尾道で七夕講演会

尾道で、七夕講演会と「天文・宇宙が学べる大学」合同進学説明会が同時開催され、TMT推進室からも講師を派遣しました。講演会世話人の川口俊宏さん(尾道市立大学)からご報告をいただきましたので、以下に掲載いたします。

8月4日に、全国同時七夕講演会2018の一環として講演会を開催しました。7月の豪雨被害による断水、近隣の鉄道在来線の運休に加えて、連日の最高気温が35度に達するなど大変な状況下でしたが、 当日は、尾道駅前の会場に80名を越える方が来場されました。尾道市に限らず、愛媛県や広島市、福山市から来られた高校生もいらっしゃいました。

講演会は、まず、TMT推進室の久保真理子さんが “遠いは昔 ~大型望遠鏡で探る銀河の生い立ち~” という題で、生まれてまもない宇宙から現在に至るまでの銀河の生い立ちを地上大型望遠鏡で明らかにする研究や、天文学者の日常生活、TMT計画などについて講演されました。 続いて、宇宙科学研究所の西山和孝さんが “イオンエンジンが切り開く宇宙探査 ~小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」~” という題で、「はやぶさ」ミッションに関わるようになったいきさつ、 探査機の運営の日常、「はやぶさ2」ミッションの現状などを、笑い話を交えながら講演されました。各講演の後にそれぞれ30件ほど質問が出るなど、近隣の方々の宇宙への興味が高い様子が見て取れました。

講演後の質問は以下のようなものがありました。

– TMTの完成でどのようなことがよりわかるようになりますか?
– TMTと「すぴか」の役割の違いは?
– 望遠鏡の主鏡の研磨などは、一般企業などが行っているのですか?
– ガスを多く保有する銀河とあまり持っていない銀河に、形で差はありますか?
– 銀河の渦巻き模様はどうしてできたのですか?
– 今わかっている銀河の中で一番大きい銀河は、古いですか、新しいですか?
– 銀河の中心にブラックホールがあるという決定打は何ですか?
– ブラックホール自体を立体的に観測する試みはありますか?
– ダークマターはどういうもの?
– 宇宙の最初が知りたい。どこから始まったのか?
– どうして天文学者になったのですか?
– どういうことをしたら天文学者になれますか?
– 天文学者の平均的な年収は?
– 研究をしていて楽しいなと思う事は?
– 研究を進めていく中で、人生観は変わりましたか?
– 宇宙の研究における国境はありますか?
– お勧めのプラネタリウムはありますか? 広島県内ではどこ?
– 「はやぶさ」と「はやぶさ2」はどちらが速いですか?

講師の久保からは、次の感想が寄せられました。
「直近の豪雨被害と猛暑の中、沢山の方にお集まり頂き大変嬉しく思いました。沢山の質問から、耳を澄ませて講演を聴いてくださったことが伺えました。」

厳しい暑さの中を来場された皆さま、どうもありがとうございました。

(写真提供:尾道市立大学)

愛媛大学で七夕講演会

「全国同時七夕講演会」は、七夕や伝統的七夕の前後の期間にわたり、全国各地で天文や宇宙の講演会を実施するイベントです。7月22日に愛媛大学宇宙進化研究センターが、全国同時七夕講演会2018の一環として、一般講演会「宇宙への招待」を開催し、臼田も講師として参加しました。

愛媛大学の松岡良樹さんが、「すばる望遠鏡で挑む最遠の宇宙、そしてその先へ」、臼田が、「宇宙の謎に挑む超大型望遠鏡TMT」というタイトルでお話ししました。この講演会は、科研費の新学術領域研究「なぜ宇宙は加速するのか? ― 徹底的究明と将来への挑戦」の共催でもあります。

気温30度を超える真夏日の午後にも関わらず、200名を超える方が参加してくれました。講演後は参加者の皆さんから積極的な質問があり、1時間近く質疑応答をおこないました。

後日いただいたアンケートでは幸にも大変好評で、次のような声をいただきました:

・難しい話を分かりやすく説明いただいて、満足です。
・非常に高度な内容を素人にも分かりやすく、素晴らしい講演会でした。
・講師のお話のスキルがとても高く驚きました。
・今後の宇宙の研究に、さらに興味が出て来た。
・現在の最新研究の動向を知ることができて楽しかった。
・TMTの完成がとても楽しみです。世界的に見ても必要だと思った。
・鏡を使用していることに感動した。

愛媛県では西日本豪雨災害もありましたが、皆さん元気で、宇宙のスケールの大きさを実感していただけたのではないかと思います。

 

中国で第二期観測装置の研究会

TMTでは、IRIS(近赤外撮像分光装置)、WFOS(広視野可視撮像分光器)、IRMS(近赤外多天体分光器)の三つの観測装置が最初に作られることになっていますが、その次に作られる 第二期観測装置の検討も進んでいます。その一つであるMICHIは、第一期観測装置ではカバーされない中間赤外線の観測装置です。

7月16日に、MICHI を用いたサイエンスを中国の研究者と議論するための研究会が北京で開催されました。MICHIのPIであるクリス・パッカム氏(テキサス大学サンアントニオ校)がMICHIの検討状況を説明した後、参加者各人の研究紹介、およびTMT/MICHIで可能となるサイエンスについての紹介、議論を行いました。参加者は30名程度。シニアから学生まで幅広い年齢層でした。日本からは久留米大学の本田充彦が参加し、検討中のサイエンスの一部を紹介しました。

中国では、現状、地上での中間赤外観測の経験は限られていますが、赤外天文衛星のアーカイブデータ等を活用した研究は行われており、TMT/MICHIを用いてそれらの研究を発展させる期待について紹介がありました。また、既存の8mクラス望遠鏡を用いた共同研究の可能性についても検討が行われました。

本田の個人的な感想として、若い層を中心に海外(欧米)との研究交流が盛んにおこなわれているようで、今後の可能性を大いに感じる会合でした。

(報告: 久留米大学  本田充彦)

研究会は、中国TMT SAC メンバーの協力のもと、中国科学院国家天文台(NAOC)で開催されました。(写真提供:NAOC)

研究会は、中国TMT SAC メンバーの協力のもと、中国科学院国家天文台(NAOC)で開催されました。(写真提供:NAOC)

望遠鏡と装置開発の国際学会に参加(全体組織委員会)

オースティンで開催された、SPIE Astronomical Telescopes + Instrumentation(以下 SPIE)2018の5日目に、次回 2020年のSPIEが横浜で開催されることが、全体組織委員会で正式に承認されました。東京オリンピック開催の1ヶ月前、2020年6月14日-19日にパシフィコ横浜での開催となります。

2年ごとに開催されるSPIEは、1980年代から北米と欧州とでほぼ交互に開催されてきました。1996年以降SPIEの組織委員を務めてきた家から2012年のSPIE日本開催を提案し、一旦合意されたのですが、2009年の金融恐慌のため実現しませんでした。SPIE2016 エディンバラで再び全体組織委員長を務める機会があり、SPIE2020の日本開催を提案し、今回の運びとなりました。

SPIE2020 横浜では、国立天文台の井口聖氏とジェミニ天文台のAlison Peck氏が全体組織委員長を務めます。観測天文学界では初めての大規模な国際会議の日本開催となるため、今後、現地組織委員会(LOC)を組織し準備を進めることになります。

元SPIE全体組織委員長、日本政府観光局MICEアンバサダー 家正則

SPIE2018 全体会議で、次回 2020年の開催地を告げる井口聖 全体組織副委員長 (写真提供:SPIE)