界では初めての大規模な国際会議の日本開催となるため、今後、現地組織委員会(LOC)を組織し準備を進めることになります。

元SPIE全体組織委員長、日本政府観光局MICEアンバサダー 家正則

SPIE2018 全体会議で、次回 2020年の開催地を告げる井口聖 全体組織副委員長 (写真提供:SPIE)

望遠鏡と装置開発の国際学会に参加(主鏡編)

アメリカ テキサス州のオースティンで6月に6日間にわたって開催されたSPIE Astronomical telescopes + instrumentationは、世界各国からの天文光学関係者が集まる研究大会です(※)。望遠鏡や観測装置などについて、それらの要素技術や応用を議論したり、各種望遠鏡の建設予定や建設の進行状況を知らせたり、初期成果を宣伝したりもします。運用、管理、はたまた大規模な改造や修理の話題も。実際に現場でこうした作業に携わる人々が、知恵や悩みを寄せ合い、より良いものにしていこうと切磋琢磨する場となっています。

今回、私(林)は、分割鏡を含む望遠鏡の鏡面製作、望遠鏡に取り付けたままでの鏡の清掃・洗浄方法、再メッキの手法などを扱う分科会に参加しました。軽量鏡の開発が進んでいること、補償光学の進歩につれ、鏡の反射率ばかりでなく散乱の性質が気になってきたことなどの変化を感じました。研究発表の部屋でも、ポスター会場でも、技術情報や実用上の問題点など情報や意見交換が盛ん。8メートル級の望遠鏡建設が進んでいた当時に主鏡清掃方法などで議論した人々や、マウナケアで一緒に実験などした人々との再会もうれしいものでした。(※林は、すばる望遠鏡の望遠鏡光学系のコーティングや、主鏡の清掃方法について、基礎実験から携わっていました。)

研究発表の部屋でも、ポスター会場でも、技術情報や実用上の問題点など情報や意見交換が盛ん。8メートル級の望遠鏡建設が進んでいた当時に主鏡清掃方法などで議論した人々や、マウナケアで一緒に実験などした人々との再会もうれしいものでした。

休憩時間にも熱心に情報交換

大きな会議場内のあちこちにこの研究大会の表示が

5日目の夜には、光学コーティングのワークショップに参加。これは望遠鏡光学系に特化したもので、次世代望遠鏡の開発者と既存の望遠鏡で実際に運用に携わっている人々が会し、熱心な議論のために2時間の予定が3時間以上に。TMTでは、主鏡反射膜として、広い波長帯で反射性能を上げた銀を想定しています。そうした反射膜がジェミニ望遠鏡(マウナケアとチリ)とVISTA望遠鏡(チリ)に使われて経験が積み上がってきていること、現在建設中のLSST望遠鏡(チリ)でも使われるとのことです。望遠鏡にとりつけたままでの主鏡清掃方法についても、水洗が十分に役立つ、かつ鏡面を損なわないという実例が積み上がってきていました。

参加者が日欧米を超えて様々な国から来ていること、発表者が企業技術者や大学の開発関係者に広がっている様子、またアカデミアと企業の間の人材往来の様子も印象深いものです。望遠鏡本体や主鏡のように大きく重い物の分野ではやや少ないとはいえ、女性の専門家の活躍ぶりも目の当たりにできました。

次回は日本で開催されるということで、日本発の発表がいっそう多くなることが期待されます。

街の風景~ ガラスを多用した建物が目立つ(左) 会議場の隣に路面電車終点 (右)

街の風景 ~夜回りさんは馬で(おまわりさんです)


※Astronomical Telescopes + Instrumentationは、国際光工学会(SPIE)が主催する様々な研究大会の一つですが、天文関係者の間では、単にSPIEと呼称されることが多いです。

望遠鏡と装置開発の国際学会に参加(WFOS編)

6月10日から15日までアメリカ テキサス州のオースティンでAstronomical telescopes + instrumentationという国際学会が開かれ、TMT推進室からも複数のメンバーが参加しました。この学会は2年ごとに開催されていて、天文に関わる望遠鏡と観測装置に関する最新の話題が報告されます。

図:イメージスライサーの概念図

私(尾崎)は、TMTの第一期観測装置の一つWFOS(広視野可視分光器)についてポスター発表を行いました。

通常、分光するためにはスリットと呼ばれる長細い開口を用いて、対象天体だけの光を分光器に導きます。スリットの幅を狭くすると光を波長に分ける能力(波長分解能)が高くなりますが、狭すぎるとスリットを通過してくる光量が少なくなってしまいます。その問題を回避するために、WFOSでは、天体像を3つにスライスして横並びに再結像させることで、光量をあまり失うことなく実質的にスリット幅を狭くして高い波長分解能が得られる、イメージスライサーと呼ばれる特殊な光学モジュールについて検討してきました(図)。ポスターではこのモジュールの光学設計について発表し、同様の装置の開発経験のある方々から有意義な情報をもらうことができました。

また、WFOS開発チームの多くがこの学会に参加しているため、WFOSに関する打合せもこの機会に行いました。国立天文台は、次の開発フェーズで面分光(※)ユニットの検討を行うことになったので、その光学レイアウトに関するアイデアを報告しました。他にはWFOSに関するTMT国際天文台内部での議論の状況や、結像光学系の光学設計についての報告がなされました。


※面分光:空間情報とスペクトルの情報を一度に得られる観測モード(例えば、広がった銀河の各場所でのスペクトルが一度に得られます)。詳しくは、国立天文台先端技術センターのウェブページをご覧ください。

テキサス(オースティンだけ?)はバーベキューが有名だということで会期中に3つのバーベキューレストランに行きました。どのレストランでも外はカリッとして中はジューシーで柔らかくて、とても美味しかったです。どのように焼けば、あのようにできるのか教えてほしいものです。

日本地球惑星科学連合大会2018

5月20日~24日にかけて幕張メッセで行われた日本地球惑星科学連合 2018年大会にTMT推進室のブースを出展しました。地球惑星科学は、地球中心核から、地表、大気、さらには太陽系、太陽系外惑星までカバーする総合的な学術分野で、2018年大会では230のセッションが開催、5001件の発表がされたそうです。TMT推進室のブースでは、TMTで狙う太陽系天体や系外惑星について紹介しました。また、高校生や学部生も多くブースを訪れるため、TMTで行っている若手研究者・技術者向けワークショップや、日本各地の大学と協力して進めている観測装置開発についても紹介しました。

一般展示の会場は去年と同じく幕張メッセの国際展示場ホールでした。このホールの天井の最大高さが30mで、「TMTの主鏡はこの天井の高さと同じだそうです」と大きさを実感してもらうのに便利でした。

パブリックデー(5月20日)には、展示場内でショートセミナーを行いました。TMT推進室の原川が、TMTで狙う太陽系外惑星研究について一般の方にも分かりやすくご紹介しました。