青梅市立吹上中学校で「ふれあい天文学」

国立天文台の職員が学校で出前授業を行う「ふれあい天文学」で、東京都青梅市の吹上中学校をプロジェクトの青木が訪問しました。授業を行ったのは特別支援学級の生徒さん12人で、宇宙をかたちづくる物質についてお話しし、私たち自身と宇宙のつながりを考えてもらいました。また、事前にアンケートをお願いし、関心をもっている宇宙の話題や知っている望遠鏡について全員から回答をもらいました。その際に出してもらった質問に授業で答える準備をしていたところ、授業中にもいくつも質問が出て、時間内に答えきれないくらいになりました。担当いただいた先生が事前準備に気をつかってくださったおかげか、生徒さんも硬くならずに授業の前後に自分に話しかけてくれたのが印象的でした。

授業では短時間ながら望遠鏡についてお話しし、TMTも紹介しました。理解を助けるために、ペーパークラフトを事前に送って組み立ててもらうことにしました。組み立てはかなり手間がかかるので難しいかな、と思っていましたが、送った2つともきれいに出来上がっていました(写真)。伺ったところ、2人の生徒さんが器用さと集中力を発揮してくれたとのこと。自分たちの手で触れてもらうことで、望遠鏡の構造や動きを直観的にわかってもらうのにも役立てばよかったかな、と思います。

吹上中学校は、春から初夏には特に多くの観光客が訪れる塩船観音寺や吹上しょうぶ公園の近くです。青木の自宅から近いこともあって馴染の場所でした。今回、「ふれあい天文学」に応募いただき、講師にとっても楽しい訪問となりました。

 

(写真提供:青梅市立吹上中学校)

ふれあい天文学で「遠くの地元」学校と交流 (3)サンフランシスコ⽇本語補習校

ふれあい天文学「遠くの地元」学校シリーズ2021年の最後の交流は、またカリフォルニア州に戻ってサンフランシスコ日本語補習校。上弦のほぼ半月が見える日でした。12月20日の記事にも書きましたが、カリフォルニア州は南北に細長く広がり、サンフランシスコと林のいるパサデナの距離は、国際宇宙ステーションが真上を通るときの地面からの距離よりも遠くにあります。この補習校はサンフランシスコ校とサンノゼ校の2つを含み、かなり人数の多いところです。1校を除いてまだオンライン授業が続いているため、教室からの接続と家庭からの接続の混合になりました。小学生向け授業と中高生向け授業に分けたのですが、それでも多数の接続があり、TMT主鏡分割鏡の数に匹敵する接続数でした。そのためプレゼンテーションファイルのページ送りをするさいに、動きがにぶくなることを初めて経験しました。事前打ち合わせで先生方からアドバイスをいただき、資料のページ数や画像サイズを調整していたのではありますが。

お話しで使用したスライドの一部。左は2022年に予定されている月周回軌道宇宙船の「乗組員」、右側の女性たちはアメリカの月滞在予定者。国際宇宙ステーション滞在(予定を含む)などにより着々と経験を積んでいます。男性の月滞在予定者も選ばれています。

サンフランシスコ近辺には、TMTの主鏡分割鏡の研磨工場や倉庫などがあり、林も何度かそのあたりに出張したことがあります。ここの生徒さんたちにとって、世界地図の中で自分たちの住む地域がTMTを作る上で大きな働きをしていることを知ったことが、より関心を持ってもらうきっかけになったでしょうか。

Apple Mapsより

事前に出してもらった質問には、星の進化に関するものや、太陽系内の天体への人間の移住の可能性に関するものがありました。次の望遠鏡計画は?という小学4年生からの質問には、質問した児童の世代がそれを作ることになるでしょうとお答えしました。このような交流は、小学生や中学生が、自分も天文や宇宙に関係のある仕事につくようになるかもしれないと考えてもらうきっかけとして大事であることを改めて認識しました。

ふれあい天文学で「遠くの地元」学校と交流 (2)秋⽥⼤学教育⽂化学部附属中学校

ふれあい天文学「遠くの地元」2つ目の学校は林が昔むかし住んでいた地域にある秋田大学教育文化学部附属中学校。3年生の4クラス全員がそれぞれの教室から参加してくれました。担当の先生が、夕方に部分月食のある日を選んでくれました。部分月食とはいえ、かなりの部分が地球の影に隠れるので、皆既月食に近く、影になるところの色がよくわかると予想されていました。

秋田県は自然も天然資源も豊かなところ。「黒鉱」と呼ばれる亜鉛、鉛、銅などを含む鉱物も生産していました。ではそうした金属はどこから来たのだろう?そもそもどうやって作られたのだろう?たくさんある温泉にはイオウがあることが多い。このイオウもどうやって作られたのだろう?

それぞれのクラスで6人ごとの班を作り、その班ごとに端末があるため、チャットボックスへの書き込みがたくさん入ってきました。

お話の最初のスライド(左)と、授業風景(右、秋田大学教育文化学部附属中学校提供)。班ごとに端末があります。

中学生になると元素の周期律表を見ているので、身近にある元素の起源が宇宙にある、しかも前の世代に作られた物質が次の世代を作るときに使われる立派なリサイクルがあることを考えてもらうことができました。

ちなみにこの学年の生徒さんの一部とは、2016年11月のふれあい天文学企画で秋田大学附属小学校4年生のクラスを訪問したときに出会っていました。お話の最初のスライドの左下にあるのはその時のスライドの1ページ目です。そのときはすばる望遠鏡の成果を中心にお話をしたのですが、その後、すばる望遠鏡について関心を持ち続けてくれている生徒さんもいました。今回の交流を通じて、自分がTMTや月滞在、火星探査に関わるかもしれないと実感するきっかけになったでしょうか。

ふれあい天文学で「遠くの地元」学校と交流 (1)ポート・オブ・サクラメント補習授業校

TMTプロジェクトカリフォルニア事務所の林が2021年10月から12月にかけて行った「ふれあい天文学」授業について、3回に分けてご報告します。

今年のテーマは「月」。多少雲があっても、街明かりがまぶしくとも、見上げるといつも仲良しの友だちのようにそこにいます。南カリフォルニアは(大気汚染はともかく)湿度が低く、からりとした青空が広がることが多く、昼でも月がよく見えます。多くの児童、生徒にとって身近な月。これから一層身近になってきます。今の小学生、中学生の世代は月滞在や、さらに遠くの太陽系探検に出かける世代ですねというのが今年の呼びかけです。何しろ来年には、アメリカが主導し、日本も参加しているアルテミス計画の第1号月周回機が打ち上がる予定ですから、月が職場になることはそんなに遠い先の話ではないのです。

今年度最初の交流先は、林が現在住んでいる地元のカリフォルニア州。北部のサクラメント市にあるポート・オブ・サクラメント補習授業校でした。カリフォルニア州の州都サクラメントは、林のいるパサデナからの距離だけで言えば、頭の真上を通過するときの国際宇宙ステーションより遠くになります。カリフォルニア州は日本の本州よりも広いのです。

日本とカリフォルニアのサイズ比べ (Apple Mapsによる)

この日は新月から3日後、夕方に細い月が見える土曜日でした。小学校4年生から中学校2年生までを含む児童生徒のみなさんが、オンラインで集合。ズームの1画面で全体がわかる人数のおかげで、おー、へーのリアクションがある程度わかりました。特にカリフォルニアに縁の深いロケット打ち上げ風景の紹介や、TMTの部品作り作業の様子を示す画像に注目が集まっていました。

交流前に宇宙についての疑問を寄せてもらったところ、月がなくなると地球にどんな影響があるか、逆に月がいくつもあったらどうなるかというものがありました。皆さんはどうなると思いますか?また宇宙の大きさが地球何個分かという質問が寄せられたので、さまざまな天体までの距離を地球の直径を物差しにして測ってみました。表をご覧ください。京という単位はスパコンの名前で耳にしたことがあると思いますが、垓という単位の桁数がわかるでしょうか。

サクラメントからの距離