常田台長がインドTMTの光学系製造施設を視察

国立天文台の常田台長が8月7日、インド南西部に位置するカルナータカ州ベンガルールを訪れ、2020年に完成したインド天体物理学研究所(Indian Institute of Astrophysics、IIA)の光学系製造施設(India-TMT Optics Fabrication Facility、ITOFF)を視察しました。ITOFFでは、主鏡分割鏡の研磨と外形加工、主鏡分割鏡を制御する支持機構の製造と搭載を行います。十分な技術レベルのもとに、分割鏡研磨の実施や支持機構の量産準備が着実に進んでいました。

インド天体物理学研究所の光学系製造施設(ITOFF)の研究者とエンジニア。常田台長(後列右から7人目)は、伊王野大介准教授(同6人目)と進藤美和特任専門員(同4人目)とともにITOFFを視察しました。

施設の整備や米国での研修等を終えたエンジニアたちは意欲と自信に満ちあふれ、予定時間を超えて、常田台長との意見交換を活発に続けていました。その姿は、TMT実現という共通の目標に向かう強い決意そのものでした。

ITOFFで活発に議論するエンジニアたちと常田台長(中央)

8月9日には、首都デリーにてインド科学技術庁(Department of Science and Technology)のAdditional Secretary(次官補)であるVishvajit Sahay氏等と面会しました。IIAのエンジニアたちが成し遂げた進展と成果には目を見張るものがあったと伝え、日本のTMT計画に関する進捗を報告して、TMT計画の重要性を双方で再確認しました。

中央がSahay科学技術庁次官補、その左が常田台長

IIAをはじめとする関係者の方々のおかげで非常に実のある視察となり、温かく迎えてくださったことに心より感謝申し上げます。

日本地球惑星科学連合 2023年大会

5月21日(日)~5月26日(金)にかけて、幕張メッセで日本地球惑星科学連合(JpGU)2023年大会が開催されました。

JpGUは地球惑星科学関連の学協議会51が参加し、会員数約1万人の大規模な組織です。年に1度の学術大会は、昨年に引き続き、今回もオンラインと現地会場のハイブリッド形式の開催となりました。国立天文台のブースでは、TMTプロジェクトとアルマ望遠鏡の紹介を行いました。

TMTでは観測装置の説明や、可視光と赤外線でどのような宇宙が見られるか、口径30メートルで得られる圧倒的な解像度を活用してどのように宇宙の謎に迫るか、など今後のTMTの活用について解説しました。

アルマ望遠鏡は今年が運用開始10年ということで、これまでのアルマ望遠鏡での観測成果や、アルマ望遠鏡の電波観測とTMTなどの他波長のデータと組み合わせることで分かることなどを解説していました。

今年は大ホール全体が、一般展示、ポスター、セッション会場に使用され、昨年を大きく上回る来場者数になったそうです。ポスター発表も賑やかで、多くの学生がブースを訪れてくださいました。また、今年は海外からの方も多く、興味を持って声をかけていただきました。

ブースを訪れた多くの方々から、それぞれの望遠鏡について直接に質問をいただくことができて嬉しかったです。来年の展示会でもお会いできることを楽しみにしております。

今年の8月には、国際天文学連合が主催する国際会議(APRIM2023)が、ビッグパレットふくしまで開催予定となっており、国立天文台からも展示ブースを出展します。一般向けのイベントとしては、講演会が郡山市ふれあい科学館 スペースパークにて開催されるそうです。

宇宙・天文光学EXPO 2023

4/19(水)~4/21(金)に、パシフィコ横浜で OPIE 宇宙・天文光学EXPOが開催されました。来場者は昨年を大きく上回り、3日間で13000人以上の方にご来場いただきました。今年は海外出展ブースも増えており、海外からの来場者も見受けられました。

国立天文台のブースでは、TMTに加えて、水沢VLBI観測所と重力波プロジェクト推進室のブラックホール研究の紹介、そして、宇宙と社会をつなぐ産業連携室の取り組みについて展示を行いました。

4/21(金)には、「国立天文台を活用する研究者が語る天文コース」の講演が行われ、TMTに関連した話題としては、「TMTが切り拓く超巨大ブラックホール研究の最前線」というテーマで、国立天文台 アルマプロジェクトの泉拓磨助教がお話しました。

先の時間に講演した、東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ株式会社 田崎文得さん「 EHTで撮影したブラックホール・シャドウ」、国立天文台 重力波プロジェクト 麻生洋一准教授「先端光学計測技術で探る光では見えない宇宙の姿: 重力波天文学」のお二方のテーマに関連し、ブラックホールと銀河の「共進化」について解説し、広域探査能力に優れた「すばる望遠鏡」と、遠方宇宙の銀河観測に威力を発揮する「アルマ望遠鏡」の連携により観測された、初期宇宙での銀河合体や銀河風などの観測成果を紹介していました。さらに、「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」(JWST)の観測も組み合わせることで、史上初の初期宇宙ブラックホールの母銀河の直接検出に成功した観測成果を紹介し、銀河構造やブラックホール質量の測定など、今後の研究について語りました。

現状のJWSTの解像度では、初期宇宙にある銀河の構造までを調べることはできず、こうした研究成果を深堀りするために、「高感度・高解像度」が特徴であるTMTが必要とされています。今後、JWSTの約5倍という圧倒的な解像度を持つTMTが他の望遠鏡とも連携しながら観測を行うことで、私たちの宇宙への理解を深める、革新的な成果が得られると期待されています。

昨年と同様、講演は対面形式で行われ、皆さん関心が強く、質問もあがっていました。

昨年と同様、講演は対面形式で行われました。皆さん関心が強く、質問もあがっていました。

ご来場くださった皆様、ありがとうございました。イベントを通じ、多くの方々と交流できたことを幸せに思います。

5/21(日)からは 日本地球惑星科学連合2023年大会 (幕張メッセ)に出展しますので、こちらのブースにも立ち寄っていただければありがたいです。

ブースでは、TMT展示模型(左)に足を止めてくださったり、重力波望遠鏡を説明するためのマイケルソン干渉計の展示(右)で質問してくださる方もいました。

ブースでは、TMT模型(左)に足を止めてくださったり、重力波望遠鏡を説明するためのマイケルソン干渉計の展示(右)で質問してくださる方もいました。

東北大学の公開サイエンス講座ですばる望遠鏡とTMTを紹介

TMTの科学諮問委員長としても活躍されている、東北大学の秋山正幸教授から、公開講座の報告をいただきましたので、以下にご紹介いたします。

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3月5日に仙台市天文台と東北大学大学院理学研究科で行っている公開サイエンス講座にて「ハワイの山から宇宙を観れば」というタイトルで講演を行いました。久しぶりに対面での講演会となり、小学生から大学生、子連れの方から年配の方まで56名の方々に参加してもらうことができました。大変感謝しています。

ハワイ島・ヒロの町から見たマウナケアの様子を説明しているところ。(クレジット:東北大学)

マウナケアでの観測を体感してもらおうと、昨年11月にすばる望遠鏡での実験作業の道すがら撮った山の上にいたる道中の動画など交えながら、山の上から観測や測定をおこなう意義について説明しました。すばる望遠鏡やマウナケアの望遠鏡を用いた成果として、系外惑星の直接撮像や銀河系中心超巨大ブラックホールの観測、私の専門分野であるすばる望遠鏡による宇宙初期のクェーサー探査や補償光学系の開発について紹介しました。最後に将来にTMTを用いるとさらに何が見えてくるのか、という展望を説明しました。

大学の広報担当者とVRツアーの準備中です。このあと、みなさんに楽しんでいただきました。(クレジット:東北大学)

大学の広報担当者とVRツアーの準備中です。このあと、みなさんに楽しんでいただきました。(クレジット:東北大学)

講演での質疑やそのあとの時間では、とても多くの質問と感想をいただきました。地面のある地球のような惑星を探すとか、宇宙で最初に生まれたブラックホールを探すとか、TMTへの大きな期待が感じられました。すばる望遠鏡が立ち上がるころに海部先生の講演を聞いて興味を持っていたので、今回の案内を見て聞きにきました、という方もおられて驚きました。TMT実現にあたっては現地の方々の伝統や精神を尊重して進めてほしい、という真剣なご意見もいただき、対面で多くの方と話をするとても良い機会となりました。

講演会のあとにはすばる望遠鏡の大きさを実感してもらおうと、VRゴーグルを用いて国立天文台から公開されているバーチャルツアーを体験する時間を設けました。仙台市天文台にも1.3mひとみ望遠鏡がありますが、それと比べてすばる望遠鏡の大きさをみなさん実感されて驚かれていました。すばる望遠鏡とTMTの間にも同じくらいの大きさの違いがあります。TMTの大きさにどのくらい驚かされることになるのか、楽しみです。

仙台市天文台の先代の望遠鏡です。(クレジット:東北大学)