TMTにおける教育・人材育成・広報普及~国際チームの会合が再び東京で開催される

5ヵ国協力で進められているTMT計画では、計画推進を通じて得られる技術や研究成果を社会に還元し、教育や人材育成に貢献していく活動も、国際的に進めようとしています。2013年に検討チームを立ち上げ、各国の情報を交換するところからスタートし、TMTとしての活動の方針を検討してきました。 (2014年2013年の記事を参照)

検討チームは、毎月、電話やビデオ会議にて会合をもっていますが、年に1回程度、顔をあわせての会合を開催しています。今年は、5月24日~26日に京都で 開催されたTMTサイエンスフォーラムに続き、27日~29日に東京で検討チームの会合をもちました。これには米国・カナダ・中国および日本から9人がメ ンバーとして参加し(インドの担当者は都合によりビデオ会議にて参加)、そのほか、ゲスト・オブザーバとして6人の参加がありました。

TMT建設をめぐっては、昨年来、ハワイでの現地建設作業に関して大きな動きがありましたが、そのなかで進められている、TMTによるハワイにおける教育支援事業や、マウナケアの天文台が取り組んでいるインターンシップ事業(Akamai プログラム)や天文学の普及活動へのTMTの参加・取り組みなどが報告されました。これらの活動は地元でも高い評価を得ており、国際チームとしても引き続き力を入れていく課題です。

一方、昨年来のTMTの動きを受けての各国の状況が紹介されました。TMT計画推進の基本的な流れは変わらないものの、これまで以上に教育や普及活動の価値が高まっていることが確認されました。

会合2日目には、岡田小枝子高エネルギー加速器研究機構(KEK)広報室長に、大型研究施設における広報活動のお話をいただきました。KEKの施設でも、放射性物質を取り扱う関係から、広報や地元の方への説明で難しい局面があったこと、感情的なクレームがあった場合にも、丁寧に対応することを心掛けた結果、 当初施設に反対だった方が逆にサポートする立場になってもらえたこと、など、印象的な話を聞くことが出来ました。また、NASAからは、火星ミッションの 教育・アウトリーチ担当者を招き、長期にわたるミッション群のなかでどのような広報戦略をもっているのか、という話をいただきました。

検討チーム会合(都内にて)

検討チーム会合(都内にて)

3日目には、後楽園にある宇宙ミュージアムTeNQを視察しました。現地で働いている東京大学総合博物館の方に展示の方針や内容、特に研究者が働く様子を直接見てもらう展示の説明をいただきました。参加者のなかには、NASAやカリフォルニア工科大学で広報担当をしている人もいて、彼らの制作したコンテンツも一部展示に利用されていたこともあり、興味をもって対話していました。

この会議を通して印象的だったことは、TMT建設は現在、 困難な課題を抱えながら進んでいますが、このチームのメンバーは極めて意気軒昂だということで す。望遠鏡が完成し、研究成果が出るのは10年以上先になってしまうのですが、教育や人材育成は計画のなかで常に結果が出てきます。国際プロジェクトの特長を生かして、TMT参加国・参加研究機関の間で大学院生や若手研究者のインターンシップを開始する話が具体化しており、まずは小規模なワークショップの 開催が提案されています。今後の活動にもご注目ください。

視察先「科学ミュージアムTeNQ」のエントランスにて

視察先「科学ミュージアムTeNQ」のエントランスにて

TMT Forum 2016 開催報告

5月24日から26日にかけて、京都市京都国際交流会館で第4回TMTサイエンスフォーラムが開催されました。TMTサイエンスフォーラムは米国国立科学財団(NSF)からの支援を受け、年一度開催されてきました。米国でのTMTに関わる研究協力の検討とともに、米国以外のメンバー国からの参加も得て、幅広くTMTによる科学研究を検討する機会になっています。

今年はアジアで初の開催であり、日本やインド、中国からも多くの研究者に参加していただくことができました。TMT推進室メンバーも京都大学スタッフとともに会場準備にあたり、各セッションの議長や、TMTでのサイエンス・装置仕様検討などの発表を行いました。

フォー ラム初日、二日目の全体セッションは、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(ISAS/JAXA)の山田亨教授による開会の挨拶に始まり、 最新の研究成果や、TMT第2期観測装置・補償光学装置の開発、観測戦略、他の天文台とのパートナーシップ等について議論が行われました。今回は特に全セッションにわたって第2期観測装置について重点的に議論されました。

最新の研究成果とTMTによる科学検討については、国立天文台の田中雅臣助教によるTMTと重力波天文学のシナジーについての講演が行われました。観測装置については、東京大学の小林尚人准教授による近赤外線高分散分光器についての講演、東北大学の秋山正幸准教授による補償光学広視野多天体分光装置についての講演がありました。
また、有本信雄 ハワイ観測所長による、アジアでの国際協力、すばる望遠鏡での観測戦略についての講演が行われました。

フォー ラム最終日の午前にはTMT国際科学検討チーム(TMT ISDT)による各研究分野ごとの、午後には各第2期装置にわかれての検討会が行われ、日本からも多くの報告・提案がありました。フォーラムに先立つ23日には京都大学においてTMT中間赤外線観測装置(MICHI 未知)のサイエンス・装置仕様の検討会が行われました。

新緑の美しい京都の寺社に囲まれつつ、多岐に渡る活発な議論が交わされました。DSC07099m

日本地球惑星科学連合大会でTMTブース展示

5月22日から26日に開催された 日本地球惑星科学連合 2016年大会で、TMTの展示を行いました。この大会は、世界中から研究者が集まって、宇宙から地球表層・内部にいたる様々な分野での最先端の研究結果を発表する学術大会です。ブースでは、地球惑星科学の研究者がTMTを用いた研究に関心をいだくよう、TMTで系外惑星や太陽系天体を観測するとどのようなことが明らかになるのか、また現在どのようにしてサイエンス検討が行われているのかといった内容を主に紹介しました。

22日(日曜日)はパブリックデーということで、高校生、大学生を含む一般の方が多く訪れました。展示説明員の話を聞いたり、ポスターを見て熱心にメモを取る高校生や、将来はTMTで観測したいという高校生もブースを訪れてくれました。

22日(日曜日)はパブリックデーということで、高校生、大学生を含む一般の方が多く訪れました。展示説明員の話を聞いたり、ポスターを見て熱心にメモを取る高校生や、将来はTMTで観測したいという高校生もブースを訪れてくれました。

パブリックデーでは、スタンプラリー(写真中央下)と キュービックカレンダーのペーパークラフト(写真左側に完成品)も人気でした。研究者向けには TMT詳細サイエンス検討書(写真右側)を置きました。

パブリックデーでは、スタンプラリー(写真中央下)と キュービックカレンダーのペーパークラフト(写真左側に完成品)も人気でした。研究者向けには TMT詳細サイエンス検討書(写真右側)を置きました。

宇宙・天文EXPO 2016

DSC09046m5月18日(水)~5月20日(金)に宇宙・天文EXPOがパシフィコ横浜で開催されました。国立天文台は今年で4回目の出展となります。今回は、TMTとJASMINE(ジャスミン、赤外線位置天文観測衛星)の展示を行いました。

昨年に続いて、今年も展示されたTMTの主鏡・分割鏡の試作品。端が切り落とされて、分割鏡の位置を測るセンサーを設置するポケットが12カ所つき、より完成形に近づきました(表面のメッキはまだされていません)。

昨年に続いて、今年も展示されたTMTの主鏡・分割鏡の試作品。端が切り落とされて、分割鏡の位置を測るセンサーを設置するポケットが12カ所つき、より完成形に近づきました(表面のメッキはまだされていません)。

JASMINEからは(上の写真には写っていませんが)、熱試験用のモデル2点が展示され、常時数名のJASMINE検討室スタッフが説明をしていました。

JASMINEからは(上の写真には写っていませんが)、熱試験用のモデル2点が展示され、常時数名のJASMINE検討室スタッフが説明をしていました。

5月18日には、隣の会議センターで開催されていたOPIC2016(光とフォトニクスに関する国際会議)で、TMT推進室の家正則名誉教授が全体講演を行いました。国内外の学界産業界から約400名の光学研究者・光学技術者が参加する中、日本のすばる望遠鏡、その視力を10倍にした補償光学、すばるによる研究成果、さらに5カ国国際共同科学事業して建設を進めている「TMT計画」について英語で講演し、光学界の参加者から TMT計画に関連したさまざまな質問をいただきました。

5月18日には、隣の会議センターで開催されていたOPIC2016(光とフォトニクスに関する国際会議)で、TMT推進室の家正則名誉教授が全体講演を行いました。国内外の学界産業界から約400名の光学研究者・光学技術者が参加する中、日本のすばる望遠鏡、その視力を10倍にした補償光学、すばるによる研究成果、さらに5カ国国際共同科学事業して建設を進めている「TMT計画」について英語で講演し、光学界の参加者から TMT計画に関連したさまざまな質問をいただきました。

最終日の20日には、宇宙天文EXPO開催記念特別講演が行われ、TMT推進室からは早野裕准教授が、TMTの第一期観測装置 IRISについての講演を行いました。熱心な方が多く、講演後には10分の質問時間に収まらないほどの質問がでました。一般の方に加えて、メーカー関係者の参加もあったせいか、「可変形鏡の厚さは?」など、装置についてのかなり具体的な質問もありました。この特別講演会(国立天文台の研究者が語る天文コー ス)は、事前参加登録制だったのですが、早々と定員に達して申込が締め切られたそうです。

来場された皆様、どうもありがとうございました。