OPIE 宇宙・天文光学EXPO 2025

2025年4月23日~25日に、光学・フォトニクス分野の最先端技術が集う展示会 OPIE(OPTICS & PHOTONICS International Exhibition)がパシフィコ横浜で開催され、国立天文台も出展しました。会場には、研究者や技術者、企業関係者など多くの来場者が訪れました。

今回のブースでは、TMTプロジェクトに加えて、先端技術センターと産業連携室の取り組みを紹介しました。

TMTプロジェクトの展示では、パネルや映像を用いて、計画の概要、最新の開発状況、期待される科学成果などを紹介しました。「すばる望遠鏡は知っているけど、TMTは初めて聞いた」という方も多く、模型を前に望遠鏡の特徴を説明すると、そのスケールの大きさに驚かれる姿が印象的でした。

先端技術センターと産業連携室のスペースでは、補償光学による像の揺らぎ補正のデモンストレーションと、赤外線位置天文衛星JASMINEに搭載される近赤外線画像センサの展示が行われました。

3日目(25日)には、特別セミナー「国立天文台を活用する研究者が語る天文コース」が開催されました。まず、産業連携室の平松が「見えない宇宙を観る技術を社会へ:国立天文台の技術開発と産業連携」と題して、国立天文台の研究で培われた技術が社会へ広がっていく可能性について紹介しました。続いて、先端技術センターの服部が「補償光学による光学揺らぎの補正」と題して講演。星のゆらぎを補正し、宇宙からのかすかな光を鮮明にとらえるための技術を解説しました。これらの技術は、将来的に医療や通信など幅広い分野への応用も期待されています。最後に、TMTプロジェクトの安井が「星と惑星の誕生を見つめて:すばる望遠鏡、JWSTとTMTが拓く新たな宇宙」と題して講演し、すばる望遠鏡やJWSTによる最新の観測成果を紹介するとともに、TMT時代に期待される新たな科学の展望について語りました。


ブースやセミナーに足を運んでくださった皆さま、ありがとうございました。今回の出展が、天文学の面白さやその裏にある技術の力に触れていただくきっかけとなれば幸いです。今後もさまざまな機会で国立天文台の活動をご紹介していきますので、ぜひご注目ください。

伊豆大島で出前授業

こんにちは、TMTプロジェクトの能丸です。2025年1月に、伊豆大島の大島町立第一中学校で授業をする機会をいただきました。東京都大島町は私がすばる望遠鏡の仕事で長年住んでいた米国ハワイ州のハワイ島と姉妹都市提携を結んでいます。そのため、かねてから大島を訪問してみたいと考えておりましたので、今回の授業を大変楽しみにしておりました。

大島へは国立天文台の近くにある調布飛行場から小型機に乗るとわずか25分で行けます。実は授業の前の週は海が荒れて、ジェット船が3日も欠航しました。欠航が分かる前に教材を事前に郵送することも考えたのですが、万一届かないことも想定して持参することにしました。その選択は正しかったと思います。

大島は英語に直訳するとビッグ・アイランド、ハワイ島の通称と同じです。名前が同じだけでなく、島には活火山があって時々噴火していること、島の形が丸っこいことなど、大島にはハワイ島との類似点があります。大島の町の雰囲気もなんとなくハワイ島の小さな町に似ていました。

第一中学校は島の西部、元町にあり全校生徒はおよそ60人、大島の中では大きな中学校ということです。授業は体育館でおこなわれ、全校生徒が集まってきました。話はすばる望遠鏡での私の仕事のことからTMTへの説明に移り、30mの鏡でどんなものが見えるのかについて説明しました。次に流星の話に入り、流星はいわゆる「星」ではないこと、その母体である彗星やオールトの雲やカイパーベルトといった太陽系天体について話をしました。次にこれが分かれば学校の天文の授業はとても楽しいものになると思い、地球の日周運動と地球の回転方向との関係を説明しました。この部分はいつもどうすれば分かりやすくなるか工夫していますが、うまく伝えるのがむずかしいところです。生徒さんからは一番明るい星は何かとか、宇宙の果てには何があるとか、天文学は何の役にたつのかなど、講師泣かせの質問がずらりと並びました。これらも生徒さんにも考えてもらえるように説明を試みました。

東京に行く飛行機も船も午後3時までに出発してしまうので、授業が終わる時刻になるとその日のうちに東京に戻ることはできません。1泊して翌朝空港に行ったところ、強風で飛行機が運航できるかどうか分からないとのこと。ジェット船はすでに欠航が決まっていて島内放送でアナウンスされていました。しばらく空港で待っていたところ飛行機の運航が決まり、予定通りに調布飛行場に戻ることができました。島での生活の大変さを知らされると同時に、同じ島でも飛行機の欠航がほとんどないハワイ島がいかに便利なところだったか、あらためて思い起こされました。

この出張授業には、TMTへの寄付金を活用させていただきました。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございます。

 

(写真提供:大町立第一中学校)

2025年、さらなる前進の年に

この冬はラニーニャ現象が起きているようで、ハワイでは、ラニーニャ現象が冬季に発生すると、通常、TMTの建設地であるマウナケア山頂域で雪が降り、ヒロも悪天候になることが多かったのですが、この冬は天候に恵まれ、マウナケア山頂域にも雪がありません。

マウナケアは、はかり知れない恩恵を天文学にもたらし、また地元の方々にとっても大切な地です。昨年、マウナケアで重要な動きがあり、2台の老朽化した望遠鏡が撤去されました。マウナケアの管理に対しては、地元住民の意見が十分に反映されていないことの一つとして、使用されていない望遠鏡が放置されていることがあり、老朽化した望遠鏡の撤去は長年の課題でした。

2024年に撤去された望遠鏡の1つ、Caltech Submillimeter Observatory (CSO) は、2024年4月から撤去作業が開始され、6月に撤去が完了しました。

TMT国際天文台(TIO)のプロジェクトマネージャーと共にハワイに赴任して3年半が経ちました。これまで多くの地元住民と対話を重ね、様々なご意見をうかがいました。TIOが2019年から大きく変わり、TIOの草の根の活動に対する理解が広がっています。その中でも特に要望が高い教育支援等の活動を通じて、信頼関係が構築されていることを実感しています。

2024年4月には、TIOがハワイの中で変わったことが地元新聞で取り上げられました(Hawaii Tribune Herald)。昨年12月に新たに就任したハワイ郡長は、2019年にはTMTの建設に反対していましたが、地元の方々と連携した現在のTIOの活動を評価しています。

天文学にとって、マウナケアは地球上最も優れたサイトの一つです。この恩恵が天文学者だけでなく、より多く、より広く地元の人々に行き届くように、我々も地域の一員として引き続き活動します。

皆様の叱咤激励の声がTMTプロジェクトの励みとなり、TMT実現に向けて前進する力となっており、TMTプロジェクト長として心より感謝申し上げます。今年も一層精進してまいりますので、より一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

TMT実現に向け、常田TIO評議員会共同議長、国立天文台執行部とも協力し、プロジェクトメンバー一丸となって邁進してまいります。

国立天文台TMTプロジェクト長 臼田知史、副プロジェクト長 青木和光

三鷹・星と宇宙の日2024

10月19日(土)に国立天文台三鷹キャンパスで特別公開「三鷹・星と宇宙の日2024」が開催されました。今年はコロナ後初の入場規制のない開催となり、3000名以上の方にご来場いただきました。TMTプロジェクトは、ハワイ観測所との合同企画を「展示棟」と「すばる棟」で行いました。

展示棟(西棟)では、今年も「TMTクイズ」を開催しました。皆さんがとても真剣にポスターなどからヒントを探されるという去年の経験に基づき、今年はヒントを探しやすいように問題を作りました。そのせいか、今年は去年よりも全問正解の方が多かったようです。ヒントを探すお子さんが「ティーエムティ!」、「モディス!」(※装置名)などと声に出している様子も可愛らしかったです。

すばる棟では、「すばる望遠鏡25周年!」というテーマで、すばる望遠鏡のこれまでの歩みと最新の観測成果を年表、ポスター、動画などで紹介しました。「サイエンスカフェ」、「分光器ワークショップ」、「すばる望遠鏡リモート観測見学」など、例年の人気企画も開催し、TMTプロジェクトのスタッフも様々な企画で活躍していました。

サイエンスカフェでは、気になるテーマをトークメニューから選び、研究者とお話します。子どもに分かりやすいトークも用意されています。

CDを使った分光器を作り、色々な光を観察するワークショップ。簡単に作れるのに、本格的なスペクトルが観察できます。関連して、天文学における分光観測の役割や、すばる望遠鏡の分光装置についても解説されていました。

リモート観測見学では、すばる望遠鏡の観測現場とつなぎながら、観測システムについて解説します。TMTプロジェクトのスタッフには、すばる望遠鏡の業務や観測の経験者もいて、このような解説もお手の物です。参加してくださった方からは、「普段入ることのできない場所を見学できて、嬉しかった」等の感想をいただきました。

5年ぶりに多くの方に制限なしでご来場いただき、とてもありがたく思います。今年は機会を逃してしまった方も、ぜひ来年の三鷹・星と宇宙の日にお越しください。